四十話 夢の追憶
「ここは・・・」
久ぶりにまた、真っ暗な世界で一人で立っていた。音もなく、暖かさもないこの世界から出ようとして、歩いた。
「そういえば、この世界に来たときも。こんなところに来たっけ・・・」
確かあの時は、変な二人の男女が何かを話ていただけで意味が分からなかった。
また、何かあるのかな? と思っているとまばゆい光に覆われた。
「!?」
まぶしさから目を閉じて、物音がし目をゆっくり開ける。そこは、漆黒の世界ではなく、どこかの建物だった。
久しくみる、現代的な建物で研究室のような所にいた。
「やつらが時期、ここに来るだろう・・・その前にあれを破壊しなければ」
二人の銀の髪をした男女がため息をついて、私に近づくが。ぶつかることは無かった。
何故か透けてしまい、彼らは進み。一つ機械の前に立つ。
「彼らを忘れてしまっている。我々エルフもまた自然から生まれた一部の命で過ぎないと・・・人を作り出し、そして世界を生みだしてしまった・・・私達の罪は大きい、が」
「この子には何も罪はない・・・」
二人が見た機械は、白いカプセルだった。子共が一人入れる程のスペースしかなく、中心にあるガラスには一人の子共が目を閉じていた。
「まさか・・・こんな事になるとは・・・」
「仕方ないんだ・・・我々は力を持ち過ぎた・・・故に滅ぶ事は定めだった・・・故に滅ぶ事は定めだった・・・」
「でも・・・貴方・・・せめて、せめてこの子、未来だけでも・・・」
機械を操作し、カプセルが光出す。二人は涙を流しながら今だ寝ている子を見つめた。
「さよなら・・・愛しい娘・・・あなただけでも生きて・・・」
母親がそう言うと、カプセルが一瞬強烈な光を出し、消えた。
「さぁ、行こう・・・私達の子は無事、あの世界に旅立った。後は・・・やつらがくる前に・・・」
その瞬間爆発が起こる。天井に穴が空いて。誰かが下りてきた・・・アイツは!?
「何やらくだらん事をしていたようだが、まぁいい。早速だが、作られし世界へ渡る方法をいただこうか」
銀の髪をして、全身を白い鎧を着込んだ男が・・・城で見かけた青髪の騎士が剣を持ち現れた。
「だ、誰が行きかせるか!! もう彼らは・・・人間は我々の手から離れ、自らの生を歩んでいるのだ!!」
「例え我々の創った命だとしても、彼らの世界を奪う事は許さない!!」
「ほう、エルフの王たる者が何を言う・・・人間などど言う脆弱な存在を作り、そいつらの住みかまで作り出した貴様らが!!」
手にしていた大剣を振り上げる。私がやつに飛びかかろうとした、が奴に触れる事ができず、すり抜けた二人に重なるように倒れ、後ろを向くと剣が振り落とされーー
シュ!! ザク!!
目の前に血が流れ、二人が力なく倒れて動かない。
「・・・父さん・・・母さん・・・」
無意識に言葉だ出て、動かな二人に触ろうとするが、すり抜ける。何度も、何度も触れようとするが結果は同じだった。
「これで邪魔はいないな・・・後は、!?」
爆発が起こる、傍にあった機械の部品が飛び散り、火が飛び交う。
「クソ!! 奴の研究データはどこだ!?」
奴は何かを叫びどこかに行くが、追う事をせずに彼らの傍に落ちていたファイルから出ている紙を見た。
「移住計画」
長い時間をかけ、作り出した青き世界。
そこで生きていけるのか検証等の為に作り出した魔法を持たない 人間 を生み出し、どのような環境を生み出すか実験を行い。結界は良好。
青き世界は、我らエルフにとって住める世界と判断。さらに、彼らを従属させる事により、すぐさま我々による理想の世界となろう。
また、試作品の中には上質なマナを持つ者がおり。全員が女性が特徴。彼女達をオーブを守る守護者としておく。
だが、この計画に反対する同族もおり。その中に王も入っている事から、移住計画は無理やりにでも行う必要がある。
全ては、エルフの存続のため。いかなる手段を選ぶ事はない。王と王女には一人の娘がおり、彼女には一つの世界を動かせう程のマナを持つ事が判明。捕らえて人質にし、解かせて娘を使いマナを確保を・・・
「これは・・・」
そんな事が書かれていた書類の傍に一枚の写真があり。どこかの草原をバックにして今、倒れている二人・・・恐らく王と王女らしい人と、真ん中に銀の髪をした、何度も夢で見た。
「私・・・」
○
バッ!!
「は、はぁ!!」
体を起し、息が苦しい。大きく呼吸して目の前がクラクラになる。
「あの、大丈夫ですか?」
目の前にコップを出され、誰が出したのか確認せず水の飲む。喉を潤し、冷たさが心地よかった。
「良かった・・・気がついて・・・」
傍にいた人物。銀の髪をした女の子・・・この国の姫だった。あたりを見ると。潜入した際に入った部屋で、どうやら彼女の部屋みたいだった。
「・・・そっか、私昨日・・・」
どうして、敵である私が看病を。しかも姫の部屋で受けていたのか。少しずつ頭を動かし、思い出す。
○
突然、二人を吹き飛ばし。白いオーブを手にした奴が消えた後。
「大丈夫!?」
二人の傍に駆け寄り、怪我を見るが。大した事はない。がそこで異変が起こる。
「魔獣だ!! しかも、大量に城にいやがる!!」
城内のあちこちで、反応が起こる。十や百どころではない数が出現し、あちこちから悲鳴が聞こえる。
「アイツの仕業か!!」
「らしいな、このままじゃ、城の外に出ちまうぞ!?」
手元に魔法具もなく。今までどうり無双できない状態、しかも疲れきった私が行った所で、全部は助けきれない。
「・・・私の力を使ってください」
いきなり手を掴まれる。部屋で合ったあの子だった。マナの光が彼女から流れ私の体にどんどん流れ、体の疲れがなくなって行く。
「私のマナを私ました、これで動けるはずです。それと、これを・・・」
包を外し、出したのは小さな黒の小さな宝石がついた首飾り。
「これは、魔法具で。持つ者に不思議な力が宿ると言われてます・・・どうか、私達を助けてください」
「まて・・・それはおまえが勝手に言うな・・・」
何時の間にか起き上がった彼女が、腰にある剣を鞘ごと抜いて私に渡して来る。
「本来、城を守るのは私なのだが・・・今の私一人では守りきれん・・・だから・・・」
「そこから先はいいわよ・・・」
剣を受け取らず、後ろを向いて扉に進む。ライフル等を取り出しながらーー
「一人でも救うわよ!!」
そう言って走った。
その後は、魔獣にやられかけている兵を助け。門から出そうなのを阻止し。兵達も統率が取れてきた、町には被害は出なかった。
その後、城から出ようとしたが力尽きて。夢を見たあとに。起きて今に至った。
○
「ねぇ、なんで私をかくまってくれるの?」
今だ、外は混乱しているのか。兵達が走り回る音が聞こえるのに。何故かこの子は私につく。
ちなみに、名前はスノウと言うのはさっき聞いた。
「その・・・姉さまがそうしろと・・・」
ちなみに彼女の姉。この国の王女である、白のオーブを持っていた彼女の名前はティアだと、教えてくれた。
「・・・まぁ、とにかく。あいつは・・・あの青髪のやつは何なのよ?」
「やつはネロ。この王国騎士団の長をしていた者だ」
ドレスを着たティアが部屋に入り、そのまま説明を続けた。
「やつは、歴代で最も最強とされる剣技を持ち、王家に忠誠したはずの者だったが」
「裏切ったと?」
黙って頷く。なら何の目的があったんだろうか? 今更帝国に寝返ったとしても、利益なんてない。
「古代の扉に、こい・・・」
去り際に奴が言った事を思い出す。そして、それにはある心あたりがある。
「行かれるのですか?」
スノウが心配そうに私を見つめる。安心させるように笑を見せて出ようとしたら
「待て、そのま行かせると思うか?」
いきなり剣を抜いて、私に向ける。しかも、片手に端末が握られていた。
「散々、引っかき回し。挙句の果てに騎士二人を負傷させておいて、何もないと思うたか?」
「う!! ・・・け、けど・・・」
言い変えそうとするが、こっちが悪いのは確実。なので、言い訳が見つからないでいると。
「罰として・・・貴様は、私の騎士となれ」
剣をさやに収め、持ち直す。スノウから膝をつくよう言われその場に、膝をついた。
○
「まさか、騎士になるなんてな?」
バイクに乗り、眼鏡からパルトの声が聞こえる。腰には剣をつけ走る。
「しかも、依頼までされたし・・・まぁ無事に城から出れたからいけどさ」
あの後、王女直々に騎士に任命(脅しで)され二つの任務を言い渡された。
一つは ネロの処罰を
もう一つは、エルフと王家にの関わりについて
「頼まれたらやるしかないでしょうが・・・便利屋として!!」
速度を上げ、林を駆ける。目指すのは全てが始まったあの地へ。