三十八話 決闘
夜、城内のパーティー会場となる広場。輝くシャンディヤの元で様々に人が踊る。豪華な衣装を身につけた彼らはこの国の重役や、その関係者。さらに名を広げた商人等が集まる。
帝国の突然の降伏宣言。これにより、王国は平和が訪れ誰もがこれからの輝きある未来に期待していた。
「皆の者、今宵集まり嬉しく思うぞ」
突然、壇上に二人の人間が上がる。二人とも銀色の髪で、その容姿は誰もが羨む美貌の持ち主だった。
「これから先は、この国の繁栄と未来に向け・・・」
王女ティアが演説をし、傍には騎士であるネロとテールが控える。演説中にネロがあたりを見るてから、ネロは隣りにいるテールに話しかけた。
「おい、テール・・・ファイはどこにいった? 護衛の任から離れるなど・・・」
「それが・・・一応確認してくるとか言って・・・それとですが」
一度言葉を切り、ネロ顔を向け
「ここを厳重に警護してくれ と言われました・・・」
「まさか!!」
ネロはあたりを見渡し、部下である赤髪の女性を探すが見当たらない。だとすれば・・・
「一人で行ったということなのか・・・」
急いで兵を呼び、ファイを探すよう命令を出そうとた時
ボンッ!!
バルコニーから先にある、牢獄のある建物から火が上がった。
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「くっ!! まさかこうも早くばれるなんて・・・」
後ろで燃える建物からの熱を感じつつ、飛んでくる矢を銃で打ち落とす。そして前にいる弓を構えた女性ーー赤い髪で何度も見かけたあの騎士だった。
「やっと会えたな・・・救世主?」
この女の炎の矢で、変装で使っていたマスクは燃えて銀の髪を露出し、素顔の状態だ。来ている服は男性用のスーツだけど一応防火の機能はあるから裸にはならない。
「あんたまでそう言うんかい・・・」
あたりを見ると、既に槍や剣を構えた兵が囲んでいた。手に持つハンドガンだけじゃあれだけの数は・・・もはや逃げ場なしか・・・
「安心しろ、やつらは別におまえを攻撃しないように命令をしている・・・」
「へぇ? 一体どうゆうことかな?」
弓を体の前に構え、姿勢を整え始めーー
「救世主!! 決闘を申し込む!!」
まっすぐと、私を見る。炎に写し出された彼女の目は嘘偽りもなく、本当みたいだった。
「おい、これ確実に罠だぞ? 増援呼ばれる前に逃げるぞ!!」
パルトが進言しているように、状況は振りだ。いくら端末から武器を出せるとは言え、戦力は私一人。いくら良い武器を持ったとしても、数でこられたら負ける。
逃げるのは確かに正解だ、けどーー ハンドガンを捨ててまっすぐ見た
「ゴメン、そうはいかない見たい」
「やっぱり、こうなるよな・・・分かった!! 好きにしろ!! これが最後なんだ、派手に行こうぜ!!」
端末から青い光が出てくる、光は強くなり後ろで燃える建物から火が消え凍る。そして、私の手には両端が鋭い刃を持った三本の鎌がついた鎖があった。
試しに、傍に燃え移った木に鎖鎌を投げつける。木が簡単に切れ、同時に周囲も氷る。
「それが、貴様の魔法具か・・・なんとも恐ろしい!!」
弓を構え、矢に炎がこもる。さっきまで撃っていたのと違い。段違いの炎が熱気を放ち、草を燃やす。
対して私は、マナを鎖鎌に注ぎ冷気が増える。足元が氷が張って行き地面に捨てた銃が凍り、季節外れの冬を起こす。
やがて、冷気と熱気がぶつかり白い煙が起こる。周りにいる兵は慌てて逃げていくのを確認し、私と女騎士が目が合いーー
「行くぞ!!」
「はぁ!!」
全てを焼き尽くしそうな巨大な炎をまとった矢飛び。
冷気をまとい、何もかも切り裂く刃が向かい
二つがぶつかり
爆発が起こる
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「くっ!!」
とてつもない爆発が起こり、急いで階段を降りるテール。嫌な予感が離れない、急げ、急げ と何かが語りかけ爆発のあった場所に行くとーー
「!? これは!?」
氷界
そう呼ぶのにふさわしい程、何もかも氷ついた世界が広がる。そして、氷の床に横たわる一人の影が、テールは急いで彼女に駆け寄った。
「ファイ!!!!!!」
体には氷がついていないが、意識を失っている女騎士が横たわり涙を流す。後から兵がきて、負傷の兵を運ぶ。テールは彼女について行かず、背にある布に包んだ槍を取り出し、靴跡がついた壁を睨んだ。
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「はぁ はぁ 」
屋根にある、足場に座り息を整える。
「さっきので、マナ結構使ったみたい・・・」
「普段から、それ使ってなかったからな・・・練習すべきだったな?」
そうだね と一言だけ答えて、栄養剤を出してもらい飲む。そしてマップを見ると白いオーブは人間が大分集まったところから動かない。
「どうやら、ブツは持って行かれてたようだな? 」
「面倒な事を・・・もうこれ以上バトリたくないけど・・・もう遅いか」
数歩先にあるはしごを見る。さっきから何かの音がして、確実に近づいてきている。
ハンドガンを構えやがて 黄色の閃光が飛んで目の目に立つ。
「・・・貴方ですか? ファイを倒したのは?」
黄色の髪をした、どこかで見た騎士が槍を私に向ける。彼の目からは殺気があり、確実にさっきの女騎士より強いのは確かだ。
「倒したけど、死んではいいないわよ・・・」
私が答えると そうか・・・ と彼はつぶやいてーー
「!!っ」
瞬間移動をしたかのように、私の目の前に来ていた。
パン パン
引き金を引くが、弾丸は当たらず。槍ではじかれる後ろに落ち、槍の攻撃のせいで武器を出す暇もなく、突きの猛攻がきた。
「くっ!!」
どれも素早く正確な突きで、避けてもかする。体にすり傷が出て距離を取ろうとするが、しつこく追いかけて反撃ができない。
さらに後ろに下がったその時。
ズルッ!!
「!? っ!!」
瓦で足を滑らせ膝をつく、そして黄色の槍が私に迫りーー
ガキン!!
突然目の前が暗くなり、何か激しい音が鳴る。気づけば私から緑の光が出てーー
「くっ、盾だと!!」
視線を少しずらすと、緑の盾が槍にぶつかり私を守ってくれたいた。攻撃が失敗し、槍騎士は距離を大きく離す。
「危なかったな・・・野郎、マジで殺す気だったぞ」
パルトの声がして、どうやらギリギリのところで盾を出してくれたようだった。もし盾げ出てこなかったら・・・私は、あの槍の餌食になっていた。
身震いしながら、宙に浮かぶ盾を掴んで構える。
「なるほど・・・この魔法具でも貫く事ができ物がこの世にあるなんて、驚きました」
少しも刃が欠けてない槍をさっきより上に構え始める。あの槍も魔法具だったのを知り、簡単に逃げれそうにもない事を覚悟すると、彼は叫びながら攻撃してくる。
「しかし・・・一度だめなら、何度でもやるだけだ!!」
そこからは猛攻だった。凄まじく槍が襲いかかり盾で防ぐ。勢いにまけ後ろに、やがて後ろに下がっていく。
屋根の上では槍と盾がぶつかり合い、火花が散り金属音が鳴り響く。二つの武具は何度も、幾度もぶつかりあっているのにも関わらず傷が入らない。
けれども状況は攻撃ができない私の方が不利であるのは変わりがない。次第に 後方に下がって行き、やがて足場が危うくなった時。
「ここで降伏をすれば、命だけは保証します・・・」
突然、攻撃をやめて私を睨み付ける言い放ってきた。殺気は出し続け、槍をまっすぐ私に向ける。
「へぇ・・・どうゆう事?」
「言ったとうりですよ・・・既に勝敗はつきました。これ以上は無意味しょ?」
口角を広げ、余裕を見せた事にイラッときて、一度後ろを見る。夜の暗さも相まって、奈落の底にも思えた。
これ以上あの槍の攻撃をどうにかする自身は確かにない、このまま捕まる手もあるけどーーふざけんな!!
「お断りよ!!」
奴を見たまま後ろに飛び、重力に引かれ落ちる。あの槍男は私に手を伸ばすけど、遅い。
「パルト!! 飛ぶわよ!!」
「あいよ、かましてやれ!!」
黄色の光が出て、背中に雷の翼が生える。マナを流し、まるで生き物のように動き始め、飛ぶ。
「この!! 」
飛んでから、上空からの蹴りを顔面に一撃入れる。完全に油断していた騎士は避けることもできず、その場に崩れる。だけど、すぐに体勢を整えて下がる。
「くっ!! 空を飛ぶだと!? なら、打ち落とす!!」
槍にマナが送られ、黄の光がどんどん膨れ上がり、突きの構えをとる。
「どうやら、あの槍は雷の力が宿ってる見たいだな・・・なぁ。実は言ってなかったんだが、その盾な・・・」
「・・・え、そうだったんだ・・・?」
ここで、緑のオーブからできた盾について、パルトから聞かされ。膨大な電気を溜め込んで行く奴に盾を構える。
「まだ防げる気ですか? いいでしょう!! これで最後だ!!」
獲物を方手に持ち頭上で振り回し、勢いを殺す事なく。槍でつき雷撃が
襲い掛かる。
「そうね・・・これで終わりね・・・」
盾にマナを送り、緑の光を放出して。きっぱりと言い放った。
「私の勝ちでね!!」
槍から放たれた雷が轟音を上げて盾に当たる。
衝撃が走るけど、翼で踏ん張り盾の方向を少し変えると、雷撃は跳ね返って行った。勿論、撃った本人に。
「な、何!!」
再び槍にマナを貯めて、雷を放つが。向かってくる雷撃よりはるかに劣っている雷しか放てず、威力を完全に総裁できず、目の前に落ちた。
「う、うわぁぁぁ!!」
衝撃で後ろの方に飛んで行き、屋根から落ちる。急いで飛び手を掴んで安定した足場に置いた。
「ゴメンけど、人殺しなんて私にさせないでよね・・・?」
既に気絶して何も言えない彼を放置し、兵の声が聞こえてきたのでその場から立ち去る。
「中々、上手く使えたじゃねえか?」
適当なところで翼をしまい、物陰に隠れて息を整えるのに集中して返事をしない。
ぶっつけ本番でできたからいいものの、もし。ちゃんと反射できなかったら私が死んでたーー
「・・・暫らく休憩、動けないわ・・・」
上を見ると星が輝き、夜を照らす。
けれども、まだ戦いは始まったばかりだ・・・
長い夜はまだ続く。