三十七話 始まる前兆
太陽が昇り、宿から人がどんどん外に出る中、部屋でルナとティムに話しをする。ルナから一緒に祭りに行こうと言われたけど、私は指名手配中であることと、やる事があるの事を伝えると、残念そうな顔をしたけど渋々納得してくれた見たいだった。
「そうですか・・・とても残念です」
ティムが顔を下に伏せ、ルナが私に強く抱き掛かる。そういえば、昨日なんで変装した私が分かったのか聞くと
「抱いた感じが同じだったから」
それが理由だった。軽い変装だったから仕方ないけど、そんな理由でバレるとは思わ無かった。
二人を見てこのまま出て行くのは気が引けたので
「じゃあさ・・・今度、落ち着いたら三人で出かけようか?」
そう言い、ティムを近づけて二人を抱きしめた。最初は抵抗していたティムだったけど、次第に大人しくなり暫らく三人で抱き合った。
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「それじゃ・・・またね?」
玄関で見送くられ出る。二人が手を振って一度振り向いて返して、すぐに人混みに入って裏どうりに入る。
「いいのかよ? あんな約束して」
取り出した端末から、そう聞かれ 「まぁ、何とかなるって」と根拠のない言葉を出す。
城にある最後のオーブを手に入れたら、私は元の世界に戻る。最初からそれだけの目的だったのに、いつの間にか忘れていてこの世界にいるのがあたり前になっていた。
父さんからの、仕事から始まったこの仕事。終わったら私はどうなるんだろう?
「・・・なぁ? 大丈夫か?」
少し考えごとをして、相棒の声に遅れた反応して裏どうりを進む。目指すのはここから見える城。まっすぐ見て進んだ。
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「テール・ファイ 二人は姫様の護衛につけ、私は王女の護衛につく・・・いざとなれば、魔法具を使う事を許可する」
ネロが身の丈程ある大剣を背負い、槍を持つテールと弓を持ったファイに命令を下す。
「あの、ネロ隊長・・・本当に来るんでしょうか? その放浪者は?」
おずおずとテールが質問し、ネロが答える前に。
「奴は必ずくる」
ファイが断言した。二人の男はどうしてそんな事を? と聞こうとせずその場で解散する。
ファイとテールが一つの部屋をノックすると、部屋から従者の女性が開けて中に入る。
豪華な日用品が置かれた部屋の中央では、豪華なドレスを着込んだ銀の髪を持つ可憐な少女が立っていた。
その姿に、騎士二人は見とれてしまい。すぐさま頭を下げる事を思い出し、膝を慌ててついた。
「え、と・・・頭を上げてください・・・」
小さな声で二人に声をかけ、すぐさま顔を上げる。
この少女は、始めていこの世界に来たアンが助けた際にいた少女。
王女ティアの妹。スノウだった。
「その、あの人の事なのですが」
「恐らくですが、流石に城には来ないかと・・・」
申し訳なさそうに伝え、スノウが少し落ち込む。慌てて何か言おうとするが
「大丈夫です、姫様・・・奴はこの城に今日現れます」
また断言したファイに、あたふたとしてテールが動揺しさらに
「私の感が、そう告げているのです」
一瞬、静まりかえる。一国の姫にたいし、なんとも無礼でしかも、勝手な事を言い出す騎士にの発言に誰もが驚いていると。
「ふふふ・・・」
抑えた笑い声が沈黙を破る。口元を隠し笑い声を殺したのは、スノウだった。これのはさらに、テールだけでなく、従者もどうした事かと表情をすると
「分かりました・・・私はあなたの言葉を信じます」
笑を浮かべ、ファイを見る。馬鹿にしているわけでも、冗談として流している感じもせず、本当に言葉どうりに受け取ったようだった。
「ありがとうございます」
ファイ深々と頭を下げ、礼を述べる。スノウが傍にある机の上に置かれた本を見て
「必ず・・・あの人は来ます」
そう呟く。開かれた本は途中まで書かれたいるが、本棚に置かれた同じような表紙をした物には
「赤き救世主」
とタイトルが描かれていた。
「続きを書かないと・・・だから、是非ともお話をしないとですね、すみません、あの人の噂について何か新たしい話しは・・・」
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「スノウはまた、奴について本を描いているのか?」
スノウの部屋と同じような部屋で、少しため息をついたティアが控えるネロに聞くと頷く。
「はい・・・ですが。それがいい方向に刺激になり、とてもご成長されたようです」
「先日まで、すぐに泣き出す程だったのが・・・全く」
手には、紙束があり。それにはスノウが執筆した内容が書かれいた。実は、アンの噂を聞いたスノウが、やり始めた事で。噂や、見かけた人からの話しと、ほんの逝一時、であった時の姿などを合わせた作品だった。
何故かこれが下町で評判になり、続きを楽しみにしている者がかなりいた。
「姫様の物語、私も読んでいます。とても面白く、兵達にも評判でした」
ネロが作品について話すが、何も話さず紙束を机に置いて、杖を取りドアに向かう。
「全く・・・捕まえれば、私が奴に嫌われるではないか・・・」
どこか納得できない そんな風につぶやきて出て行き、ネロもついていく。
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「はっ、くしゅん!!」
匂いがする水たまりを避けて歩いていると、くしゃみが出る。しかも、一度だけではなく、何度も、何度もだ
「は、しゅん!! ふ、しゅん!!」
「お~ お~ 大分噂されてる見たいだな?」
噂ってだれよ? あぁ、城の人達か・・・
嫌な臭がする下水道を進み、前に来たのを思い出す。もう少し進めば確かーー牢屋につくはず。
「なぁ、知ってるか?」
パルトが突然、話しを切り出す。この臭の辛さが分から無いやつめ!! 鼻を抑えている私の気持ちを察してよ!!
「町でおまえの噂とかを元にした本が出てるだとよ」
ズル!!
危うく転びそうになり、岩を掴んで何とか踏みとどまる。ちょと!! 本って何よ?
「本って言うか、正確には紙束か。どうやらお前のこれまでの旅を記録している奴がいて、それを元に、本描いてるらしいな?」
へぇ~ そんなもの好きがいるんだね? と思いつつ足を出すと
「ちなみにタイトルは「赤き救世主」で、この本にはおまえは男になって、女たぶらかしてるらしい」
ズル!! バシャン!!
今度は踏みとどまる事が出来ず、お尻からスっこけた。痛いけど、気になる事を言われたので、端末を強く握りしめた。
「たぶらかっ・・・て!! 何なのそれ!?」
「いや、どうやらな? いろんな村の巫女に手出したりしてるけど、なんだかんだで優しくして、惚れさせてその場から出て行くって内容みたいだな」
「どこのラノベ!? ギザ過ぎてキモイ!!」
作者見つけたら、絶対修正させてやる!!
この世界でやる事が増え、濡れて気持ち悪いまま一つの明かりが見えたきたーー
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既に日が昇きり、夜の城内パーティにどんどん人が集まる。
そして、最後のオーブとそれぞれの因縁がこの夜で決まる