二十八話 反逆者たち
雨の森を移動する。借りたフード付きのコートで雨は少しは防げてるけど、着ている物は既にずぶ濡れで寒い。
「後少しだ・・・歩けるか?」
赤髪の男ーーサウラが私の方を見る。前に王都であったこの男はどうやらこの集団の主犯見たいだった。
隣にいる、牢屋であった黄色髪の女性もコートを着きて歩く。
やがて、森を抜けると小さな小屋が見えてきた。「あそこが、俺らの基地だ」
と言うが、この人数であんな物置みたいな所に入れる?
と思いつつ、中に入りサウラが入り口傍の床に手をかけると
ギ~
床が蓋になってたらしく。地下へと続く階段がそこにあったーー
○
「クシュン!!」
浴槽に入って体を温めていると、一つくしゃみをする。風邪を引かないようにと配慮がされ、仲間ではない私が何故か先に入れられた。
「パルト・・・」
今ここにいない相棒を呼ぶ。端末がまだ砦にあれば取り返す事はできる。けど、今手持ちに道具はない、そしてオーブだって端末に入れていたので無一文だ。
「どうしよう・・・」
「何? どうしたの?」
突然カーテンが開けられて、黄色の長髪をしたあの人がタオルを巻いて出てくる
いきなりだったので、どうしたらいいのか戸惑っていたら何故か浴槽に入って来た。
「え、あの?」
「いいじゃない、私も寒いんだからさ?」
強引に狭い浴槽に入る。私より長身の彼女に後ろから抱かれるような形で落ち着く。
「綺麗な髪ね?」
優しく私の髪をなでる。今はウィッグもないため自毛である銀は出ていた。できれば人前に出したくはないんだけども・・・
「あなた、エルフに関係するからあそこに捕まったの?」
「いえ、それは・・・」
正確には帝国の将軍に気に入られたらしく、変態だったからです。とは言いづらいので曖昧にしか返事ができない。察したのか、女性は深くは追求してこない。
「そう、大変だったんだね・・・あ、言いそびれたわ。私はニヤよ」
ニヤさんが自己紹介をし、私も名前を伝える。そのまま話ていると他の人が使うのを邪魔になるし、私ものぼせそうだったから二人で上がる。
隣に用意されたタオルで体を拭いて、かごに入っていた服を着ようとしたけど
「ねぇ、もっと動きやすい服なにのかな?」
手に持つ赤いワンピースを持ち、暫らく見続けたが諦めて着た。
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「まさか、反逆者達が動くとは・・・」
破壊された砦の奥深く。地下への階段を下りるマーレ。隣りには体格の良いダンが呆れたようにため息をついた。
「おいおい、一体どうしたんだ? 砦が攻撃されてるって聞いて来て、しかも指令であるおまえが気絶してたなんて・・・何かあったのか?」
「大丈夫ですよ、少し酒にやられてた見たいだから・・・」
そんな会話をしていると。出口が見え最深部に入った、そこは松明などの光とは違う、人工の光で照らされていた。
「どうだい、最後の扉は開きそうか?」
扉の前で作業をする兵士に聞くと、マーレ達を見て慌てて敬礼する。同様に周りの者全てが敬礼し始めた。
「はっ!! 只今扉の破壊を行っていますが、まだ開いておりません」
報告を受けて、兵達が集まる先にある白い扉を見る。強固で見た事のない素材でできたそれは、どこか威圧を感じさせられた。
「偶然にも地下への近道を見つけたのはいいですが、なるほどこれが最後の難関のようだ」
扉に近づきながら、装飾をされたグローブをはめて近づく。そして彼の手から炎が生まれた。
「その先にあるもの・・・果たして我々の力となるか?」
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「おお、中々似合ってるぞ?」
「そりゃ、どうも・・・」
赤いワンピースを仕方なく着て、サウラから目をそらす。まさかこの人がわざと準備したんじゃ?
疑いながら、席につく。テーブルをはさんで反対側に彼が、その隣りには麻服を着たニヤが座った。
「さて、まずはどこから話したほうがいいかな? 何か聞きたいことはあるかい?」
「じゃ、まずは。貴方達は何者かから」
見たところ、王国の兵でもない彼らに質問しすぐに答えられた。
「俺たちは反逆者。帝国にも王国にも属さない者だ」
反逆者・・・パルトがいれば詳しく調べれるのに と内心イラつきながら話しに耳を傾けた。
「反逆者なんて響きは悪いけど、私達は戦争のせいで平和も住みかも失った・・・これ以上犠牲を出さないように戦っているのよ」
ニヤさんが苦い顔をして話てくれた。住みかを失った そう言ったときの彼女の顔はどこか悲痛だったけど、何かあったのかな?
「俺もニヤも、同じところの出身だった・・・けど、帝国が俺らの村を襲って来た時。王国は何もしてくれなかった。俺も妹を・・・あ、済まない・・・」
妹? そういえば始めてあった時も妹に似ているって・・・
「本題に入ろう。我々は今、帝国の使用している砦を奪い、中にある古代の物。魔道具を入手する作戦をしようとしていた」
「していた?」
どうしてそこで過去の話しになるのか、その答えがすぐに明かされた。
「最近、ここらで見た事のない武器を使い帝国を退け。古代に関する地に行く女の噂を聞いた。それは君のことだろ?」
「だから、私達は貴方の力を貸して欲しかったのよ。貴方の居場所を突き止めるため、私もわざと捕まり貴方と接触し砦を爆破した」
つまり私のためだったと? まさか噂だけどこんな事にあるなんて・・・けど、今の私には端末もなければ、オーブだってない。非力な女だ
「ごめんなさい・・・今の私には力はないの・・・」
言いにくい。一つの作戦を犠牲にして助けてくれたのは感謝するけど、どうすることもできないのだから。
「そう、なのか?」
肩を落とし残念そうにする二人。ここで責められても仕方ないと覚悟してたけどこの二人はそんな事はしなかった。
「そうか・・・いや、すまない。無理な事を言ってしまい」
すぐに謝られ、今日は遅いからと私の部屋に案内される。廊下にはロウソクの火で地下の道を明るくしていた。
やがて無言のまま、一つのベットのある部屋に入り何も考えすにべっドに横になり目を閉じ眠った。
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「やっと開きましたか・・・」
肩で息をするマーレ。彼の視線先には必死に消火活動をする兵士がいて扉は燃え、破壊されていた。
「むちゃくちゃしやがって? 大丈夫か?」
「問題ない、さぁ何があるか行ってみましょうか?」
火はすぐに消えて中に入ると、広大な部屋になっていて上にある遺跡の砦内部より大きい。
そしてーー
ガァァァ!!
獣の叫びと共に巨大な影が動き出す。