二十三話 二人がであった日 当日
銃弾の嵐を鉄材の裏に隠れ防ぐ子共。周りはどこかの工場なのか、鉄パイプなどが散乱していた。
「無駄な抵抗はよしな!! てめぇがあの野郎んとこに住んでいる奴なのは分かってんだよ!!」
「あいつをぶち殺す前に、まずはおまえからだ!!」
男達の叫び声を聞き、幼い子共ーー昔の私はどうしようもなく泣いて震えていた。
そうだ、確か父さんに買い物を言われた時に襲われたんだった。奴らは、前に父さんが潰した裏社会の人間で、悪徳な事ばかりしていたか討伐された。勿論、父さんただ一人で。そして腹いせに娘である私を狙ってきたのだ。
この頃はまだ、戦い方等は全く知らず普通の女の子だった、銀の髪を除いては
「みっ~け」
ついに男達が私を見つけ髪を引っ張り引きずり出す。その際抵抗したけど、首に手刀を入れられ、だまり込む。
「さって、こいつにおまえの断末魔でも録音するが……綺麗に泣き叫んでくれよ? 」
「あの男の無様な姿を拝めるチャンスなんだからさぁ?」
銃口を向けられ、涙を流す幼い私。今でも覚えている、この時始めて死の恐怖を知ったのと……
い、いやぁぁぁぁぁぁ!!!!!!!!!!
突然地震が起こる。工場内の資材が全て浮かんで男達に向かってぶつかり、彼らは悲惨な悲鳴を上げる。
さらに異変は終わらず、今度は辺りの地面が揺れ始め工場が倒壊して残ったのは泣き叫ぶ私だけだった。
そう、この時だった。私の中にある ”力” が目覚めて普通で無くなったのは……
○
「……夢か」
また昔の夢を見て、憂鬱な気分になる。最近こんものしか見なくなったけど、もしかして元の世界が大分恋しくて見たのかな?
「おはようさん、相棒」
枕の傍に置いてあった端末からパルトが挨拶して私も返す。時間を見ると既に九時を過ぎていた。
「なんか相棒が寝てる間にひと騒動が起きたみたいだな、家の奴らが騒いでいたが俺も何かは知らない」
そういえば、昨日話しでもめてたみたいだけど? それが原因かなと思いつつ、寝巻きの半袖、半ズボンから。白シャツに黒ローブ、下は長ズボンに着替え部屋を出るが様子が変だ。家には誰もいない。
家の外に出ると、人々が集まり心配そうな顔をしていた。何があったのか近くにいた女性に聞いたら。
「朝早くに討伐隊が火の山に行ってしまったの……しかも、レン姿が消えてリーダーと一部の人が追いかけて行ったの……」
レンが!? しかも討伐隊って……もしかして、昨日いた人達? レンが姿を消した事について聞くが分からないと答えられるが、女性があることを言い出す。
「実は、その勝手に行ってしまった人達の中に商人の方がいて……噂ではその人は帝国相手に武器を商売してたらしく……」
勝算はある
昨日の話しでそう言った人物を思い出すが、その彼が武器を持っていたとしても果たして通用する物などあるのか?
魔法具は国が管理していて、普通の人が持つ事はできないらしい。一個人ならなおさらだ。なら、勝算って……
「おい!! あの商人の部屋から変なのがあったぞ!!」
突然現れた村人の男の手には
不気味に黒い輝き出し、丸い形をした宝石だった。
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「 早くこい!! 日が暮れる前にドラゴンを討伐するんだ!!」
山のふもと。一つの井戸から、軽装をして横が太い男が下にいる人達に感情を込めた大声を出し来て、上をーー火の山。ドラゴンの住みかを見て怪しく笑う。
「くくく……見ていろ……俺をこんな所に閉じ込めた裁きを食らわせてやるぞ!!」
不気味な声を出す、男の手には三個のされぞれ輝きが異なる黒い宝石があった。
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森の中を走りながら、眼鏡に映るマップを頼りに火山まで行く。木々のせいでバイクは使えない、さらに強風のせいでハングライダーも無理。
「急がないとまずい!!」
「くそが!! アイツ等、島を沈める気かよ!!」
レンズにはマップともう一つ。黒の宝石が表示される。
「破壊石」
古代の遺産の一つで、ただの宝石に見えるが実際は違う。この石は王国、帝国間でも最も厳しく取り締まっているーー爆弾だ。
通常の表社会ではあまり知られておらず、裏の者だって知るものは少ない。なぜならばこの爆弾を起爆させる方法が外道なのだから
「生き物に宿る生命力 ”マナ”を吸って、吸収した量によって爆発の規模が変わる。しかも、どれだけ蓄えたかは、宝石の光や大きさで判別できるだと?」
偶然村の人が見つけた石は小さく光少し放っていた。一つを置き忘れても戻ってこないって事はまだ複数持っていて、つまりーー
「くそ!! 石でドラゴンを殺す気だ!!」
残りの石はどのくらいの大きさか知らないが、そんな命を弄ぶ物を使う何て最悪だ!!
絶対使わせてたまるか!!
「!? まて!! またアイツ等だ!!」
山が見えて来た所で、前後左右。色とりどりの花と多数のツルが私を囲んできた。
あぁ!! こんな時に!!
「時間は無い……こうなったら!! 作戦Bよ!!」
目の前に光が生まれ、手を伸ばし二本の棒を掴み。
青い刃で切りかかる。
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「うわっ!! あ、熱い!!」
岩に手が当たり、危うくやけどしそうになった。今は火山の中、昔掘られた通路松明を片手に持ちつつ頭に浮かんだ光景を思い出しつつ進む。
「確か……ここら辺だったと思うけど……」
岩の間から流れる溶岩を慎重に避け、時々襲ってくるコウモリから逃げて一つの光の元に進むと
「うわっ!!」
下は溶岩が流れていて、危うく踏み外しそうになって足場が少し崩れる。そして、落ちた石ころが一瞬で溶けたの見て体が動かない。
「なんで、アタシ……こんなとこ来たの!?」
今更自分を攻める。夜に飛び出して近道を使って来たのはいいけどーー
今いる足場から少し離れた所に横穴があり、記憶ではそこの奥にあの扉があったはずだけど……
「い、行けるかこんなの!! っ!!」
また頭がっ!! 今度は場所とかではなく、何か、そう。リーダーの家で見た本の中にあった……
頭痛を抑えながら、入れ物を外し笛を取り出し。
頭の中に浮かんだとうりに笛を吹いた。
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「くっ!! リーダー ダメです!! 奴ら地下の道を壊してしまって進めません!!」
「くそ!! 下手に奴を刺激すれば島は全滅だぞ!?」
リーダーががれきに塞がれた道を恨みがましく見て、引き返そうとしたが突然足を止める。
「……気のせいか……今、レンの笛の音が?」
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「ん?」
襲ってくる花達を裁いていると、突然どこからか笛が聞こえ。なんだろ……とても懐かしい感じが?
「相棒!! ボサッとすんな!!」
っ!! しまった!!
ツルが私の両手に絡みつき、動きが封じられ。黄色の花が花びらの中央から牙を出して来る!!
このまま食われると思った時。また私の体を黒い光が包み込みツタや攻撃してきた花を消した。これって……神殿の時助けてくれたやつ!?
さらに異変はそれだけでは無かった。今度は緑の光も出現してーー
緑の盾と黒の剣が私の手に握られていた。
「おい……こいつは?」
私も何がなんだか理解できない。けど……何故か力がみなぎってきた。
「はぁ!!」
右手の漆黒の剣を振ると黒のオーラが飛んでフラワーイータ達を消し去る。後ろから来たツルは緑の盾で防ぐと、ツタが跳ね返りさらに岩石が何もない空間から出て発射され凶暴な花達を押しつぶす。
気づいたら、ものの数分で魔獣達を全滅させ山に行こうとするとーー
「どうらや、この花どものボス見たいだな?」
地震が起き、目の前の地面が大きく動き。巨大な青い花が出現した。
「真打が出て悪いんだけど……そこどきなさいよ!!」
真正面から突っ込み、青い最上級の花魔獣は何重ものツルを伸ばして来たーー