二十話 火山島
「離せ!!」
ドラゴンの手の中で暴れるが、一向に外れる気配がなく、今は海の上を飛んでいる。
武器をだそうにも、端末がドラゴンの手のせいで武器が使えない。そもそも刺激したら海にドボンだけども。
「大丈夫か、相棒!!」
眼鏡のレンジにパルトが映る。そしてもう片方のレンズにはマップがある。
「このまま行けば、例の火山島に行っちまう、恐らくコイツも神殿にいた亀とお同じ魔獣だ」
「火山島?」
進行方向を見ると、だんだんと大きな山が見えてきた。どうやらあそこが赤のオーブがある火山島で間違いないようだった。
じゃ、このままついて行きばいいのか?
ドラゴンがさらに加速して島に近づく。そして島に辿りつき、森の上を通過しようとした時。何かが飛んでくる。
「うわっ!!」
飛んできた物を回避し急動きを変える。さらに飛んできた物……岩が何個も飛んできた。
何これ!? 襲撃受けてるの!? と叫んでいると、岩の一つが命中してひるんで私を掴んでいた手が緩んでーー
「え? うそ!! お、落ちるーー!!」
そのままパラシュートもなしに落下して行った。
「おい!! これを使え!!」
目の前で光が出て藁をも掴むように掴む。出て着た鉄の棒……傘を持ち上に上げてスイッチを入れる。
カチッ
ブィイイン!!
先端にある薄い板が高速に回る。次第に落下の速度が落ちて来てゆっくりになって行く。
「た、助かった……」
降下用傘をさし、後ろからドラゴンの声がしてみると、奴は私を捕まえに来ないで火山の方に飛んでいった。
「ひとまず……助かったの、かな?」
「それにしても、あの岩、誰がやりやがったんだ?」
下にある森を見るが、木が邪魔で何かあるか見えない。やがて、私は森の方に降下していく。
○
日が暮れ、手に持つライトが唯一の明かりになった森の中。草木をかき分けて進む。
「で、これからどうする気だ?」
「もちろん、オーブを手に入れる、それとドラゴンをぶちのめす……けど、まずはどこかで休みたい」
長時間、掴まれて、楽ではない姿勢でいたため気分が悪い。よく海の上飛んだ時に出なかったね私……
「けど、その前に……」
今いる森から離れた所に、複数の反応が集まった所。恐らく島に住む者の村があって。この森の……私の周りにも同様うの反応があった。
「動くな」
突然後ろから声が振り向く。ライトが目の前にある槍を照らし、その持ち主を
「動くなっていってるでしょうが!!」
背が低く、肩まである赤い髪の少女が槍を必死に持っていた。
「ねぇ? 手震えてるけど?」
「う、うるさい!! 」
私の腰ぐらいの身長で、ろくに訓練されてないだろう。半袖と半ズボンから出る手足はそこまで筋肉はない。
「てめ、さっきドラゴンに連れてこられたやつだろ!! だったら、何か食料をよこせ!!」
いきなり追い剥ぎしてくる、ちび少女。槍を振り払い、顔面を片手で掴み力を入れる。
「いだぁ!! ぁあぁあぁあぁ!!」
ジタバタ暴れるがそれでも手を離さない。この子には聞きたい事がいくつかあったからだ。
「ねぇ……ドラゴンに石を飛ばしてきたのは、あなた?」
「いだぁ!! そ、そうだよ!! 他のやつも打ってたけど、ドラゴンに一発当てたのはアタシだよょ!! あぁぁ!!」
さらに力を込めて、ギシギシと音を立てる。ほぉ? じゃ、私を落としたのは君なんだね?
「おいおい……相手は嬢ちゃんだし、許してやったらどうだ?」
「そうだ!! そうだ!! アタシを許せ、それとごはんを……ああぁ!!」
「何か私に言う事あるよね?」
最後の通告を出し、いつでも頭を握りつぶす用意を整える。これ以上暴れたら危険だと感じたのか、犯行するのをやめて ごめんなさい と小さく答えた。
「そのくらいにしたやってくれ」
声がして前を見ると林から松明を持った男性が姿を出し、後ろや横からも人が出て来る。
「すまない、ウチの妹分が無礼を……」
「リーダー!! 助けて!!」
赤毛の子が声で、男性を理解したのかリーダーと呼ぶ。乾燥した肌をしバンダナをまいた黄色の髪のリーダーに手を離してくれと言われ従う。
「い、痛いぃ……この!! 馬鹿力!!」
今度こそ頭を潰そうかと思っていたら、リーダーがあの子の頭を叩き黙らせた。
「どうせ、先に手を出したのはおまえだろうが……」
「だ、だって。ドラゴンに捕まっていたの私が助けたんですよ?」
少女が涙目に理由を話すが、近くにいた太った男性が笑いながら
「嘘言え、おめぇ 「あのドラゴンはアタシが仕留める!!」 とか言って目閉じて打ったろう?」
ほぉ、目を閉じてね? 下手したら私は岩に押しつぶされていたけかぁ……よし。つぶす
「……すまない、コイツには俺かよく言い聞かせるから、まずはその手を抑えてくれ」
手を鳴らしていると、リーダーが頭を下げてくる。仕方なく手を下げて言う通りにする。
「すまない……お互いにいろいろと話したいので、よければ村にこないか?」
○
幾つかの松明が置かれた他の家を比べて少し大きい家に入る。中には日常で必要な物が幾つかあるぐらいだった。
どうやらここは、村長であるリーダーの家であり、作戦会議の場として兼任していると、村人に聞かされた。
「さてまずは、この島について話ておこうか……」
事の始まりは一年と少し前。突如、火山からドラゴンが出現し暴れだし始めたのが原因だった。
ドラゴンは島の人間をさらう。時には島から離れ、人や魔獣をどこからか連れ去り巣穴に持って帰って来てきてしまう。
島から出ようとしても、海に魔獣が住み着いてしまい。早くに出た一部の者しかここから離れた港街に脱出できなかった事。
「ドラゴンに連れてこられた人を助ける為に、あんな事を?」
窓の外にある、巨大なスプーンの形をした木を台に固定した投石器を見る。森の中にも木々とかでカモフラージュしてあったのが幾つかあった。
「これ以上、奴の犠牲者を増やす訳にはいかない……この島に住むものも、理不尽に連れてこられた人の為にな」
気づいたら、ここには色んな肌をした人間がいた。リーダーと同じ褐色の肌をした人は島の住人だとして、その他の肌が黒や白い人達は恐らく連れてこられただと思う。
「そして、ドラゴンを討伐する為にアタシ達が動いてんだよ!!」
偉そうに人差指を私に指す赤毛の子。またアイアンクローでもしようとするとさっさと逃げた。
「こら、レン……すまない、こいつは血の気が多くてな?」
レンと呼んだ少女の首元を掴んで、謝るリーダー。それに抵抗している赤毛の少女、レン。この二人はまるで兄弟のようだった。
「まぁ、そっちの……」
まだ自己紹介が遅れ、名前を伝える。
今日はもう遅いため、私とここでの話しは明日になった。
「泊めてやるんだから、ありがたく思えよ!!」
そのまま家の空き部屋で休んでいると、レンが仁王立ちで私を見る。
「はいはい……お休み……」
「おい、こら!!」
ベッドに横になろうとしたか、邪魔をしてきた。何? なんでこんなに突っかかるの?
「アタシは討伐隊で偉いんだぞ!! だから、新人のお前にはアタシが厳しくしてやるから、覚悟してろ!!」
そう言って扉を強く開けて閉じる。
「嵐のようなやつだったな?」
パルトが的を得た事を言い、私もそう思う事を伝えロウソクの火を消し暗くなる。