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便利屋の異世界出張!!  作者: 未来
序章 便利屋
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序章2  別れ、そして……

 「帰ったわよ? 父さん?」


 仕事を終え。薄暗い、港の倉庫に入り私は依頼主であり親変わりの人の元にいた。倉庫の奥から物音がし、分厚いコートに黒髪の上に茶色の帽子を被り、白い髭を蓄えた紳士の男性が杖を持って出て来た。


 「おう、アンか? お帰り、どうだったか?」

 「うん、ちゃんと依頼されたの持ってきたよ」


 ポケットから卵のように丸くて小さな黒い石を出し見せて渡す。父さんは石を受け取って、入念に目を細めて確認し、石から視線を私に変える。


 「どうやら、本物のようだな? お疲れさま、アン」

 「おいおい、俺も仕事したんだぜおやっさん?」

 「おう、そうだったな。おつかれパルト」 


 パルトが声を上げ、父さんはパルトを労ってから。私の頭を優しくなでる。大きな手はこれまでの仕事のせいかゴツゴツしていたが痛くはなく、むしろ心地が良い。


 「や、やめてよ……私もうすぐ二十だから子供じゃないって……」 


 内心で照れているのを隠しつつ、父さんの手をどける。すると父さんは私の撫でた手を何かを思いつつ見つめた。


 「……そうか……お前を拾ってもう十二年もなるのか……全く、あの時拾った子供がいつの間にかなぁ……」


 私と父さんには血のつながりは無い。全盛期の彼が仕事中にて森で一人でいた私を見つけ拾ったのがきっかけだった。最初は孤児院に入るつもりだったが、この白い髪が異様だったので、周りから変な目で見られたため父さんが私を引き取り、この便利屋で働く事になった。その祭にアンと言う名前をもらって様々な仕事をして数年が経っていた。


 「アン……今まで、こんな表で全うじゃない世界で働かせてすまんな……お前みたいな綺麗な奴だったら、良い人生を送れたはずだったのにな?」

 「何言ってんの……そんな事気にした事ないよそれに、父さんは私に居場所や名前だってくれた……仕事だって人の為になる事だからさ? 私幸せだよ……父さん」

 「それに、俺を作ってくれたしな?」

 

 目が潤った父さんの目をまっすぐに見つめ感謝の言葉を伝える。すると、後ろを向いて私から視線を外した。


 「ごほん!! まぁ、そのだ……お前がいて俺も助かりだ、優秀な後継人がいて俺も定年後も安心だ!! けどな、まだ一つやらないといけない事があるんだよ……」


 父さんは再び私の方を向く、その顔はさっきまでと違い真剣な表情だ。それは、彼が仕事の際に見せる本気だった。


 「アン、お前に最後の仕事を頼みたい。これは、お前にとって重要な物だ……受けれるか?」


 私にとって? その言葉の意味を聞こうとしたが、口が止まる。どうやら言えない詳しい事は言えない事を察し私は考える前に


 「受けます」


 と答えた。そうすると父さんの顔がいつもの。太陽のような優しい笑を浮かべ、再び頭を撫でてくる。

 

 「そうか、お前ならきっとそう答えると思った……」


 いつも以上に、そして強くしっかりと撫でてから手を離して私に何かを渡してくる。銀のタブレット式の端末に、私が持ってきたあの黒い宝石だった。


 「この端末と宝石は次の仕事では重要になる。その石は本来はお前の為に必要だったんだが……あそこの屋敷主がただの宝石だと勘違いして持っていたんだ。だが石は今おまえの手にある……アン、おまえの携帯を貸してくれ」


 素直に私の携帯を渡す。父さんはポケットから出した白いタブレットと私の携帯をコードでつなぎ何か作業をする。 


 「今、パルトをそっちの端末の方に移している……よし。これで……」

  

 私に白いタブレットをを渡し、少し離れて振り向く。すると父さんは持っていた杖の先で軽く床を叩くと、突如私の周りの床が光出した。


 「その魔法陣はこれから……私からの最後で、お前の子供として最後の仕事場所つながる、その場所は……異世界だ!!」 


 光出した床から、私を中心に円の形をして浮かび上がる。その場から離れようとするが何故か体が動かない。

 どうして!? と思い、父さんに向けて手を精一杯のばすが、どんなに望んでも近づくことができなかった。 


 「父さん!?」

 「アン!! ここから先は私は着いていけない!! だが、信じているぞ!! お前ならやれると、だから行ってこい!!」


 光が強烈に光出し、目を閉じる。そして何とか父さんを見ようと薄く目を開けると。

 父さんは涙を流し、何かを言って口を動かしていた。


 次の瞬間、視界が真っ白になり。本当に何も見えなくり意識が薄れて行く中、最後に見た父さんの顔を口元を思い浮かべ自然と、何故か涙が出た。そして最後に父さんが口にした言葉。


 「さよなら、我が娘よ」

 

 とそう動いていたのだった。何故? どうして? とそれを考える暇もなく完全に私の意識は途絶えた。


  


 


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