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便利屋の異世界出張!!  作者: 未来
二部 大地の神殿
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十五話 ひと騒動、そして大地の神殿へ

 夢から覚めて、村長は既におらず神殿に走る。  

 太陽がまだ登らないにも関わらず神殿に続く門には村の人、特に大人が既に集まっていた。中には眠気を我慢してくる子共もいてウトウトしていた。

 もしかしてもう始まっているのか? と思い近くいた。木に持たれている青髪の男の子に声をかけた。


 「!! あなたは!?」


 「あの……もしかして儀式ってもう始まってます?」


 何故か驚かれたが、今はちゃんと赤い髪だ。じゃあ、なんで驚いているのかな? 分から無いんだけど……


 「あ、いや……儀式はまだ……みたいですが……」


 そうなんだ、今から行っても間に合うかな? 青髪の子にお礼を言い門をくぐり先へ行く。

 神殿の辺り、甲羅の首ら辺に木の土台や飾りがセッティングされており。テレも村長も恐らくそこにいると思ったのだが、何やら人盛りがあった。


 「あ、あなたは!!」


 と村人の一人が私に気づき慌てた様子で近づいてきた。何かあったのか聞くと


 「それが……巫女であるテレがどこにもいないのです!!」 

                 

                ▲

 「……テレ、出て着ていいぞ……みんな神殿に行った」


 人がほとんどいなくなり、門の傍の茂みから麻の服着て、飾りをつけたテレが姿を現す。


 「カイ……一体どうしたの? 手紙で大切な……おじいちゃんについて大事な話しがあるって……」


 テレの手には手紙があり、カイは心配な顔を浮かべるテレに近づいて手紙を持つ手を掴んだ。


 「ゴメン……今は……俺に着いて来てくれ!!」

 「え!? か、カイ!!」


 カイが強くテレの手を引っ張り。その際手紙を落としてしまうが、拾う暇もなく二人は村から出て行った。


                   ▲


 「そんな……いないって?」


 村人達から事情を聞くと、衣装に着替えるため一人にしていて、あまりにも遅いため様子を見に行ったら、姿がなく辺りを探したけど見つからず。今も村長と一緒に探している と。


 「心あたりはないんですか?」

 「それが……」

 「おーい!!」


 門の方から一人の男性が近づき、手に持ったていた紙を差し出してきた。その紙には 

 今日の儀式を行う前に、村長の重大な事について話したい。 とその旨が書かれていた。 


 「この字は……まさかカイ!!」

 

 カイ? 村人とは少し話しはしたが、流石に名前までは聞いておらず分から無い。それに、そのカイって奴が連れ出したのなら目的は一体……?


 「おい!! 村の外でカイとテレを見かけたらしいぞ!!」

 「はやく連れ戻せ!!」

 「危険だ……早くしないと。この時期は、ウルフ達がまだ活動してるんだぞ!?」

  

 「ウルフ?」

 「この間、おまえさんが騎士達助けたとき狙撃した狼だ」


 相棒が声を上げ、画面に何かが表示される。


 ウルフ

    常に群れで行動し、獲物を狙う。中にはまとめるリーダーがおり。他のウルフとは違う強さを持つ。


 サイズ 小(リーダーのみ中)

 レベル D (リーダーC )


 と表記され、一匹の狼が画面に映る。レベルがなにか気になるが、今は二人が心配だ。


 急いで神殿を後にして、村から出た。


                ▲


 「カイ!! いい加減にして!!」


 森の中。手を引っ張てくるカイを振りほどいてテレは離れ、カイも立ち止まる。


 「ねぇ、どうしたの? カイ? なんだか可笑しいよ?」

 「ごめん……けど。こうするしか……儀式をしたらテレが死んじゃうから!!」

 「え? ……それ、どうゆう事?」


 一度息を飲み込み、カイはまっすぐにテレを見て近づく。


 「一部の大人だけしかしらないけど……儀式をした人……みんな死んでしまうだよ……前の巫女もそうだった、その前の巫女も、そのまた前も……」

 「嘘……そんなの、嘘よ……」


 信じられないと首を左右に振り、口を手に当てカイの話しを聞き続ける。


 「嘘じゃない……しかも、それを行っているのが村長かもしれないって噂もある……」

 「!! 嘘よ!? そんなの嘘に決まってる!!」

 「だったら、なんでみんな死ぬんだよ!! もし、本当ならなんで巫女がテレだけしかいないんだよ!!」


 カイの言う通り、この村に巫女テレしかいない。かつて巫女をしていた者はなぜか皆、命が尽きる前に死んでしまっていた。


 「でも……でもおじいちゃんはそんな事する人じゃない!!」


 テレが叫び村の方に走ろうとした時。一つの影がテレを襲う。カイが走りとっさにテレの手を引いて自分の方へ寄せ、テレが進もうとした先には


 「う、ウルフ!?」


 鋭い牙を持った獣だった。しかも一匹だけでなく、他にも後ろからも横からも何十匹も姿を現す。


 「く、こんな時に!!」


 テレをかばうように手に肩を置いて、辺りを見渡す。カイの体に密着しテレは体をふわせた。


 「か、カイ……」

 「だ、大丈夫だ……お、俺がいるから……」


 二人がお互いを見ていた時、後ろから一匹のウルフが飛びかかる。先に気づいたカイはテレを押し出し、ウルフにのしかかられ暴れる。


 「カイ!!」

 「逃げてくれ!! テレ!!」


 そして、他のウルフ達がテレに迫り既に逃げ場がなかった。もはや立つ事も出来ずテレは目を閉じ、涙を流していた。


 「ごめんなさい……カイ、おじいちゃん、みんな……」


 「ちょと? 私は入ってないの?」 


 ダン!!


 轟音がなり、辺りが静まり帰る中で、一匹のウルフが血を流し倒れる。

 そしてーー


 「愛の逃避行なんて、まだ若すぎるよ? お二人さん?」


 大型銃を構えた、赤髪の女性が笑を浮かべ立っていた。


                  ▲

 

 「あれ、さっき子……あぁ、カイってあなたの事か……」


 神殿の門で質問した青髪の子がカイだと分かり、少しスッキリしたが今はそれどころじゃなかったね。

 まぁ、説明とかは後にするけどまずは……

 

 「ぶっ飛ばす!!」


 腰に構えるAK47を単発で撃ち、一匹ずつ仕留める。ここまで来る際にパルトに説明してもらったけど。

 この世界にいる魔獣にはランクがあって、AからEまで強さがあって打っている狼……ウルフは下から一番のE。群れを集める奴だとCで体が大きいと聞くが今はいないようだ、恐らく下っ端で食料を集める奴らだと思う。


 ダンダンダンダン!!


 襲ってくるウルフ達を打っていると、二人が痛そうに耳を必死に抑えているのが見えた。あ~銃のこの音、慣れてないと驚くよね? けど、人を散々困らせたんだからそのぐらい我慢してね? と言うわけで放置。


 グゥ……ウオォン!!


 残っていた内の一匹が遠吠えを出し、残った数匹と共に逃げて行く。その姿を見て……


 「正しく、負け犬の遠吠えか……」

 「いや、アレは一方的な虐殺だぞ、おい?」


 と相棒に突っ込まれつつ、今だ耳を塞いでいる二人に近づく。既に撤退したウルフの姿を見て安心したか、二人は私を見てくる。


 「たく……どうしてテレを連れ去ったのよ? あんた、危うく死にかけたのに?」


 銃を下ろして、カイらしき青髪の子に言うが何故か返事をしない。


 「だから、なんでテレを連れてこんな危ない事をしたのよ!?」


 再度聞いても、何も返事をせず私を見るだけだった。コイツ!! 無視してんのか!!


 「あの!!」


 隣に座るテレが突然、大声を出し耳を出してきて


 「ごめなさい!! 耳が、よく聞こえないんです!!」


 「え? あぁ……そっか……」

 「おまえが銃ぶっぱなしたから、二人とも耳が遠くなってんだな……」


 まさか放置してしまったのが仇になったなんて……

 結局、耳が遠くなった二人を連れて村まで戻る。(その間、大声ではなさないと行けなかったので疲れた……)


 気がつけば、太陽の頭の部分が登ってきて辺りが少し明るくなっていった。


                ○

 「この馬鹿者がぁ!!」


 ゴン!!


 神殿前。カイは今、父親らしい人のげんこつを頭にくらい、その場に倒れ込む。うわぁ~痛そ……

 ちなみに私は父さんからげんこつはくらった事はない、素直でいい子だ私♪


 「アンさん……すみません……ウチの馬鹿息子……二度も村を救ってもらい」

 

 「いえ、二人が無事だったので大丈夫ですが……儀式は大丈夫なんですか?」


 そう聞くと、カイの父親はだまり込む。既に日が登ってしまった事で、儀式の時間は過ぎてしまっていたようだった。

 これで、もう神殿を開く方法がなくなったため


 (爆破しかないか……本当なら、これ使いたくは無かったけど……)


 内心ため息をつき、神殿を後にしようとした時だった。


 「私……やります!!」


 突如、テレが声を出し台の上に行く。そして大きく呼吸をし声を出そうとした


 「ならん!! 儀式の時はすでに過ぎ去ったのだぞ!!」


 村長が台に立つテレを睨みつける。だけど、テレは動揺もせず村長をみて

 

 「いいえ……まだ儀式の日は終わってません……それに私は例え、この村から追放されても私は儀式を行います……村長」


 覚悟を決めたあの子を誰も止める事が出来ず、テレは再び呼吸を整え口を開く。 


 美声。

 

 ただその一言でしか、この歌にそんな言葉しか浮かばない。今まで聞いてきた歌より、なめらかで、耳に入り頭の中にしっかりと入る感覚だった。

 

 ……誰も言葉を発しない。いや、テレの歌がこの場にいる者を魅了しているから誰も口を開くどころか、息をしているかも怪しかった。

 しばらく、まるで永遠に続くかと思った歌が終わり暫らく沈黙が流れた。


 「……入り口……」


 パルトの呟きでハッとして神殿を調べるが何も起こらない。周りの人も辺りを見るが何も無かったようだった。


 「もしかして、ダメだったの?」

 

 私が呟くとテレが気まずそうに近づき……突然、何かに驚いた顔になる。


 「アンさん!! それ、髪が!! ……ゴメンなさい!!」

 「え? ちょ? 」


 テレが謝りながら、私のつけ毛を取り外し銀の髪が表にでるが……


 「髪が……光ってる?」

 

 目先にかかった髪が何故か銀に光る。慌ててパルトに鏡を出させると一部だけでなく、全体的に光っていた。


 「銀の髪?」

 「まさか、エルフの?」


 辺りから声が聞こえるが、これでは隠せない。どうしようかと思っていたらーー


 ドン!!


 大きな音が神殿から聞こえ、見れば亀首部分が徐々に開いて行く。


 「神殿が……開いた?」


 いきなりの事に私を含めて、全員が驚いていると村長が前に震えながら出る。そしていつの間にか髪の光も消えていた。


 「なんと、いう事だ……まさか私が生きている内に見られるとは……奇跡だ……」


 そうつぶやいた後、急に私を方を向く。


 「村の救世主よ……太古から伝わる神殿はあなたを待っていたようだ……行きなされ、そこにあなたが目指す物はあるはずです」


 改めて、開いた神殿を見てから村長に会釈して進む。後ろからテレが呼びかけてきて一度立ち止まり振り返った。


 「あのさ……私と旅する話し……まずは、キチンと話しあいなよ、帰ってくる前に。それじゃ!!」


 そう告げて、私は大地の神殿に入ったのだった。

 

 

  

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