十四話 儀式前日
村長の家で食事を摂り、復興作業を手伝った後。神殿を下見しようとして村から離れている。
話しでは森に続く門をくぐると分かると言われ今は一人だ。まぁ、今はけが人とかの治療たかあるので人を割く訳にはいかないのが理由だけど。
「これが門で……あとは進むだけか」
木で造られた門をくぐり、一本道を歩く。すると、巨大な岩が見えてきた。近づいてみると、丸い形をした亀の甲羅見たいだった。
「まさか、これが神殿? いや……」
「気づいたか?」
岩の表面をナイフで削ると、表面の岩が抉れ刃先が鉄に カチン と鉄に当たる音がし、表面から鈍色の鉄が見え、甲羅の周りを注意深く調べたが特に変な所は見当たらない。
「やっぱり儀式を待たないといけないかな?」
ナイフをしまいながら、私は昨日の村長の話しを思い出した。
○
「入口がない?」
「左用……あの神殿にはそれがないのです……ある方法を除いて」
村長は一端傍に立つテレを見てから、再び私の方を向いて話しを続ける。
「この村は昔から、あの神殿に関するある言い伝えがありまして、その内容は……」
「巫女が歌い、村を祝福する儀式を行う、と言うものです」
村長の話しを変わりに言いテレが前に出て来る。何故か彼女の目はまっすぐ私を見ていた。
「その儀式は年に一度行われ、巫女……私が神殿の前で祝詞を言い、入口が出て来るかもしれないのです、ただ……」
「今まで儀式を行って来たのですが、一度たりとも入り口らしき者は見当たら無かったのです……」
○
「で、儀式が明日の明朝だと……」
「それまで、下調べのつもりできたけど……」
端末を神殿や地面に近づる。すると大きな機械音が流れ画面が表示される。
「本当に……ダンジョンみたいだね、これ?」
画面にはまるで巨大なビルのような建物が表示され、天辺部分には丸い甲羅……今私がいる所が写される。
「いや、本当にそうみたいだな……残念だが……中の様子までは移しきれねぇようだな」
「ここの……いや、村の下に何か空間がある……もしかしたら、そこにオーブが?」
まだ確信した訳ではないが、画面を変えてマップを見る。マップには、緑のオーブらしき丸い玉が描かれ、重なるように大地の神殿のマークと名前が書かれている。さらに今の現在地を指すマークも一緒だ。
「これ無理やり強行していいかな?」
明日まで待つぐらいなら、今入り口を爆破して入ろう、と爆発物を取り出そうとした時端末から着信音が鳴る。
「うわっ!! ……ってまさか?」
この世界に来てから、この端末に連絡をしてきたのはたった一人だけ……嫌な予感がして恐る恐る電話に出る。
「いやぁ、アン元気かね?」
やっぱりあんたか…… 声に出さず、機械で声を変えている相手に目を細める。
「今君は一つのオーブの近く、いや。正確にはその真上にいると言った方がいいかな?」
「なんで場所知ってるのよ? まさか、これ発信機でもついてるの?」
「まぁ、紛失防止程度には。ちなみに盗聴器などはついていないので、安心してほしい」
あたり前だ!! そんなのついてたら壊すに決まってんでしょうが!!
「さてさて、元気そうでなによりだよ……君はこの世界馴染めているかどうか気になっていたので、つい電話したが必要ないようだったね? 大勢の人を救い、誰も死なせてはいない、見事だよ。これからも便利屋として任務をこなし、オーブを見つけくれたまえ。では健闘を祈る」
電話が切れてしまい。端末をしまう。このまま準備もなしに中に入っても仕方ないため、一端村に引き返す事にした。
「あ、お帰りなさい!!」
「どうでしたか、神殿は?」
「何かありました?」
村に帰ると、村人が暖かく出迎えてくれた。中には包帯を巻いた人等がいるが、それでも動けている人が多く見えた。
神殿では何も無かった事を伝え、そのまま昼食をみんなと摂りながら話し、その後村長の家に戻ると、家には村長しかいなかった。どうやら明日の儀式に向けて準備をしているとの事だ。
「……ところで、一つよろしいでしょうか?」
突然村長が立ち上がり、声をかけてくる。最初は村を助けてもらった事の感謝を伝えられ、この後の予定を聞かれた。一応、神殿の儀式が終わったら村を出る(もし入り口が出て来なかったら爆破するため、勿論言わない)予定を伝える。
「そうですか……アンさん。一つたのみたい事が……」
そう言って村長は一度口を閉じてから
「村を出るなら……テレも一緒に、お願いしてもよろしいでしょうか?」
と突然な事を言われるのだった。
「は?」
「どうかそのままお聞きください……あの子は私の血を分けた子ではないのです」
真剣な目で私に訴えかける村長。既にその事は既に知っているのだが……
「ですが、あの子はまだ若い……このままこのような辺境な村でいつまでもいさせては……あの子が可哀想で……ですから……お願いします。」
「ちょ、待ってくだい!?」
頭を深くさげてくる村長。何度も「あの娘を……お願いします」とつぶやかれどうしたらいいのか分から無い。
「えっと……本人は、この村を出たがってるんですか?」
「それは……分かりません……ですが、あの子は私を苦手とえいているのは確かなのです……ですから!!」
確かにテレは、村長は苦手みたいな事を言っていたが、嫌いと、までは……まさかお互いに誤解している? ……なんて面倒な祖父と孫なんだ? まさか、仲直りさせないと、いけない空気なの?
「その、考えさせてくれませんか?」
このままでは押し切られそうだったので、話しを一度切る。そして落ち着いたのか村長は頭をあげた、気のせいか、目には涙のような物が
「そうですか、ではいいお返事を……」
なんとも気まずい雰囲気になったため、一度二階の方に避難、おっと。そういえば
「村長、あの一つ気聞きたいのですが」
「? なんでしょうか?」
椅子に座る彼に私は
「お孫さんの事、どう思っていますか?」
○
「明日の儀式しだいか」
ベットに横になり、天井を見ながら呟く。今は夜の九時、テレが事前に作ってくれた食事を終えて、儀式まで後数時間のためやる事はない。
「武器、弾薬準備終わり。防弾服は後で着るとして、後はオーブとあの二人か」
儀式で中に入れば暫らくは時間はできる、もしそうで無かったらテレは私と一緒に旅をする。
食料も移動も端末から出せば大丈夫だろうが、これまでの仕事はほとんで私とパルトでしてきたから……それに、まだオーブの回収も終わってもいないし、何よりも危険がある旅なのだから……
「どうにかお断りしていただきましょうか……」
今はどうしたらいいか分からないため目を閉じて、そのまま眠る事にした。
○
「おや、どうしたんだいアン?」
気がついたら、元の事務所……小さなあの港の倉庫で、小さくうずくまる子共に、誰かが近づく。子供は銀の髪をしていて涙を流していた。これは……
「ははっ、まぁ話しにくいのは仕方ないか……おまえが俺の所できたまだ一週間ばかりだしな、心を開けっておも無理はないか……」
男性……若かりし頃の父がおさい子共を、まだであったばかりの私の頭をなでる。そうだ、これは夢だ、しかも何故か過去の……
「アン……まだおまえが、どこの誰だが知らないし、今ツテに親とかいないか探してるんだが……けど、その……」
なんだか口を濁し、幼い私を突然抱きしめた。いきなりの事で戸惑っているが、次第に落ち着いてきたのか、涙は止まっている。
「その間だけ……俺の娘になってくれないか? 例え血がつながってなくても、生まれた所が違っても、俺はそう思いたい……勝手なのは分かるがな」
一度離れ、父は呆然とする私を見る。そして
「おと、うさん?」
小さく呟き、抱き返してきた。父さんはそれに驚き、私を優しく抱き返す。
あぁ、そうか……随分昔過ぎて忘れたけど……この時が始めて、父て呼んだときだったんだ……
やがて、二人の姿が私から遠くなり。何時の間にか目を覚ましていた。