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便利屋の異世界出張!!  作者: 未来
序章 便利屋
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序章 名も無き宝石

「さてと……あとはコイツを開けるだけ……つか、でかぁ!!」

 

 私は巨大な金庫を見てつい声を出してしまうが周りには誰もいないから大丈夫。 慣れないドレスとムズムズする赤く長い髪のウィッグを早く脱ぎたかったがここで脱ぐ訳にはいかない為、我慢する。けど……どんだけ金使ってんのよ……この金庫? 

  

 見るのも馬鹿らしくなる程の何個ものダイヤルさらに、いくつもの機械でのセキュリティシステムを搭載した、まるで軍の基地みたいな金庫から目を離して隣りの警備を見る。既に眠気を誘発するガスを巻いており警備員は無傷で深い眠りに落ちている


 「警備部屋は鎮圧OK 上にいる連中には気づかれてないぜ、相棒?」


 と、手に持つタブレット携帯を見る。画面にはお世辞にも可愛くない全体が空色をし尖った耳を持った猫らしき人形が写っていた。


 「後はこのどでかい金庫を破るだけだが……あのダイヤル全部開けるには二、三日はかかるぞ?」   

 「分かってるって、パルト」


 相棒が言う通りこの大量のダイヤルを操作するのは無理。あれこれ考えて、今手持ちにある道具ではどうすることも出来ず。私はいつもの手段をする事にした、本当はあまり使いたくはないけど……これならロッケットランチャーでも持ってくるべきだったかな? 


 巨大金庫に手を触れて目を閉じ集中し、頭の中で金庫が開くイメージを持ち、そして口に出す

 「開け」

 そう唱えると巨大金庫は大きな音を出し、いくつものダイヤルが勝手に動き周り。巨大な扉が開き、内部の照明が入る。

 中は数え切れない程の小型金庫が並んでいるのを見て


 「わぁお……これまた面倒な?」  

 「え? これ全部見ないと……マジ?」


 体中から力が抜けるのを感じ帰りた気分になるが、仕方なく金庫内部をくまなく探し、目的の物を探したのだけど


 (ここ無駄に広い!! こんなんじゃ、時間がヤバイのにっ!!)


 いくら機械や警備員を黙らせたとしても、暫らくして誰かがこの地下金庫に来てバレル危険もあった。

 人工智能であるパルトによれば、今上の屋敷ではパーティーをやって今余興に人が集中しているがそれがいつまで続くか分から無い。

 体中から焦りからの汗が流れるのを感じつつ、金庫一つ一つ触れ内部を透視して行く。中には高価で希少な物が多くあったが目的の物ではない。ちなみに私はネコババする気はまっっったくない。

 もう既に予定の時間を過ぎており、異変に気づいて見張りの人間を確認に降りてきてもおかしくはなかった。


「これも違う……これも……あぁ!! どこに閉まってるのか分かるようにしろよ!!」

 「待ったくだな、探す方の苦労も分かれっての」

 「あんたは何もしてないでしょうが!!」

 

 イライラが募り、電子である相棒に怒鳴りつつ、これで百個目になる金庫に手を触れ、祈りながら金庫に触れる。金庫の中には、黒色で拳ぐらいの大きさで丸い卵見たいな、宝石とは言い難い物が一つ入っていた。


 「これだ!!」


 思わず叫んでしまい、口を両手で閉じる。大丈夫!! まだ気づかれていない……

 深呼吸してから、無地の宝石が入った金庫のダイヤル式の鍵に触れて強く

「開け!!」と念じた。


 カチッ カタカタカタカタ……カチャ


 ダイヤルが一人でに動き、鍵が開いたような音が鳴る。取っ手を動かすと、簡単に扉が開いて、中にある薄い布に包まれた石を手に取る。黒色であまり高価とは思え無かったが、いつも世話になっている依頼主の希望だから私がどうこうとは言えない。


 (よし、後は脱出を……)

 

 ジリリリリ!!!!!!!!


 「!? うそ!? なんで!!」


 突如。耳障りな警報が鳴る。急いで金庫から出て警部部屋を見る。今だ眠りについている彼らが警報を鳴らせるはずは無かった。


 「まじかよ? 完全にセキュリティは俺が乗っとたはずなのに?」

 

 なら誰が? と考える暇もなく、屋敷とここに通じてる通路に監視カメラが武装した集団がこっちに向かっているのが見えた。


 「やばいぞ!! お客さんがおいでなすった!!」

 「あぁ、もう!! なんでさ!? 確かに警報切ったの!? こうなったら……」


 何でバレたのか考える暇もなく、やけくそになりつつもバッグから透明なシートを取り出し金庫部屋から出てエレベーター前に急いで走りシートを広げた。 


 「こうなったら、プランBよ……」  

                                


 

 地上にある屋敷から、地下にある金庫部屋まで唯一行き来できるエレベータからライフル等特殊装備された兵が七人降りて来る。

 彼らは屋敷主に雇われたその道のプロで、黒い特殊チョッキやフルフェイスヘルメットで表情は隠されているが、彼らの動きには一切無駄もなく、ゆっくりと金庫部屋に進む。

 

 「こちらチーム1 これより金庫部屋に入る」

 

 隊長らしき人物が無線どこかと話し、他の隊員達に指で指示し隊長が部屋の扉を蹴破って突入した。


 「隊長!! 金庫が!!」

  

 開けられた金庫を見て隊員が叫ぶ、そして隣りの警備部屋を見ると警備の者が倒れているのを見て警戒を高める。

 

 「金庫を調べろ!! まだ中にいるのかもしれん!!」


 隊員が全員金庫に入り込む、ここまでの一本道で侵入者を見なかった事からまだ金庫内にいると思ったのだろうが、既に遅かった。


 ガコン!! ギッッ……


 全員が入りこんだのを狙ったかのように突然、巨大な扉がしまって行き。


 「お、おい!! 扉が!?」

 「勝手に閉まっていくぞ!?」

 「止めろ!!」


 誰一人抜ける事なく、完全に金庫の中に閉じ込められるのだった。

  

             

 

 「ふぅ……まさか全員入ってくれるとはね……助かった……」


 連中がまんまと全員中に入ってくれた事に溜まっていた息を吐く。天井から降り壁と同じ色に変色したシートを剥いで直しエレベーターに乗る。

 なんでも引っ付く手袋使ってエレベーターの中の天井を登り、あらかじめ開けておいた所を一部の壁を押し外に出た。

 

 「この手袋とシート……本当使えるわぁ……」

 

 さっきはこの手袋で天井にくっついて、カメレオンと同じ特性を持ったシートで姿を隠してやり過ごす事ができて。さらに、連中が金庫に入った所で念じて、金庫の扉を閉めた。もし、あそこでエレベーターの方も見張られていたらこうも簡単には入れ無かった。


 「さてと……うぉ!!」 

 「大丈夫か?」

  

 突如エレベーターが動いて転びそうになるがワイヤーを掴んで踏ん張る。どんどん上に動き幸い、機体の上部分には大きなスペースがあったため私が潰される事は無かった。無駄設計がここで役に立つとは……


 「チーム1から連絡が途絶えた、チーム2は待機。チーム3は金庫部屋へ、その他は外の方へ行け!!」


 下からそんな声が聞こえ、中にまた武装集団が入ってくる。どんだけいるんだよ、こいつらは? と思いつつ、少し上にある通気口に入り屋敷に入る。

 

 「侵入者だと?」

 「警備は何を!?」

 「騒ぐな!! 来客に悟られるな、とにかく一人も外に出すな!! いいな?」


 と通気口の下から、あちらこちらから声が聞こえた。こんな価値の無い石取り返しただけなのに、ここまで騒がれると困る。まぁ、もともとはそっちが悪いのだけど……


 「よっ、と」


 這いずって移動した先。女子トイレの天井にある通気口から出た。ここは屋敷の一階で金庫部屋に入る時もここから入ったのだが、どうやらここは余り使われてない見たいで人気がない。


 「誰もいないようだぜ?」

 「分かった、それじゃ。トンズラしますか」


 トイレから自然に出て、人込みに入り庭に出る。今は余興の最後でステージの上ではある物の準備がされていた。出入り口は既に封鎖され、警備が厳重となっており誰もこの建物からは出られない。


 ……ある方法を除いては。

 

 (あれが準備できるまでどうしようかな……!?っ)


 ステージを見ていると突然誰かが私の手を掴んできて、見てみると


 「いや~これは美しき方だ……」


 若干禿げた中年の高級なパーティ服を着込んで片手にグラスを持って話しかけた男性……屋敷主だった。


 「は、はぁ……」


 適当な返事をして、自分所の金庫が荒らされたのを知らず女に(犯人の女)デレデレしてくる男から距離を取る。


 「すみません……いきなりだったので、びっくりして……」

 「お~すみませんな!! 少し酔ってしまって!! ひぅ」


 顔を真っ赤にして完全に酔った屋敷主がしつこく私の手を取る。内心ではボコボコにしてやりたい!! と思ったが、あれが終わるまで我慢だ!! 落ち着け……

  

「で、その……貴方のような美しい人がお一人で、その……もしよければ……あ、あれに一緒にいか、がですかな、うぃ……」


 酒の匂いで吐き気がし、必死に抑えつつ男が指さした物を見た。あれは、私が奪おうとしていたのだが。


 「いいのですか? 私なんかと?」

 「も、もちろんでう……」


 完全にできあがった屋敷主に手を引かれステージに上がり、大きな籠に二人で乗る。まさか、こんなチャンスが来るなんて……


 「主様おやめください!!」

 「緊急事態なのです!!」


 従者達が当然のごとく止めに入るがそれらを無視し、奴は籠の上にある機械から出る紐を引っ張り点火した。良かった……爆発しなくて


 「ひっ、く、どうですか? これは、私が選んだ女性とだけしか乗る事ができない、本日の最大イベント……夜空の気球を……」


 どうやら頭の中はエロい事しかなく、この企画で女性を口説こうとでも考えていたんだろうけど……ざけんなぁよ!! てぇめ!! と拳を強く握りつつ抑える。  点火した熱で段々と、バルーンが膨らんでいき。後は杭を抜くだけですぐにでも飛び立てる状態まで来ていた。

 後は……


 「あの……すみません領主様……私、力がなく、あの杭を取るのは……」

 「あぁ、そうですな!! お前達、杭を外せ!! くそ、この役立ずどもが!! よい、私がやる!!」


  部下達が何もしていない事に腹を立てて、籠から降りて杭を全て抜く。そして、気球は徐々に浮かんで行き、男に目を向けて念じた。


 「はぁ、はぁ……さぁ、一緒に行きましょう……かぁ……?」

 

 男が籠に入ろうとするが、様子がおかしくなり急にその場に倒れいびきを立てる。慌てて従者達が駆け寄り解放して、何人かが気球を止めに入るが。


 「風よ!!」


 強烈な突風により男達に捕まる前に空に気球は浮かんで上がる。もはや手の届かない所まで風に流され誰も追ってこれない。


 「よし!! 依頼成功!!」


 赤いつけ毛を外し、もともとの短い銀の髪をかきむしる。


 「良かったな相棒? それにしても、あのじいさん、相当飲んでたみたいだな? こんな変装した女にでまでデレデレだしよ?」


 「こんなって、なによ? こんなって? かなり酒臭くて、もう吐きそうなんだからね?」


 一時泊まっているホテルに戻ったら、速攻で脱いでシャワーを浴びよう……


 暫らく私は満月の空を暫らく見続け、空の旅を続けたのだった。


 

  

  


 



 


 


  

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