妖怪達の七夕パーティー編
この期に七夕について調べてみたらいろいろでてきましたが、今回は一般的な日本人の七夕のイメージで話を書きました。
普段は中華風の衣装を纏った少女の紅美鈴が立っている〈紅魔館〉の門の前に長い顎鬚を生やした威圧感のある老人がいるのを見た黒髪の鴉天狗でルポ・ライターの社命丸文は、訝しげな視線を向けた。
「あややや……? 今日って〈紅魔館〉で何かありましたっけ……?」
その老人が大魔王モンバーンという妖怪?で、偶に美鈴の代わりに門番をする事があるのはもちろん知っている、彼女と違い居眠りをしているような隙がまったくなく取材のために潜入するのがほぼ不可能になるので文にしてみればやっかいな存在である。
彼が門番をしているという事は少なくとも美鈴がこの紅い屋敷を離れているという事であり、ああ見えて使命感の強い彼女であるからくだらない用事で仕事を放棄はしないだろう。
「……ん?……そう言えば今日は……」
その時、今日が七月七日の七夕だったのを文は思い出した。 織姫と彦星が一年に一度会えるというこの日に折り紙などで装飾した竹を飾るという習慣は〈幻想郷〉の人間達にもあるが、普通に考えれば吸血鬼のレミリア・スカーレットらここの住人には無縁だと思える。
だがそこは幻想曲物語である、この手のイベントのある日には十六夜咲夜以下メイド達の息抜きとあの紅白の巫女への嫌がらせを兼ねてあの場所で宴会を開くつもりなのだろうと思い付く。
「これはいいネタになりそうですねぇ~♪」
文はにやりと笑う背にあるやや小さな黒い翼を広げると勢い良く地を蹴って青い空へと舞い上がって行った。
梅雨の時期も終われば段々と暑さも増してくるが、それでも外に居れば風も涼しく気持ちの良いものである、ましてや日差し避けの白いパラソルの下で椅子に座ってメイド達の仕事ぶりを眺めていればいれば上機嫌にもなる。
「うふふふふふふ、準備は順調ねパチェ?」
「……そうみたいねレミィ」
満足げな顔で隣の椅子に座るレミリア・スカーレットに隣の椅子に座り薄い本を読んでいたパチュリー・ノーレッジは本から目を離すこともなくそれに応えるが、親友のそんな態度に怒る事はしない。
「くぉぉぉおおおらぁぁぁあああああああああああっっっ!!!!!!」
二人の背後から行かれる獣の咆哮が響くが気にした様子もなくパチュリーは薄い本を読み続け、レミリアはサイドテーブルに置かれたアイスティーを口にする。 そこへ茶請けのクッキーを持って来た妖精メイドの一人のフェア・リーメイドは、主人らの後方で鎖で雁字搦め状態で地面に転がっている黒い髪に赤いリボンの博麗霊夢に気の毒そうな視線を向けた。
フェアが聞いた話だと、レミリアからの差し入れと称し咲夜が霊夢に送った日本酒の中に一服盛って拘束したらしい。 まさか七夕程度でレミリアが何かすると思わなかったというのもあるだろうが、それにして妖怪退治が生業の博麗の巫女にしてはお間抜けな話だった。
「しっかし……お嬢様)の送った酒を疑いもせずに飲みなはってあのザマとはなぁ……博麗の巫女も地に落ちたもんやねぇ~~」
「そうだねぇ……情けない奴!……って感じよね~~~」
やって来た同僚のチャウ・ネーンとラーカ・イラムもフェアと同様の感想を持ったようだ、そんな妖精メイド三人衆の声が聞こえた霊夢が「ぬわんですってぇぇえええええっ!!!!」と般若の様な形相で睨んできたのでフェア達は慌てて退散した。
「……霊夢、うるさい……」
そんな霊夢にだらしなく地面に胡坐をかいた格好で携帯ゲームをしていたフランドール・スカーレットが脇巫女の方へ振り返りもせずに文句を言った。 ここ数瞬間ほど〈紅魔館〉どころか自室から一歩も出ていなかった運動不足を解消したいとか言って付いてきたくせに結局外でもゲームをしている妹の姿にレミリアはあきれ果てて文句を言う気にもなれなかった。
もっとも、「運動不足解消~~~♪」とか言って本編ばりに大暴れされてもそれはそれでレミリアは困るのではあるが、そんな風に思いながら妹の方を見ていたらその視線に気が付いたのだろう、ゲームの液晶画面と睨めっこしていた顔を上げてレミリアと同じ紅い瞳で姉を見つめる
「……ん? 何、お姉様もやりたいの?」
「……やらないわ!」
レミリアがゲーム仲間になるかもという少し期待の篭った目で見つめられながらもきっぱりと拒否すると、「あ~~残念~」とすぐにゲーム画面との睨めっこを再開するフランドール。
「お嬢様も少しは妹様に付き合って差し上げればいいでしょうに……」
「私はゲームなんてしないわよ咲夜……って、あなた……?」
レミリアが怪訝な顔をしたので咲夜は「少し休憩に行こうかと思いまして」と答えるが、別にそれを咎めるつもりではない。 問題なのは咲夜の手にある”それ”である、つい数十秒前もフランドールの手にあったそれを何故このメイド長が持っているのかということであった。
それを問うと彼女は「ああ、これですか?」とレミリアに見せるように前に差し出した。
「実は妹様にお古のゲーム機を上げるからやってみてと勧められまして……狩り人となって巨大なモンスターを狩るというアクション・ゲームなのですが、これが案外面白くて……」
暇をみてはコツコツとプレイしているのだと言う咲夜の言葉にレミリアは目を点にして「……はぁ?」と間抜けな声を発してしまう。 それから「はっ!?」と妹の方へと素早く視線を移せば、「にやり♪」としてやったりという風な笑いをレミリアにして見せた。
しばし唖然となったしまったレミリアだったがすぐに我に返り、ワナワナと身体を震わせてから大声で怒鳴った。
「だぁぁあああああああっっっなにやっとんじゃい己らはぁぁぁあああああああああああっっっ!!!!!!?」
そんな吸血鬼幼女の叫びが響いた〈博麗神社〉の屋根の上では、頭部に立派な二本の角を生やした鬼の少女である伊吹萃香が寝そべりながらその様子を見物していた、宴会をするなら参加はするがその準備を手伝うつもりはまったくないのが彼女である。
「……ここの霊夢は難儀なものだなぁ」
鎖でグルグル巻きな何とも無様な巫女の姿にそんな言葉を洩らしながら、紫からお裾分けされたバナナの皮を剥いてかぶりついた。 大抵の世界の霊夢も神社での妖怪達の宴会には頭を悩ませているのは旧友であるスキマの妖怪から聞いた話だが、それにしてもここまで酷い扱いなのはそうはないだろうと萃香も思う。
「ま。 私がどうこうと考える事でもないか……」
所詮ここはそういう二次創作と言ってしまえばそれまでの事でしかないと考える萃香には霊夢を助けようという気もない、食べ終わったバナナの皮を傍らに置くとそのままごろりと寝そべった。
「…………こうして織姫と彦星は一年に一度、七夕の夜にだけ会うことが許されたのでした……」
〈鈴奈庵〉、〈人里〉にある小さな貸本屋で子供達に織姫と彦星の物語を読み聞かせているのはこの店の店主の娘である少女の本居小鈴だ、椅子に座りながら朗読する彼女の周囲に子供達が真剣に聞き入っているのを人間に化けた二ッ岩マミゾウが見物している。
「……めでたし、めでたし」
小鈴がそう締めくくり本を閉じた、「良かったね~」とか「一年に一回だけなんて可哀そう……」などと子供達が感想を口にしていく。 同じ話を聞いていても彼らの千差万別な感想を持つというのはいい事であるとマミゾウは思う。
大人の考える”たった一つの正解”などと子供に押し付けるものではない。
「さてと……お母さん! 私、ちょっと出かけてくるね!」
子供達が帰った後に小鈴が店の奥へそう大声で言うのを聞いたマミゾウは「ん? どこへ行くのじゃ?」と尋ねると、「霊夢さんに用があるんで〈博麗神社〉です」と返ってきた。
「ふむ……じゃが、今日は〈博麗神社〉へは行かぬほうが良いぞ小鈴よ?」
「へ?……どうしてです?」
当然ではあるが小鈴が怪訝な顔のなるのにマミゾウはどう説明したものかと思案する、今夜はレミリア・スカーレット主催の七夕宴会があの神社でやるという事ならば今頃は〈紅魔館〉のメイドや気の早い妖怪も集まっているだろう。 場所が場所だけにこの少女が襲われるという事はまずないだろうが、だからといってわざわざ妖怪の集まりに行く必要は本居小鈴にはないだろう。
「まあ……とにかくじゃ。 大人の忠告は聞いておくものであるぞ?」
「はぁ……そうなんですか……?」
釈然としないものはあるが、この不思議なお客さんがいい加減な事を言っているようには小鈴には思えなかった。 だから、〈博麗神社〉には明日行くことにしたのだった。
日が暮れれば〈博麗神社〉の境内を照らすのは、妖精メイド達が用意した提灯の明かりのみであるが、妖怪の宴にはそれでも充分だ。 すでに境内に運び込んだすべてのテーブルに料理や飲み物が並び〈紅魔館〉の妖精メイドや話を聞きつけた妖怪達が宴の開始を待っている。
「……つか、お前も縛られるの好きだなぁ……」
この妖怪の宴において数少ない人間の参加者である霧雨魔理沙は賽銭箱の前に縛られた霊夢を見つけて呆れ顔でそう言ったものだ、その魔法使いの少女に「んなわけあるくぁぁああああっっっ見てないでこれ解きなさいよ~~~!!!」と叫ぶ霊夢だったが下手に解いて暴れられて宴会を中止にさせられては適わないと放置しておく事にし、少しズレた黒い尖がり帽子を被り直す。
狸の耳と尻尾のある本来の姿に戻っているマミゾウはそんな二人の会話に、鴉天狗の社命丸文とすれ違ったときに「明日の《文々丸新聞》をお楽しみに~」とにやけ顔で言われたのを思い出し、どんな記事を書く気やらと思った。 仮にも博麗の巫女である霊夢が妖怪にいいようにあしらわれ神社で宴会をされているなどと〈人里〉で噂になれば〈博麗神社〉の株価は大暴落であろう。
「……まあ、所詮は幻想曲物語だし問題もないか……」
そう結論を出し素直に宴会を楽しむ事に決めた。
「そろそろかしらね咲夜?」
空もすっかり暗くなり星達が輝いているのを見上げていたレミリアが言うと傍らに立つ咲夜はコクリと頷いた、そして宴会の開始を宣言するために椅子から立ち上がった時に突如として女の声が響いた。
「ところがぎっちょんっ!! そうはいかないんですよぉ~~~~~~!!!!!」
突然の事に驚いたレミリアは声が頭上からしたように思え〈博麗神社〉の屋根の上を見上げると、青と白の巫女服を着た蒼いツインテールの少女が巨大な鎌を構えて立っていた。
「何者ですっ!?」
スカートの中からスッと《銀のナイフ》を取り出した咲夜が鋭い目で少女を睨みつけ、その隣にやって来た美鈴もファイティング・ポーズをとる。 いかに来るもの拒まずな宴会とはいえ、いきなり武器を構えているような輩を歓迎する気はない。
「おっほっほっほっ!! 私の名はエリカ、ダーク・レイム様の部下ですわっ!! あなた達の楽しげな宴会をメチャクチャにしてこいというあの方の命令を受け参上したのですわよっ!!!!」
「ダーク・レイム!?」
「そうですわ、レミリア・スカーレッとぉぉぉぉおおおおおおおおっ!!!!?」
一歩前に出したエリカの右脚が何かを踏み次の瞬間盛大に滑ってバランスを崩す、エリカ本人には何が起こったのか分かるはずもないがレミリアには何か黄色い物だったように見えたが、流石にそれが伊吹萃香が食べていたバナナの皮だとは想像もしない。
ともあれ、頭から勢いよく地面に突っ込んで「ぎょへっ!?」と悲鳴を上げたエリカだったが彼女の不幸はそれだけでは終わらない。
「…………はっ!? 何だかよく分かりませんが……美鈴、メイド軍団の皆さん! やってしまいなさい!!」
以前の襲撃でダーク・レイム=レミリアの敵という認識がすでに出来上がっていた咲夜の行動は素早かった、そして美鈴や妖精メイド達もそれは同じでありメイド長の命令を受け「い~~~~~~!!!」と悪の秘密結社の戦闘員みたいな掛け声を上げて突貫していく。
「ラーカ、チャウ! あの敵に【ジェット・ストリームアタック】を仕掛けるわ!」
「オッケー!」
「任せとき!」
先陣を切る妖精メイド三人衆が一列に並んで迫ってくるのが、ようやく地面から頭を引っこ抜いたエリカが直後に見た光景だ、そしてそんな状況下で先頭のフェアを踏み台にして【ジェット・ストリームアタック】を破ろうという発想が浮かぶほどエリカは某ロボットアニメのファンではなく、三連続の体当たり攻撃を受け「あぎょへ!?」と仰向けに転倒する。
「〈紅魔館〉門番、紅美鈴! 目標を駆逐しますっ!!!!」
無論それだけで済む筈もない、他の妖精メイド数十人と美鈴も容赦なく彼女に迫って来た。
「……ちょっ……嘘……やめ…………ぎゃぁぁぁああああああああああっ!!!!?」
もはや個体戦闘能力の高い低いは関係ない、満足に戦闘体勢もとれていない状態で数の暴力の前には成す術もなく断末魔の悲鳴を上げるしか出来ないエリカちゃんであった……。
〈外界〉であれば余程の田舎か山奥へでも行かないと眺める事は出来ないであろう満点の星空も、〈幻想郷〉に住む者には見慣れたごく普通の光景でしかない。 それに七夕の夜に天を流れる天の川を見上げて想いを馳せるという事をするような妖怪達ではない。
だから、彼女らの関心は酒や食べ物やドンチャン騒ぎでしかなく、すでにこれが七夕の宴会だとほとんどが忘れていた。
ついでに言えば、先程の襲撃者の事も誰一人カケラも覚えていない。
そんな中で、ようやく開放され酒と食事にありつけた霊夢は宴会場の片隅に飾り付けのされた笹を見つけた。 ドンチャン騒ぎが目的なレミリア達にこんな物を用意するという発想があるとも思えず怪訝な顔をする霊夢。
「まったく、七夕なのに笹を用意しないなんてレミリア・スカーレットも抜けてるわよね?」
よく知る声に霊夢がそちらを見ると予想通り長い金髪を端で束ねた紫のドレスの妖怪が微笑を浮かべて立っていた、「……八雲紫……あんたもいたのね」とその妖怪の名を言う。
「まあ、偶にはね」
本人にしてみれば楽しげに笑っているつもりなのだろう紫の笑いは、霊夢には怪しげな笑いにしか見えないのはこのスキマ妖怪の日ごろの行いの賜物だろう。 そんな思いが容易に見てとれる紅白の巫女の表情に紫はやれやれと思った、自覚はあるがこの程度の事でも疑われるというのは少し酷いのではと思いたい。
「それより霊夢、あなたも短冊に願いを書いて吊るしてみる?」
「短冊?」
霊夢はもちろん七夕のその習慣は知っていたが、神様でもない相手に願掛けをするなどくだらないとしか思っていなかった。 もちろん他人がしているのを声を上げ否定するほど子供でもない、所詮はイベントとしての形式的なものである。
だから、「別にいいわ、くだらない……」とそっけない口調で答えると紫に背を向けて歩き出す、その霊夢の背中を見送りながら霊夢らしい反応ねと思う紫。
願いというものは他者に叶えて貰うものではない、確かに他者の力を借りねばいけない時もあるだろうが結局は自分自身の力と努力で叶えるべきもにである。 それでもヒトが神に願い事をするのは、自らの願いを文字や言葉にする事で必ず叶えると近いをたてるためではないだろうか。
そして自分ではどうしても無理という状況になった時に少しだけ力を貸してほしいと頼む……だから、七夕の日に笹に短冊を吊るすというは子供じみたくだらない行為であるとは紫は考えていなかった。
「ふふふふふふふ」
この竹の飾りは八雲藍と橙に命じて手作りさせたものだ、寸文の狂いもなく綺麗に仕上がっているものと少々いびつな形のものがあるのを見ればどっちが作った物かは一目で分かる。
慣れない作業に四苦八苦している橙に藍が困ったような、しかしどこか嬉しそうな顔で作り方のコツを教えたり時には手伝ったりしている光景は、母子の様で微笑ましく少し懐かしさを感じた。
大昔の親友と一緒に七夕飾りを用意して笹に飾り付けをした事もあったものだった、いろいろと振り回されもしたが彼女との思い出は紫にとっては大事な宝物である。
「……流石に子供じみてるわね」
もう一度その親友に会って話をしたいと短冊に書いてみようかしらなどという考えが浮かんだのに思わず苦笑した紫だった。
〈黒博麗神社〉の地下にある〈祭具殿〉にはどういうわけか広い闘技場の様な部屋が存在し、そこででエリカは凶暴なモンスターと素手で対峙していた。
「ひぃぃいいいいいいっ!!? このナル……ガと……素手で戦闘なんて無茶ですわぁぁぁああああああああっっっ!!!!」
蝙蝠と竜を掛け合わせたような黒い身体を持つモンスターから必死で逃げ回るエリカの姿をダーク・レイムは天井に設置されたカメラを通して別室で観戦している、『ほらほら、まだ一体目なのよ? しっかりしなさいエリカ』とマイクに向かって言う。
本日のお仕置きは今回も戦う事なく敗北したあまりにも情けないエリカを鍛えなおす意味も込めてナル何とかというモンスター三体の連続狩猟であった。
ちなみに当然というべきか三乙リタイアなどは許されない。
人間の何倍もある巨体に似合わない瞬発力でエリカを追撃するそのモンスターの動きは、物理法則を無視しているのではないかと思えるほどである。
「どひっ!?」
モンスターの噛み付きをすんでのところで回避出来たエリカだったが、そこで不覚にもバランスを崩して転倒してしまった、勢いよく石造りの床を転がりながらもその勢いを利用して起き上がってみせるのは大したものだった。
「当然ですわ! 私を誰だと思っていますのっ!!」
そのいったい誰に言ったのか不明な叫びにモンスターから注意を逸らした一瞬の隙が命取りだった、直後に彼女の視界に飛び込んできたのは空中に飛び上がり身体を回転させたモンスターだった。
「……は!? し、しまっ……てか謀りましたわね書き手……ぎょえぇぇぇえええええええええええええっ!!!!?」
黒いモンスターの鞭の様な尻尾がエリカめがけて勢い良く振り下ろされる瞬間に長い尻尾が更に長く伸びるというありえない現象が起こり、そして勢い良く叩き付けられビタン!という音とエリカの絶叫を〈祭具殿〉に響かせたのだった……。




