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悪魔は再び……編


「……これはまた……どういう事態よ……?」


ゾンビの大群の〈紅魔館〉へ襲撃を遠距離から眺めながら唖然という風に言ったのは、”楽園の素敵なシャーマン”こと博麗霊夢であった。 

 ちょっとしたビル程の屋上くらいの高さを浮遊している彼女の横には霧雨魔理沙と東風谷早苗の姿もあったが、三人がそれぞれに異常事態を察知してやって来たら偶々一緒になったというだけで、共同戦線を張ろうというような考えはない。

 しかし、「……どうするんだよ、こいつは……」と魔理沙が二人の巫女に意見を求めたのは、この状況では単独で突っ込むのは危険と判断したからである。


 「……前に出て戦闘中なのは美鈴さんと咲夜さん?……でしょうか? それに湖から砲撃をしている人達……は味方のようですけど……?」


 早苗のミコ・視力でそれは何とか分かった、現状の戦況はゴジュッポヒャッポのように思える。

 その時、後方のゾンビの一団が湖の方へと進路を変えた、どうやら砲撃をしている少女らを叩こうという様子だ。

 その動きはレミリアにも見て取れて「ちょっと! やばくない?」と叫んだ、どこからやって来たのかも分からない少女達であっても、味方をしてくれる者達であれば心配もする。


 「……心配ないわ」

 「…………」


 レミリアに答えたのはいつの間にか戻っていた本物のパチュリー・ノーレッジであった、彼女の後ろにある大きな段ボール箱には例大祭の戦利品うすいほんが詰まっているのであろうとは簡単に想像出来た。

 しかしレミリアが絶句したのはそこではない、親友である彼女が普段着ている服の上からモスグリーンのジャンパーを羽織り、その背には華のようなマークが刺繍されていたからであった。


 「……そうよね、ツカ?」


 パチュリーはレミリアを見ようともせずに空を見上げて不敵に笑う、その視線の先には豆粒のように小さく見える白い何かがあった。 

 それはこっちに向かって落下してきているようでその姿をどんどん大きくしてくるその姿は、実際白いプロテクターのような物を装備した実際MS少女風のでっかいレミリアである。

 この機体の名はレミリア・バルバトスルプス、かつて”鉄血のハロウィン編”に出て来たレミリア・バルバトスを改修したものである。

 その機体のコクピットで、「……もちろんです、パチュリー様っ!」と応えるのは小悪魔のツカサであった。 言うまでもないが、アラヤシキ的なシステムはないのでツカサはちゃんといつもの服を着ているのであしからず。


 「二期も始まったしやると思ったわぁぁぁぁああああああああっ!!!!」


 お約束のツッコミが響く中、フラン艦隊迎撃へと向かうゾンビの前に着地したレミリア・バルバトスルプスは躊躇なく《ソードメイス》を彼らへと叩きつける。

 十倍以上もある巨体の振るう、大剣めいた形状であるが打撃武器である《ソードメイス》は、一瞬にして数十体のゾンビを実際ネギトロよりひでぇ状態にした。


 「……まだまだよ?」


 パチュリーの呟きの通りに、レミリア・バルバトスルプスの後方から十機程のモビル・ワーカーがやって来て機銃で攻撃を開始する……は良いが、妖精メイド達が二人一組で操縦するその機体は、何とカボチャの胴体に機銃と脚が付いたデザインだったのである。

 当然、「何でじゃぁぁああああああああっ!!!?」とオジョー=サマのツッコミが炸裂する。


 「……何でも何も……今日はハロウィンなのよ? 別にいいじゃない」

 「だから時系列がおかしい言うとんじゃぁぁああああああっ!!!!」


 親友である少女が当然の事のように言いながら呆れた顔で自分を見つめるのに、実際ドラゴンめいたブレスでも吐こうかという勢いで言い返す、そのレミリアの肩をポンと叩いたのは咲夜だった。

 そして苛立ち実際ハンニャめいた表情で振り返ったレミリアに怯えることもなく穏やかな笑顔を浮かべながら、「作品投稿日がハロウィンなのでまったくもって何も問題ありませんわ」と言ってみせた。

 その従者の言葉に一瞬だけ愕然となった後に……。


 「それじゃ身も蓋もないじゃないのぉぉおおおおおおっ!!!!」


 ……と、実際雷鳴めいたツッコミが〈紅魔館〉の周囲一キロメートルの空気を実際振動させたのであった。

 

 トーホ・マッポは「……どこまでもふざけた真似を……」と忌々し気に吐き捨てた直後に、レミリアのツッコミの咆哮めいた音量に思わず両手で耳を塞いだ。

 そして、それが収まると大音量の発生源たる少女の物である紅い洋館をキッと睨み付けた。 彼にとっては見慣れたシルエットの館だが、それ故にその存在を許す事は出来ないのは、この〈紅魔館〉など出来損ないの紛い物でしかないからだ。


 「……だが、そんな紛い物共に私がこうもやられるのが……どういう冗談なんなのだっ!!?」




 「……相手が悪かったというだけじゃろうな」


 霊夢達とは別の方向から戦いの行方を見守っていた”捕らぬタヌキのディスガイザー”こと二ツ岩マミゾウが誰にともなく呟く。

 ゾンビ達の数がすでに半数以下に減ってきているのが、連中が豆粒めいてしか見えないここからでも分かる。 トーホ・マッポに何か切り札でもない限りはこのままレミリア達が押し切って勝つだろうと思えた。

 どだい三年かけて構築されてきた何でもありな世界観に対し数で押すという正攻法が通じるはずもない、自らの価値観のみを絶対としてそれ以外をすべて紛い物としか見れない男にその発想は浮かぶまい。


 「確かにこの小説セカイ二次創作ニセモノではあるがな、それでも東方プロジェクトの世界やキャラクターが好きで創られてきたもの……お主が気に入らんのは勝手じゃが否定はさせぬぞ?」


 聞こえてるはずもないのは承知でマミゾウは言うと、近くにあった手ごろな岩に仕掛けた。 いざとなれば助っ人に入ろうかとも思っていたがその必要もないようだというのは、半ば予想はしていた事ではあったが。


 「……さて、後はこの”物語”がどういう結末を迎えるかというところであろうかのぉ……?」



 

 手段はさておきこちら側が圧倒的優勢になってきて一安心のレミリアの耳に、唐突に「え~~~!!!?」というフランドールの叫び声が響いたのにギョッとなる。

 いくら自軍が優勢になったといっても、相手にどんな切り札があるか分からない以上は最後まで油断してはいけないとは心得ていた。


 「なっ!?……何事っ!!?」


 そのフランドールはスマートフォンの画面を驚愕の表情で凝視していたが、姉の声に顔を上げて驚きと歓喜の混じった大声を上げた。


 「モンハン・ク□スにG級が!! モンハン・ダブルク□スが発表されたわぁぁああああああっ!!!!!」 


 「…………はい?」


 妹の口から跳び出した予想の斜め上をいく言葉に思わず目を点にして口をポカンと開けてしまうレミリアは、「……あら? ニコ生での重大発表ってやっぱりそれだったのね」と親友の声を聞いた。

 つまりフランドールはこの非常時であってもネットでゲーム関連の情報をチェックしていたという事である。 徐々にこみあげて来る怒りと苛立ちに身体をワナワナと振るわせ始め、そして実際怖いくらいに目を吊り上げて咆哮した。


 「んなもんどーでもええわぁぁぁあああああああああああああああっっっ!!!!!!!!!」

   


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