神様仏様女神様
イエス様とか仏様とか天照大神とか出てきますがそこんとこは全部3次元とは関係有りません。
「ああ…疲れたのぉ…」
「爺は見てるだけだから楽じゃねえか!!ちゃんと仕事してんのか!?」
とある国のとある地方のとある教会の 十字架の上に腰掛けている老人とおじさん風の(といっても実際おじさんだが)男が喋っていた。
「大体いっつも拝まれとるのはお前の方ではないか。」
「ああ!?なんだよこのくそジジイ!いきなり人を転生だのさせときやがって!!一回死んだの、あれ凄く痛かったんだからな!!」
おじさん風の男は憤慨して叫ぶと、ふっと姿を消した。
「やれやれ、キリス.トの奴も短気じゃのう。」
そう呟くと 老人もとい教会の主である全能の神はすっと姿を消した。
「アマテラちゃーん!!今日も美人さんだねー!!」
ナンパしようと走り寄っていく先にいたのは絶世の美女。その美女が足を振り上げ
メコッ
「お前は何故“懲りる”と言うことを知らんのだ…」
後から現れた老人は諦めたように首を振る。
「いやだってさfather!!目の前に絶世の東洋美人がいたら声かけるでしょフツー!」
「かけん。大体お前それでこの前ヴィーナスにもテンニョとやらにもフラれとっただろうが。」
「だってさ!あれは偶然dごふっ!!」
見事に拳をめり込ませているのはアマテラこと、天照大神
「そんな事言ってると私、「国」に帰りますよ?」
どうやら自分がしゃべれないことに不満を持ったらしい。
彼女はニホンという東洋の島国の神で_____八百万の神々の中で一番偉いらしい。
今はここ|(本部)の受付をしていて(かといって客が来るわけでもないのだが)なかなか楽しんでるらしい。
「今日はクリスマスの準備期間ですから!手伝って下さいよ!」
様々な国の「神」が集まる本部では毎日がお祭りなので、「自分の祭りは自分で」」という暗黙の了解がある。しかしクリスマスだけは別。不参加の神も結構居るが、主に欧米の神は異様な盛り上がりを見せその主役となるのがおっさん(イエス)なのである。
そんな本部の傍らで…一人胃をキリキリさせている青年が居た。
「おいニコラス、そんな胃痛が酷くて大丈夫か?」
「あ~またこの時期だよ…なんかもう俺胃に風穴あけんの何回目だよ…」
彼は俗に言う「サンタ」だ。人間だった頃の名がニコラスなので、ニコラスで通っている。彼曰く、
「サンタっていったら赤い帽子の髭のおっさんだろ。あの某コーラ会社が広めた。」
まだ青年でいたいとの希望でニコラスなのだが…
「はっきりいってキリストの弟子の一人とかぶるんやわー。儂にはよう分からん」
巻いた髪にぽっちゃり体型、額の中心に白いモノ__言わずと知れた仏である。
『もういっそのことサンタになれよ!髭つければいいじゃん!』
ケータイをいじりながらガネーシャは呟いた。彼は本来クリスマスをやらない方だが、何せ金の神。世の流れにはめざとい。
「ていうかさ、神がケータイっておかしくね?ガネーシャ。」
『何を言う!世の流れを逐一追いかけ、全てを知る。それが我の定め!』
「そういっとる割にやっとるのゲームやないか。」
『はっばれた!!』
「あーもうお前ら黙れ…胃痛が増す・・最近はカップルがいちゃつく日だって決めつけてる島国もあるし
よ・・・」
そこでブッダは故意に目をそらし、離れたところで静かに聞いていた天照は反論する。
「いっいいじゃないですか・・!!欧米の皆さんが持ってきて下さったんですもの!!!」
「いやでも流石にカップルの日はないと思うぜ?お陰でプレゼント配らなきゃいけねえ所増えたしよ…一週間後にまとめてやれば楽だろうによ・・・」
31日はブッダの家が、1日~3日は天照その他の「家」が大繁盛なのだ。
「オイオイ俺の誕生日を偽装しないでくれよ!!」
いきなり割り込んできたキリストだったが、天照の回し蹴りによって撃沈した。
「「お祭り好き」なのは昔からです!!ただ…なんか違ってくるだけなんですよ…」
「いやバレンタインにチョコレート配るとかもびっくりしたけどよ…菓子会社の作戦が文化になるような国ってなんなんだよ…」
「すいません・・・。」
彼女はかつてバレンタインに大きく「義理」と書かれたチョコを世界中にばらまいた前科がある。
何も知らない神々は驚き、彼女に「聖バレンタインの日」を教えた神々は驚き、さらにその文字の意味を
知って驚いた__という次第である。
全世界で?マークが飛び交い、そのことを知った彼女は・・・
引き籠もった。
元々の国民性も手伝い、中々出てこなかったが仲間の泣きオトシで出てきたという。
ちなみに最初は踊って誘い出したらしい。
(ほんっと、なんなんだ・・・)
ニコラスも、元々は人間である。
彼はちょっと金持ちだったので、たまたま「12月25日に」「金貨を」「暖炉に」放り込んだだけだった。そのことが巡り巡ってサンタを作り上げてしまい、神の一員になる。
しかしサンタは彼だけではない。1月7日にやる奴もいれば、女もいて、いわばワークシェアリングをしているような状態だ。
だから彼には一晩で全世界を駆け巡ることなど出来ないのだ。
ただちょっとした気まぐれに、不幸だったりする子に、サプライズを送る…それが彼の仕事だ。しかも12月25日限定。これほど楽なこともないと思われたが、ネタの仕込みや準備、その他諸々で大体3ヶ月はかかるし、残った9ヶ月は本部でほかの神の手伝いをすることになってしまった。
(死に神とかよりゃ、ましかな…)
鎌で相手の魂を切り取る。そんな仕事の友人もいた。前見たときは「鎌よりよっぽど良く切れるぜケケケケケ」と笑ってチェーンソーを振り回していた。最近本部で見かけない、とサンタの仲間に聞いてみたところ、折からの自殺者倍増と、少子高齢化で忙しいらしい。
あいつ元気かなーとかとりとめのないことを考えながら出てくるモノといったらため息しかない。
この姿|(理想と現実のギャップ)を見たなら、誰しも涙が出てくるに違いない。
愛福の自己中企画第一弾です!!よろしくおつきあい下さい。