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Design  作者: 相野仁
8/13

(7)

 黒髪の方はモミジ、銀髪の方はクレアと名乗った。

 二人は現実での知り合いでログインしてすぐ合流に成功し、掲示板での情報を頼りに俺を探してたのだと答えた。

 

「所持金は千ゴールド、初期装備は選んだ技能アビリティに準じる」


 このへんは説明するまでもない事だろうけど、何から説明していけばいいのか考える時間が欲しかった。

 二人は神妙な顔をして聞いている。

 説明は歩きながらでいい、との事なので街に向かっている。


「基本的にモンスターと戦ってレベルや熟練度を上げる。お金は主にモンスターからのドロップや採掘したものの売却、クエストのクリア報酬で手に入る」

「そのへんは普通のRPGと変わらないんですね」


 確認するようにつぶやいたのはモミジだった。

 モミジは積極的に発言するしっかり者といった感じで、クレアは大人しくて少し人見知りをするようだ。


「アルゴ社が変化好きな会社って言っても、さすがに基本は王道的だよ。気をつけなきゃいけないのは決闘かな」

「決闘ですか……?」


 きょとんとした二人の顔を交互に見ながら俺は説明を続ける。


「プレイヤーへの攻撃、嫌がらせは原則禁止されてる。でも、決闘を申し込んで受けた場合、決闘場に移動して戦う事になるんだ」

「えっと、決闘は拒否できないんですか?」

「いや、できるよ」


 二人はホッとした顔を見せた。

 けど、そんなに甘くない。


「決闘を応じさせる為にあの手この手使ってくる奴いるからね。トッププレイヤーって言われる連中もいるし」

「……えっと、決闘を受けた場合のデメリットはなんでしょう?」


 おずおずとクレアが聞いてきた。


「条件にもよるけど、所持金と装備品、アイテムを奪われるかな」

「ええ、ひどい!」


 憤慨して声を強めたのはモミジで、クレアも眉をひそめ不快げにしている。


「決闘だとそこらの雑魚モンスターよりも経験値が稼げるし、儲かったりする。だから決闘プレイヤーって呼ばれる奴はいくらでもいるんだよ」

「そ、そんな……」


 二人の表情は目に見えて暗くなった。


「暗黒天使とかはトッププレイヤーを狩り続けて最強の一角を維持してるし……まあ、あの連中はトップ級プレイヤーしか標的にしないから、二人にとっては安全だな。もっとも、

初心者を中心に狙う奴もいるから要注意だ」


「防ぐ手段はないんですか?」


 質問してきたのはモミジだったけど、クレアも同じ思いだったんだろう。

 二人から縋るような目を向けられ、俺は少し気まずい思いをした。

 何とかしてやりたいけど、システムとして認められているうちは難しい。


「一つ、挑発には絶対乗らない。二つ、知り合いを増やす……特に強い人と知り合いになっておくと効果あるよ。初心者狩りをするような奴にはね」

「なるほど……ちなみにステイルさんは?」


 興味津々といった様子で質問してくるモミジに思わず苦笑した。


「俺は二つ目のパターン。大して強くないし。自慢する事じゃないけど、トップ級と仲いいから、喧嘩売られる事は少ないかな。タイミングが合えば二人にも紹介するよ」

「それはありがたいです」

 

 二人はぎこちないながらも笑みを浮かべてくれた。


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