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あのとき渡さなかったラブレター  作者: かりすと


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1/1

渡さなかったから終わったのか、渡しても終わっていたのか

※少しだけ大人向けの恋愛の話です。


伝えなかった気持ちと、伝えなかったから残ったものを書きました。

部屋の奥から、それは出てきた。



古い箱の中、何冊かの本に紛れて、一通の封筒。



見覚えがあった。



開けなくても分かる。



自分で書いたものだから。



ラブレターなんて、今どきらしくないと思う。



でも、そのときは、それしかなかった。



スマホで送るには軽すぎて、

言葉にするには重すぎた。



だから、書いた。



書いて、書いて、書き直して。



何度も消して、何度も残して。



そのくせ、最後まで“好き”とは書かなかった。



逃げ道を残したまま、封をした。



結局、それを渡すことはなかった。



理由は、はっきりしない。



タイミングがなかったのか、

勇気がなかったのか、



多分、その両方だった。



あのときの関係は、曖昧だった。



友達以上、とは言えない。


でも、他の人とは違う距離だった。



よく一緒にいたし、

よく話したし、



帰り道も、自然と同じ方向になっていた。



それでも、決定的な何かはなかった。



「これって、どうなんだろうね」



一度だけ、そんなことを言われたことがある。



「どうって?」



分かってて聞いた。



「分かってるでしょ」



そのとき、何も言えなかった。



何か言えば、変わってしまう気がしたから。



変わるのが怖かった。



だから、そのままにした。



そのままにして、

何も起こらないまま、終わった。



気づいたら、会うこともなくなっていた。



特別な別れがあったわけじゃない。



ただ、連絡が減って、

予定が合わなくなって、



気づいたら、いなくなっていた。



ラブレターは、そのあともずっと持っていた。



捨てる理由もなかったし、

残す理由もなかった。



ただ、そこにあった。



今さら渡すこともできない。



相手がどこで何をしているのかも、知らない。



結婚しているかもしれないし、

もう名前すら思い出されていないかもしれない。



封を開ける。



紙の匂いが、少しだけ昔を連れてくる。



文字は、思っていたより幼かった。



遠回りで、言い訳みたいで、



それでも、ちゃんと残っていた。



一部だけ読む。



全部読む気にはなれなかった。



あのとき言えなかったことが、

そのまま残っている気がして。



手紙を折り直す。



封筒に戻して、少しだけ考える。



捨てるべきか、残すべきか。



どっちでもいい気がした。



もう、何も変わらないから。



それでも、



ゴミ箱には入れなかった。



意味はない。



ただ、



ここまで残っていたものを、

自分の手で消す理由もなかった。



箱に戻す。



少しだけ、位置を変えて。



次に見つけるときは、いつだろうと思う。



そのときも、多分、同じことを考える。



渡していれば、何か変わっていたのか。



それとも、



渡しても、何も変わらなかったのか。



答えは、きっとずっと出ない。



だから、



このままでいいと思った。



出せなかったラブレターは、



出さなかったからこそ、



ここに残っている。



——あなたなら、あのとき、渡していましたか。

読んでいただきありがとうございます。


この話は、

「伝えなかったから残ったもの」と

「伝えていたら変わっていたのか」

をテーマに書きました。


もしよければ、


・渡すべきだったと思うか

・渡さなくてよかったと思うか


あなたの考えをコメントで教えてもらえると嬉しいです。

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