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カナにデレデレ

全国高等学校野球選手権大会、愛知県予選の開幕が、6月27日から始まる。 


抽選は6月13日だ。


ユージが属する愛知県立中野高等学校は、地域では強豪校であるが、愛知県は私学4強が圧倒的強さを誇っている。


強豪と呼ばれる私立校は、選手層・施設・環境・指導体制が、公立高校とまるでちがう。


野球部専用の球場、夜間照明、雨天練習場、最新のバッティングマシンが完備され、全国から有望な中学生を集め、監督以外に打撃、投手、トレーニングなどの専門コーチが指導をする。


公立高校が私立強豪校を破り、甲子園に行くのは、至難の業である。


中野高校野球部は、新たに入部したマネージャーの川伊リコ、鈴木カナが、情報処理部の助けを借り、

各部員の身体能力を計測し、

鍛えるべき筋肉トレーニングの指示、

各自の動画を録画、それをみせて、直すべきところの気づきを与えた。

また、プロテイン、アミノ酸など、身体作り、疲労回復に有効なサプリを摂取するよう推奨した。


このようなソフト面での積み上げによる効果を、部員達が実感し、マネージャーに次は何をすればよいか、進言を求め、マネージャーはそれを粋に感じて、更に新しいを提案するという相乗効果が得られた。


「みんな、随分変わったな。うんうん。なあ、ユージ」

「ああ。精神論だけじゃ、勝てない。特に4強に勝つには。」


ユージが話しているのは、キャプテンの松井である。

キャッチーである。

バッテングは得意でない。

人望があるのかどうなのかは、よく分からない。

では、何故松井がキャプテンなのか?


それは、新チームのキャプテンを、ユージが米村監督から打診されたとき、次の会話があった。


「ユージ。次のキャプテンをやってくれないか?」


「監督、自分がキャプテンをやると、みな息苦しく感じると思うんです。

のびのび野球が出来る環境を作れるのは、松井と思います。

その代わり、自分は副キャプテンとして、松井が言いにくいことを言いますし、フォローします!」


「松井?ハッハッハッ。ユージ、それ、いいな!考えもしなかった。やらせてみるか?」

米村監督は、部員の自主性を尊重する男。


と、言うわけで、松井がキャプテンとなった訳だ。


因みにに、監督が松井が次期キャプテンであることを告げたとき、部員の反応は、次の通りであった。


大爆笑!!


不思議な男だ。キャプテンに任命されただけで、チームがひとつになった。


6月13日の抽選会で、組み合わせが決まった。


シード校は、知多大学附属、栄錦(さかえにしき)洋西(ようせい)、知多医科大学附属である。私学4強である。


ユージ達の中野高校は、1回戦は6月27日、小村第2高校との対戦。 


愛知県予選では、次の決まり事がある。

投手は、1週間で500球以内。


勝ち進むと、連戦ということも当然考えなければならない。

各校ピッチャーは、4〜5人は欲しくなる。


中野高校のピッチャーは、

エース 水島アキラ 3年 背番号1

リコとカナによるサポートでどれくらい球速があがっているか?


2番手 中井 3年生 背番号3

コントロールバツグン。投げないときはファーストを守り、7番を打つ。


控え投手は、3年生の早川、2年生の竹之内と水野だ。


合わせて5人。しかし、水野は完投する体力が無いため、上位に行くほど、ギリギリのやりくりになりそうだ。


場所は変わり、アキラの家に、アキラ、ユージ、リコ、カナが集まり、1回戦以降の話しと部員の動画をチェックしていた。


奈央子は、嬉しそうに、角に座っている。


カナが話す。

「アキラくん、今日、遊びで野茂さんの投げ方を真似してましたよね。」


野茂さんとは、日本球界から、大リーガーに飛び込んだあの伝説のピッチャーだ。

身体をバッターに背番号が見えるくらい大きく捻り、150キロ台の豪速球と大きく落ちるフォークを投げ込み、並み居る大リーガー達をギリギリ舞いさせた。


アキラ「え?見てたの?」と、嬉しそうにカナを見る。


ユージ「おい、デレデレするな!」


リコ「アキラ!かえれ!」


ここはアキラの家である。


「アキラくん、この動画見て。」


「なんだい?カナ。うん。見るよ。エヘヘへ」


「アキラ!真面目な話してるのに、デレデレするな!」


「ユージ、してねえよ。さっきから、うるさいな。かあさんの横に行ってろ!」


「え?いいの?」


リコ「お前ら2人帰れ!」


カナ「リコ!静かにして」


ユージ、アキラ「ざまあみろ!」


リコ「うえーん。おばさーん、お兄ちゃんたちがいじめるー。」


奈央子が理子を慰める。


「アキラくん、ワインドアップ、トルネード、で、ここよ。足を踏み出した時に、フッと声が出ているでしょ?」


「よくわかったなぁ。こっちの方が自分のリズムに合っているんだよね。」


「大きく振りかぶることで全身を使えてる。体重移動の勢いが増してフッという声がでていると思ったの」


驚くアキラ。

リコもカナも凄まじい勢いで、野球、筋肉、身体の構造を吸収していたのだ。


「あと、全身の連動を使って投げるため、かえって効率的で長いイニングも投げられるのでは?」


うーん、と言って、ワインドアップして軽くシャドウピッチングをしてみた。


「どう?」

「まだちょっとわからないかな。」


ユージ「いや、カナ、これはありかも。大会前にファームを変えるのは危険だが、カナとリコのお陰で、少しずつみんな筋力が上がっている。ピッチャーは特に下半身を中心に鍛えている。ワインドアップに対応出来る筋力がついていたら面白いかも。監督に明日みんなで話そう。」


カナ、リコ、お手柄だ!

面白くなりそうだ。


次回をお楽しみに。


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