表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
8/19

完璧主義者の隠し味、あるいは放課後の甘い共犯者

翌朝。教室の入り口で凛と目が合った。

 彼女はいつものように、一分の隙もない制服の着こなしで、冷徹なまでに美しい「学年トップの優等生」の顔をしていた。


 けれど、僕は知っている。

 昨日、ゲーセンのクレーンゲームで見せた、あの執念深いまでの「ゲーマー」の目つきを。


「……おはよう」

「ええ、おはよう。……昨日のことだけど」


 凛が周囲を警戒するように声を潜めて近づいてきた。

 神様なら、世界中の人間に「凛は実はお菓子好き」と触れ回る嫌がらせもできただろう。でも、この教室で僕だけが彼女の『裏側』を知っているという事実は、どんな魔法よりも僕の胸を熱くさせた。


「……放課後、例の場所で。新しい『期間限定』が出たって、データで確認したわ。……一人で行くのは、その.....効率が悪いのよ。……付いてきなさい」


 「効率」という言葉を隠れ蓑にした、彼女なりの誘い。

 放課後、僕たちが向かったのは、学校から少し離れたコンビニのイートインコーナーだった。


 そこでの凛は、まさに別人だった。

 新作のチョコミントアイスを一口頬張った瞬間、あの鋭い目元がトロリと溶ける。


「……これよ。この糖分と、鼻を抜ける清涼感の黄金比。完璧だわ……」


 手元には、ポテトチップスの袋と、スマホのパズルゲーム。

 画面を叩く指の動きは、ピアノを弾く時と同じくらい正確で、かつ猛烈に速い。


「三宅さん……。君、本当にギャップがすごいな」


「……うるさいわね。普段の『三宅凛』を維持するには、これくらいの報酬リターンがないと、計算が合わないのよ。……ほら、あなたも食べなさい。一口だけなら、分けてあげなくもないわ」


 差し出されたスプーン。

 神様、見てるか。

 お前がくれた『心酔させるチョコ』なんかより、この溶けかかったアイスのほうが、一兆倍も甘くて、尊いんだ。


 凛は、自分が「神様に選ばれた特別な存在」だなんて知らない。

 ただ、大好きな甘いものとゲーム、そしてそれを笑わずに隣で見てくれる僕との時間を、心から楽しんでいる。

 

「……明日も、付き合ってくれる?」


 アイスのカップを覗き込みながら、凛が小さく呟いた。

 完璧な彼女の、完璧じゃない、愛すべき素顔。

 僕は自分の「考える力」のすべてを使って、明日も彼女を笑わせる方法を導き出すことに決めた。

凛さんの意外な趣味!

 完璧主義の彼女にとって、お菓子やゲームは、唯一「素の自分」に戻れる大切な時間でした。

 

 それを主人公と共有できたことで、二人の関係は「憧れ」から「共犯者」へと進化しましたね。

 神様も、このあまりにも人間らしい二人の姿には、苦笑いするしかないでしょう。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ