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言ってくれなかったのは-二時頃

 今日もあなたから電話が来る。この着信音が私は嫌いじゃなかった。


 大学の同級生だったあなたとは、ちゃんと3回のデートを経て付き合った。周りの友達からもお似合いだと言われて、私もあなたのことが大好きだった。誕生日にはプレゼントを用意して部屋を飾り付けてお祝いしてくれたし、お互い一所懸命バイトして、旅行をしたりした。


 どう考えても順風満帆だった私たちの恋愛に、亀裂が入ったのは大学4年の3月のことだった。

 就職に伴い、私たちは別々の場所で生きることになった。私はこの地に残って、あなたは大都会、東京へ。

 でも正直、別にうまくいと思っていた。だって、今までもうまくやってこれたし、お互いを思う気持ちさえあればこれからもやっていけるって、そう信じていた。



 実際に遠距離恋愛が始まっても、私たちは仲が良かった。新卒で忙しいながらも連絡を取って励まし合って、「疲れた」ってメッセージが来たときには、あなたの会社の最寄りのコンビニを調べてコーヒーのギフトを送った。

 そして私が1番大好きな時間は、あなたとの電話の時間だった。あなたから「電話していい?」と連絡が来ると胸が躍って、溜まっていた疲れも一気に吹き飛んだ。電話に出て声を聞くと、あなたから電話越しで伝わってくる温もりとか、感じる優しさに顔はいつもほころんだ。頭上で響く目覚まし時計の秒針を無視して、あなたとずっと話していたかった。


 いつか一緒になれる日が来て、これからもずっと人生をともに過ごしていくものだと思っていた。










 そんなあなたから急に別れを切り出されたのは社会人3年目の夏だった。いつものように「電話していい?」とメッセージが来て、いつものように電話に出た。


「もしもし。」


「かけてくれてありがとう。今日も仕事疲れた〜。」



「あのさ。」


「うん?」


「別れてほしい。」






「・・・え?」


「ごめん、別れてほしい。」


「え、いや、嫌だよ。なんで?」


「本当にごめん、そういうことだから。」


「ねえ、そんなの無いよ。ひどす・・・。」

 

 私がそう言いかけている間に、電話は切れてしまった。



 あまりにも突然のことすぎて、涙が止まらなかった。











 それから2ヶ月後、SNSであなたを見かけた。

 共通の知り合いがあなたの結婚式に行っている写真を載せていたのだ。


 ああ、彼女、いたんだ。私よりあとに現れた、私よりも細くて、小さくて、可愛らしい女の子。


 ねえ、なんでもっと早く言ってくれなかったの?

 私の時間、返してよ。


 ねえ、言ってくれなかったのはさ、


 私のこと好きだ、って、愛おしいな、って、


 思ってくれたから?




 いつか私のこと手放したこと、後悔する日が来るかな。

 それまでに私はあなたのこと、忘れられてるかな。


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