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いつまでも終わらない忘れないようなキスがしたい-夢見る隙間

[今日は?]


 あなたからそう連絡があった瞬間、私は家を飛び出す。車に乗り込み、エンジンスタートのボタンを押す。だんだん熱くなる車とともに、私の体も熱くなる。まだ温まりきっていないエンジンを無視してアクセルを踏み込む。

 車を走らせ、1番最初の信号待ちで私は連絡を返す。


【行けるよ】


[また何時につくかわかったら教えて]


 あなたの家までの道を辿るのにナビなど必要ない。幾度となく通ったこの道、信号が変わるタイミングも、車線変更のタイミングも、何もかも全て身体が覚えている。

 何故あなたにこんな夢中なのかは正直わからない。でも連絡があると、なんだかいつも「逢いたい」と思ってしまうのだ。それが何時なのか、雨の日なのか、晴れの日なのかは関係ない。


 2度目の信号待ちでガムを噛み始める。味が無くなる前にあなたの家には着いてしまうのだが、噛んでしまう自分がいるのだ。

 一度あなたを街で見かけたことがある。4月の年度はじめ、まだ夜は冷え込む日にトレンチコートを着たあなたを見た。もともと綺麗な顔立ちだな、とは思っていたが「この世にこんなにトレンチコートが似合う人がいるのか⁉︎」と感動したのを覚えている。

 毎回そんなにあなたのことを思いながら会っていたわけではないけど、その日から少し意識してしまう自分もいて、その感情がすごく邪魔で困っている。

 だから、あなたが私だけを見ていないように私もあなただけを見ないようにしているが、あなたにキスをするたび、抱きしめるたび、あなたの方に顎をのせるたび、バイバイの瞬間手を降る時間を少しでも長くしようとしてしまう。


 3度目の信号待ちで私はあなたに連絡をする。


【あと20分くらいで着く】


[了解]


 私の毎日はあなたで埋め尽くされている。ただドライブをしている日にもあなたの家の前を無意識に通ってしまうし、あなたの会社の近くを通る時はあなたがいないか探してしまう。

 コンビニに行ったらあなたが好きだと言っていたお菓子が目に入ってしまうし、あなたの匂いがするとその匂いのもとを辿ってしまう。あなたの洗濯機の横に置いてあった柔軟剤も枕元に置いてあった香水も、お風呂場にあったボディーソープも同じものを買ってしまった。

 こんな時間が永遠に続けばいいのに、と思いながらも、いつあなたに嫌われるか、何か事情があっていつ会えなくなるかわからない。だから毎回この瞬間が最後だと思っていつもこの道を運転する。


 あなたの家の前に着いた。最後に連絡してからちょうど20分だ。車を停めてリップを塗り直し、車を降りる。カメラに映っている私がかわいいか確認して、オートロックのインターホンを鳴らす。機械音と共に開くドアを通り、エレベーターに乗り込む。いつもの行先階のボタンを押したあと、エレベーターの鏡でもう一度前髪を直す。

 エレベーターを降りてあなたの家の前まで行き、インターホンを押す。ドアが開くと目の前にいるあなたの、その愛だけで生きていたい。

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