繰り返すキスは二人を急かす-あかときリロード
この恋は許されるのか、あなたの家から帰ってきて夜中に1人部屋で考えていた。
ついさっきまで隣にいた彼のことを考えながら自分の気持ちを整理する。半日前までは一緒に寝ていたけれど、今私は家のベッドでこの話を書いている。落差が凄すぎて夢だったのかな、って思うけれど、この首元に残った匂いが現実だったことを教えてくれる。
時は遡って24時間前、あなたの家で私とあなたと友達の3人で楽しくお酒を飲んでいた。いつもより早いペースで飲んでいた私たちは気づけばみんな酔っ払っていた。前日の睡眠不足も残っていた私は疲弊し切ってベッドで眠りについてしまった。
気がつくと唇に何か違和感があり、それがキスだと分かるのに時間はかからなかった。私にそういうことをしていい立場ではないあなたが私にキスをしていて、その事実に驚いた。でも皮膚越しに伝わってくる急スピードで打たれるあなたの鼓動を感じていると、なんだか全てが愛おしく思えた。
4月にしてはかなり気温が上がった今日、シングルベッドは2人で寝るには狭すぎた。お互い身を寄せ合いながらも窓を開けて、2人の体温を調節した。互いに唇を寄せ合うたびに鳴る音は、私たちの世界をどんどん狭くさせていった。私があなたの頬に顔を寄せるたび、あなたは優しく微笑んだ。私が微笑むたび、あなたは私の頭を撫でてくれた。
「今日何時までいていいの?」
『夜友達と飲みに行くから、7時くらいかな。』
時計を確認してあと何時間一緒にいられるか指折り数えて、少しため息をついた。そんな私を可愛いと言ってくれるあなたのことが、とっても大好きだと思った。
お昼ご飯を買いに一緒にコンビニに行ったり、テレビを見て同じタイミングで笑ったり、疲れてうたた寝したり、あなたと過ごすだけでいつもの日常が幸せなものに変わった。やがて暮れていく太陽を2人で見ながら手をぎゅっと握った。
『もうそろそろ家出るよ。』
友達と晩ご飯を食べにいくために準備しているあなたが私にそう話しかけた。私が寂しそうな顔をするとあなたは困ったような顔をしてキスをしてくれた。
『またすぐ会お。いつでも来ていいから。』
「うん。」
私が頷くと同時にあなたの携帯が音を立てた。私の隣でなんの躊躇いもなく携帯を見るあなたの目に映る画面を見ると、明らかに女の子の名前と話しているトーク画面が見えた。私は何も見なかったふりをして、あなたの肩に顎を乗せた。
家を出る直前、あなたがカバンを持って香水をつけていた。手首に1プッシュして擦り合わせて、そのまま首にもつけていた。あなたが香水の瓶を置いた後、私はそれを手に取り自分の身体に振った。駅まで2人で手を繋いで歩いて、手を振り別れた。開く距離が心のようで、自分の匂いを確認するように鼻から大きく息を吸い込んだ。
そこから7時間が経った。
もうすぐ明るくなる空が見えるようにカーテンを開けて、いま私はあなたの匂いとともに自分の部屋でこの話を書いている。
あなたとの時間、あなたとの世界を忘れないように。あなたが私のことを覚えてくれるように。




