物を送る手法
昔電話が普及し始めた頃、電線で声が送れるのであったら物も送ることができるだろうと大真面目に、電線に物を結んで送ろうとする人も多かった。
それが今は実現できる世の中となった。物を送物線に結びつければ、指定先に届けることができるようになったのだ。
これは運送業界が人手不足で悩んでいる折に、届けてもらう身としてはこの上なくありがたい発明であった。物の運搬という積年の課題が、解消されたのだ。ほとんどの運送会社は潰れてしまったが、時代の流れだから仕方がないとも言えた。
世界中に送物線が引かれるようになった。最初のうちは充分な整備がされてなくて事故も多かったが、先進国から技術者が送られて途上国の事故も少なくなった。
人も送物線で世界各地に行けるようになった。乗り物に乗る必要もなくなり、面倒な手続きも要らなくなったため環境もよくなり、旅行者やビジネスマンにも好評だった。
だが密入国者が増えた。監理方法も確立していないため、治安がどの国も悪くなった。危ない物の配送も容易になったため、危険なクスリに手を出したり、武器を持って犯罪を犯す人も多くなった。
送物線の無い昔の方がまだよかったなと、各国の政府は対策に頭を悩ませることとなった。




