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キハの『エッセイ』

一途は素敵だ 目移りは素敵じゃない……か

作者: キハ

よく恋愛において目移りはサイテーだと思う。

私だってそう思う。

目移りされたらキレるし、怒りに呑み込まれてしまうと思う。

まだ告白をしていない状態で目移りするならいいけど、告白しといて目移りはもうサイテー。


逆に一途は素敵だと思う。

初恋から一途な人って何人いるのだろうか。

少なくとも私の初恋は押しかける前に破れた。

破れたというか方向転換して二番目の恋に突入した。

それからは一応一途だ。


……一応。


あまり評判の良くない人だった。

だけど私にはなんだか些細な会話とか好きでそれが恋になったのは言うまでもない。

私が口を滑らせて友達に気持ちを言ってしまってそれがクラス中の噂になっても。

クラスで話していて冷やかされても。

心のなかでは面倒だと思っていても私に対して嫌いとは言わないでくれた。

何とか二人で無視してうわさは乗り切って。

気持ちには触れないでいたけれどいつか押しかけようと思った。


そこまではよかったのに。


ある年、クラス替えがあった。

友達と話された以上にあの人とも離された。

だけど気持ちは変わらなかった。

一途に思おうと思った……思った……。


だが話す男子も増えて。

最初は友達気分だった。

なんだかよく冷やかしてくるからかってくる男子で。

運が悪くも彼と同じクラスになった時は愕然とした。

何かからかわれたら言い返す。

そして相手も言い返す。フツーに言い合いだった。

だけどなぜか面白い言い合い。

それだから友達感覚に近い感情を抱いていったのかもしれない。


そんなとき、他の男子から冷やかされた。

思わず私は「は?嫌いだし」と返してしまって。

彼も「好きって言われたことないんだけど」って言って。

言い過ぎた。けど、否定するのに思わず口から言葉が出てしまって。

お互い嫌いだみたいなこと言ってしまい。


それから話さなくなった。


確かに少し面倒くさかった。

いつも話しかけてきてからかって返して。

だけど、それに慣れてしまった自分は急に消えたそんな毎日が愛おしく感じたのかもしれない。

少なくとも彼のことは嫌いではなかった。

だから余計に胸にわだかまりと残ってしまって。

まあいいかと開き直って。


バレンタインのときクラスの違う好きな人に押しかけていった。

相変わらず優しくて好きを再確認した。

お返しももらったしまあ良かった。ただ気持ちのことはお互い触れられなかったから来年触れようとして。

来年こそは聞こうと思って……少し難易度が高いが頑張ろうとしている。


そんなとき私達は卒業を迎える。


結局同じクラスの彼──前まではよく話していた男子とは一言も喋らなかった。

卒業式の日、卒業アルバムの後ろのサイン交換で勇気を出して書いてもらってけど。

本当はもう一つ聞きたいことがあったのに言えなかった。

「どこの学校に進学するの?」って。


私達の地区は進学学校が2つ合って一つは普通にそのままストレートに行くパターン。

もう一つは抽選で受かった人だけ行ける。

受験の人は別として、そんなふうに2つの学校があった。

彼は抽選の方に希望していた。

けれど実質抽選に当たるのは難しい。

学校で二人あたるかあたらないかの確率で彼が選ばれるとは思わずどうせ落ちたのかと思った。

そう勝手に思い込んでまた入学したら普通に話せるといいなと思って喉元にまで来てた疑問文を飲み込んだ。


……だが、入学式の日、彼は来ていなかった。


抽選で受かったのだろう。

彼としては嬉しいだろう。

私だって別に彼が好きなわけじゃない。

ただちょっと話さなくなって寂しく感じただけ。

だから気にしないことにした。


だけど今でも思い出す。

ここにいたらこう言うだろうなとか。

過去のこと思い出してああこういう話ししたなとか。

雰囲気に流されてなんとなく二人で帰っちゃったなあれ?(〃ω〃)とか。

たまにウザかったけど真面目なときもあって感心したなとか。

過去のこと掘り出して懐かしく思って泣けてきた。


私は彼のことを好きではない。

でもこう思うのは何だろう。

何日経ってもふとした瞬間に思い出す。

目移り……なのか?


ねえもう私は目移りできない立場なんだよ。


もし彼のことを私が好きでないとしても。


こう記憶に現れるのをやめてほしいんだよ……。

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