ツリーハウス
多くの人に歓迎されながら、ルナに連れて歩いている。
「ダリが今、6市長を集めてるから、中央会館まで行こう」
おかしな話だが、日本語に市長?文明が低いだけで、まるで日本だ。
かと言って江戸時代の様な文明でも無い、不思議な異世界?
口元を見てると、母音が5つの日本語を話しているし、文法も同じだ。
だがしかし!塀の外は日本ではない、恐竜が生息しているしね。
「あのさぁ~この町ってどのくらいの大きさなの?」ルナに聞いた。
「直径18キロメートルだよ!」えっ!この女は直径って言いやがった。
メートル単位、おそらくは重さもキログラムだろうな。
「人口は450人ぐらいだよ」 もはや、ちんけな日本と諦めた。
諦めがついたなら、情報収集!木造住宅二階建てが多く、屋根は瓦ではなく
平面な木造ってことは、雪は降らないようだ、玄関先は少し高く、引き戸が多い
窓は雨戸と網戸、ガラスは無い様だ、銅製品がやたらと多い
そう言えば、みんなの武器も銅製だったな!
素焼きの陶器はあるみたい!ああ~半径9キロ歩いて二時間はかかる。
小学生の遠足だってこんなにも歩かんぞ!気になるのは、数多くある井戸だ!
「リング」の貞子が出てくる様な屋根付きの井戸、ポンプではなく、つるべ落としだ。
駆動系金属や動力などがほとんどない!
中央広場が見えてきた、「ここだよ!さぁ入って」言われるがままに、中に入ると
4~50歳ぐらいの女性二人男性が4人が大きな長方形の高さの低いテーブルに
あぐらをかいて座っている、しかも座布団付きで!
「こんにちは!キムラと申します。」自己紹介すると、「よく来た!入ってください。」
革製のスポーツサンダルを脱ぎ、麻で出来たスリッパモドキを履いた時!後ろから
小さな声でルナが「これ?ゴムじゃない?」そしてルナが顔を上げながら大きな声で
「これ!ゴムですよね。」俺のサンダルの靴底を指差し叫ぶ、市長たち6人は、いたって冷静に
こちらに歩いて来て、ルナの持つサンダルを手に取り 「これがゴムか?」「解らない?」
「多分、ゴムだろ?」「見た事ないし」「もっと伸びるのでは?」
市長たちは、ゴムを知らない為に、判断がつかない。
「それ!ゴムだよ!」俺の言葉に全員が振り返り、「ほんとですか?」と聞き返し
「キムラは他の町から来たでは?」
どうせ、お決まりの魔法もチート能力もないし~まあ、いいかぁ
「俺は日本から来た転移者だよ!」
全員が静まり返って、頭を深く下げた。嗚咽を漏らす者、震える者、ルナはサンダルを胸に抱きしめ
泣いていた。
なに?なに?なに?なに?わけわからん!
「キムラ様、私は「水の市」の市長の水野君と申します。」
「152年前、初代様が日本より転移者として三名、この地に、来られました。博斗様、幸子様
春香様、この厳しい土地で見事に町を作り上げる、偉業を成し遂げました。私たちにとっては、
日本人は「神」と同じなのです。「始まりの祖先」それが日本人なのです。」
「あああぁ~申し訳ない!そんな初代様と一緒の扱いされても、困ります。俺は何も出来ないので」
「キムラ様、私は、火の市長の日野君と申します。」
げっ!また、痛そうな奴が出て来たよ。日野君?次は、風か土か?
「キムラ様は何もなさらなくて、大丈夫です。働かなくても、普段どうりに生活していただけると
幸いでございます。」
「キムラ様、風の市長の風間君と申します。もう、日が暮れて参りました。話は明日以降として
最後に見て頂きたい所があります。ご足労いただきたく、お願いします」
全員が平屋の外に出て、水野君の案内で中央広場に向かって歩く、広場の中心には、大きな木が
見えてきた。木の幹には、ハシゴが掛かっている。
「キムラ様、ここが始まり地です。多くの魔物から身を守る為にでしょうか」
見上げると、木の股に古びた大きなツリーハウスがあった




