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この作品には 〔残酷描写〕が含まれています。
苦手な方はご注意ください。

エピソード4 孤独の筆箱

作者: ネルカ

これは私がまだ小学生だった頃、まことしなやかに語られていた、よくある学校七不思議のうちの1つに関わるお話。


学校七不思議と言えば、あわせ鏡や音楽室のピアノ、音楽家の肖像画に理科室の骨格標本が定番ですよね。私の学校七不思議にはそんな定番の中に1つ、風変わりな物がありました。それは「孤独の筆箱」というもの。何でも昔とある女子生徒がクラスメイトに虐められていて、クラスで孤立していたそうです。ある時、いじめっ子たちはその女の子の筆箱の中身を全て捨て、画鋲を詰め込んで机の中に入れてしまいました。女の子は、それに気が付かず机の中の筆箱を出そうとして掴みました。可哀想なことに筆箱は布製でした。大量に詰め込まれた画鋲が布製の筆箱を突き破り、女の子の手を穴だらけにしました。女の子は痛みと悲しみで絶望し、その日のうちに屋上から自殺してしまいました。それ以来、女の子の怨念がその筆箱に宿り、誰もいない教室に突如現れ、突如消える。という学校七不思議でした。

私はそんな学校七不思議を聞いて「どうせ誰かが教室に忘れた筆箱を偶然誰かがみて、そのあと持ち主が回収したから消えたように見えたんでしょ?」と達観していました。あの時までは。


その日私は教室に給食セットを忘れて1人、放課後の教室に向かっていました。ちょうど金曜日で、給食セットを置きっぱなしのまま月曜日を迎えたらとんでもない事になるので、仕方なく持ちに行ったのです。少し立て付けの悪い扉をカラカラとあけ、教室に入ると、教室の真ん中の机の上にぽつんと筆箱が置いてありました。少しくすんだ桃色で、長方形のポーチのような形をしていました。私は誰かの忘れ物だろうとおもって、前から3列目窓側の自分の席に向かいました。机の横にかけてある給食セットを取って、ふと何となく気になって、教室の中央を見ました。


桃色で長方形の筆箱はそこにありませんでした。


私は見間違えたのかな?と思って視線を出口に向けました。


桃色で長方形の筆箱は出口のすぐ横の机の上にありました。


私は少し怖くなり、2つある出口のうち筆箱から遠い方から出ることにしました。

少し立て付けの悪い扉をカラカラと開けると目の前の床に桃色で長方形の筆箱が落ちていました。私は給食セットの、巾着の紐を握る手にじっとりと汗をかきだしました。何故、教室の中央にあった物がもう1つの出口の前に移動し、さらに自分の目の前にも移動しているのか?考えたところで分かりません。ただただ怖いだけ。私は一目散に教室に入り、さっきは出るのを諦めた出口の扉を勢いよくあけました。


桃色で長方形の筆箱はありませんでした。


しかし、給食セットを握る手から汗ではない何かが滴り落ち、鋭い痛みが襲ってきました。恐る恐る手をみると、そこに桃色で長方形の筆箱を握り締める自らの手が、筆箱からは画鋲が、手は穴だらけに


ねぇ、ほら、屋上行きましょ?いたいよね?寂しいよね?怖いよね?逃げたいよね?ねぇ、屋上行きましょ?屋上行きましょ?屋上行きましょ?ねぇ?ねぇねぇねぇねぇ


お友達になりましょう?


声が聞こえて、階段登って、屋上で、フェンス超えて、空を飛んで、叩きつけられて


ねぇ、そこのアナタ屋上行きましょ?


おしまい

誤字脱字にご容赦ください。

アンハッピーエンド初めて書きました。何となくお粗末です。お許しを!

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