観測記録0.2:紅鳥と天体観測プログラム
これまでは、仕事でいつ死ぬかもわからないような暮らしをしていた
今日は帰ってこれたけど、次は・・・なんて考えていた
だからこそ、俺はあの終わり方をとても幸せに思うのだ
妻に、娘たちに、孫たちに看取られて・・・俺は一生の眠りについた
眠れば、会えるだろうか
俺が大社に属して出会ったあの「青鳥」に
これからも隣で戦い続けるんだろうと思っていた矢先に死んでしまった「親友」に
もう一度・・・会えることができたのならば
・・・・・
目が覚めると、そこは図書館だった
大社が所有している地下図書館のように、膨大な数の書物が保管されている
「ん?」
気がつけば俺は老人の姿ではなく、二十代の時の姿になっていた
久々に見た紅葉色の髪。体だって、以前に比べたらとても軽い
「あ、俺死んだのか」
死因は老衰。八十八歳は大往生
あいつはもっと生きるだろうけど。なんて考えながら思うように進んでいく
どこに何があるかわからない
けれど、なぜかこっちに「ある」感覚がするのだ
それは俺の感。これまでもお世話になっていたそれに、今回も頼ることにしよう
心地の良い靴の音が、大理石の廊下に響いていく
本は見たことないものばかり。人名の本なんて初めて見た
もしかしたらここは、人の生きた記録を保管する図書館なのかもしれない
おかしなところに来てしまったな
「・・・あれ?」
「ん?」
そんな中、俺の前にローブを纏った一人の少女が声をかけた
「紅葉君?」
「その声・・・時雨か!?」
「うん。久しぶりだね・・・でも、なんでここに?」
ローブをとったその人物は赤城時雨
俺を拾って鍛えてくれた赤城白露の娘だ
・・・和夜から、譲と同じタイミングで死んだと聞いたがなぜこんなところに
「ここに来たばかりなのかな?」
「あ、ああ・・・そうだ」
「ついてきて。こっちの部屋は安全だから」
「安全?」
時雨に手を引かれて、俺は廊下の奥にある部屋へと連れて行かれる
どこに連れて行かれるのかわからないけれど
いって損はない。そんな気がした
ある部屋の扉を開けて、時雨はそこに俺を招く
無数の本が積まれている部屋には、紅茶の良い香りがする
それに、なんだろうか。あの機械。変な椅子に・・・望遠鏡みたいな設備のあるそれは天体観測にでも使うのだろうか
椅子に隠れているその部屋の主人は、快く俺を出迎えてくれた
「時雨ちゃん。どうしたの?」
「ああ、譲さん。紅葉さんきましたよ」
「は?」
「はぁ!?」
時雨がさりげなく紹介するものだから反応が遅れてしまう
白髪の親友は、俺の顔を見て今まで見たことのない腑抜けた顔を浮かばせる
そして俺は、こういう再会をするとは思っておらず相変わらずの素っ頓狂な声を上げて
・・・六十年ぶりの再会を果たしてしまった
・・・・・
その後、時雨は気を遣って部屋を空けてくれる
その為、今ここにいるのは俺と譲の二人だけ
何を話して良いかわからない
話したいことはたくさんあったはずなのに、その全てが吹っ飛んでしまうほどこの再会は予想外なものなのだから
「・・・積もる話はたくさんあるけど、僕も仕事があるからね」
「仕事ってなんだよ」
「観測。人々の記録を集めないといけないんだ。早く終われば話す時間も確保できるし・・・手伝ってくれる?」
「ああ。任せてくれよ。まずは何をしたら?」
「予告を君なりに読み上げてくれればいい。これ、リストね」
「お、おう?」
「それじゃ、僕は観測に行ってくるから・・・よろしくね」
そう言って譲はあの変な機械に座って、紙にペンを走らせ始めた
時折望遠鏡を眺めて、紙に文字を書き・・・その繰り返し
あれが観測なのかもしれない
じゃあ、俺はこの紙に書かれている通りの仕事を果たすまでだ
・・・・・
それじゃあ、長々とやったが本編の開始!
「観測記録第二章の予告集だな。時雨のお品書きと同じ雰囲気だから・・・まあ、どんな観測か紹介する感じでもある」
「それと、後にアップデートを施す予定だ。現在投稿している観測記録のタイトルに観測対象の名前が入力されるようになるそうだ」
各本編からきてくれた人が、ピンポイントでその本編の観測記録を読めるように
例えば・・・恩返しから来てくれた人は、智や尊さんの観測記録だとか
夢守から来てくれた人は、薫さんや志貴さんとか・・・
博士から来てくれた人は、雨葉さんと刻明さんとか・・・参考にしてくれると、嬉しいな
ちなみに俺と時雨の予告集は対象外になる。いつかくる俺と時雨の観測記録は名前が入力されていると思うぞ
「それじゃあ、今回も全十七集!はりきってこー!」
・観測記録18(6/30予定)
飛行船の乗務員として紹介された四人で金を稼ぎつつ、金策でサバイバルをしていく話
針指す時の終末日。そこでアイドルをしている星月悠翔の記録らしい
かまぼこさんという高性能医療マシンを作った弊害で、生活費が枯渇した飛行船暮らしの乗務員四人。彼らが復活を遂げ、星月悠翔がアイドルへ至るまでの道のりのお話らしい
・・・金魚食ったり雑草雑炊とかやるらしいけど、本当にいいのか?これ
・観測記録19
無理やり行かされた修学旅行。そこで買ったお土産と神様にまつわる話
世話焼き神様と社畜の恩返し。そこで特殊な環境に身を置く巽夏彦の記録らしい
ある意味本編の前日譚にもなるようだな。お土産のおかげで、あの子は彼の側で過ごす生活ができるようになった
土地神と関わる、三日間の過去のお話は・・・彼を少しだけ変化に導くらしい
・観測記録20
任務に逆らった兄に復讐を誓う、未だに誰も殺せない狙撃手の優しい過去のお話
アルカナムマキナの庭園。そこで庭師という殺し屋をしている野坂宙音の記録らしい
彼女は幼少期、お昼寝が大好きな兄と共に両親から育児放棄を受けていた過去を持つ
歳が離れた兄に甘え続ける彼女も、いつかお礼をしたいと考え・・・誕生日プレゼントを探す為に街を冒険する話のようだ
・観測記録21
幼なじみに並々ならぬ愛情を注ぐ兄の背中を押し続ける妹のお話
春来る君と春待ちのお決まりを。運動大好き中学生こと五十里朝の記録らしい
幼少期から兄が抱く恋心を知って背中を押し続けて早十年。やっと付き合い始めたと思ったら、なぜか様子がおかしくなる兄の相談を聞きつつ、どうでも良いことで悩む世話の焼きがいがある二人の背中を押していく話だ
・観測記録22
親よりもお兄ちゃんが大好き。あるきっかけまで兄の背中を追い続けた妹のお話
夢守ノネットシンフォニア。九重十人兄妹の四女こと九重奏の記録らしい
両親よりも双馬にべったりだった奏は高校最後の大会を前にした大好きな「そーまにーに」を応援する為に、お手伝い大作戦を実行する。しかしそんな小さい彼女のお手伝いに不安を覚えた他の兄妹たちも頑張っていくお話だな
・観測記録23
兄妹の中で一番強く見えて一番繊細。誰よりも家族の成長を願う次男のお話
夢守ノネットシンフォニア。九重十人兄妹の次男こと九重双馬の記録らしい
片割れである一馬と深参は特別な存在であるのは当然だが、奏のことも特別に可愛がっていた双馬は、学校の許可をとった上で、奏にある「プレゼント」をする為にバイト生活をしていた時期がある。それは、そんな時期のお話
・観測記録24
何もかもを見通す瞳を持っていた妹を心配して影から密かに見守っていた兄のお話
世界構成リブートライン。俺の義兄って言ったら怒るか。高校の先輩である熱海暁の記録だ
まだ千早も小さい時期の話らしいから、俺も譲も出会っていない頃の話だな。従兄の征一も交えて、三人の子供たちが真夏の海岸で貝殻集めをするお話。あれ?これもしかしてあいつらが呪われた時の記録じゃ・・・
・観測記録25
母親を早くに失った少女を、ただひたすらに献身的に面倒を見ていた少年のお話
博士の愛した研究。そこで一月の面倒を見ている五ノ井三国の記録らしい。
元より境遇が複雑な彼は、御家騒動の後に廃棄区画に迷い込んでロクでもない科学者になる少年と、元娼婦としか語ることのない子を宿す女性と出会う。これは、彼らが廃棄区画で過ごした日々のお話。そして一人の少女が自我を持つまでのお話だ
以下、予定だけ。あらすじは後日追加
・観測記録26
当たり前をくれた青年を守る為に、地獄へ身を落とした少女のお話
・観測記録27
誘拐されたのちに狙撃手として育てられ、裏社会に生きる青年のお話
・観測記録28
入学初日に出会った幸運な少年と過ごす、神主の息子のお話
・観測記録29
帰ってこれない任務に向かわされた、とある軍医の命が尽きるまでのお話
・観測記録30
動物と話し、使役する力を持つ病弱な少年のお話
・観測記録31
従兄夫婦の間に生まれた忘れ形見の息子と、彼を引き取った従妹のお話
・観測記録32
因習を恨む主人思いの先祖と前世を持ち、家を壊す野望を抱く男の物語
・観測記録33
無能力者でありながら、能力者の島に住まい・・・共存する道を模索する青年の話
・観測記録34
数多の苦難を乗り越えて、やっと大好きな三人の兄と共に暮らす末妹のお話




