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図書館と観測者のブレイクタイム!  作者: 鳥路
第一章:略奪乙女と愛情の観測記録
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観測記録0.1:略奪乙女のお品書き

観測記録が行われている最中

彼が観測を行う部屋の前に、フードを深くかぶって観測が終わるのを私は待っていました

観測をするのは大変だと聞きますが、私はこの観測の時間が大好きです

なんせ、彼と一番近くに入れて長く側にいられる時間なのですから

・・・最も、彼は私がこの場にいることを知らないでしょうけど


「・・・譲さん、今日は何を観測しているんでしょうか」


生前、彼に救われた私はこの世界に彼を追ってやってきた

今度は、彼を救うために

しかし、私は彼に正体を明かすのを禁じられていた

そして、観測記録を受け取る以上の接触すらも禁じられていた

許されたのは一言二言話すことだけだった


「今日の観測はどんなものなんだろう」


彼が好むようなハッピーエンドで終わる物語や、希望を持てる終わり方をする物語であればいいのだが・・・中にはきっと、バッドエンドで終わる物語や、救いのない物語もあるだろう


「・・・凄惨な記録を観測しないでほしいな。ご両親の事、思い出してほしくないし。もっというなら愁一さんの観測なんて、しないでほしいぐらい」

「・・・ねえ、君。部屋の前で何をしているの?」

「ひゃあ!?」


部屋の主に声をかけられて飛びのいてしまう

ずっと観測しているものだと思っていたから、ここに来るなんて思っていなかったのだ


「・・・独り言、聞かれていなければいいけれど」

「何か言ったかな?」

「・・・な、何も」

「丁度いいや。ねえ、君。今まで観測記録を神に提出しに行っているんでしょう?」

「ええ、まあ」


彼の問いに私は簡潔に答える

すると、彼は安堵したように話を続けていく


「今までの観測記録。どんなものだったかわかる?」

「はい。大まかになら・・・」

「じゃあ、一覧をここに書き出してよ」

「え」


彼に紙とペンを押し付けられる

それを落としそうになるが、ぎりぎりのところでキャッチした


「じゃあ、お願いね」

「え、ちょっと。待ってください。譲さん!?」

「・・・え?」

「あ、いえ・・・違うんです。違うんですこれは。気になさらず。記録は取りますので。それでは・・・」


いつもの癖で名前を呼んでしまう

そのせいで、彼に疑問を抱かせてしまっただろうけど今は逃げることの方が先決だ

本当はフードを脱いで「私ですよ」と、声をかけて駆け寄りたい

けれどそれは許されない

彼と自分の意志とは真逆の方向に駆けて私は、その場を後にした


「・・・やっぱり、彼女だよね」

僕を追って?いや、まさかねと内心彼は考え込む

その通りだということは、今の彼は気が付くことがないだろう

何もわからない彼は、駆ける彼女の背を見送りながらこう口にする

「・・・時雨ちゃん。本当に君は、何をしにここへ?」と


・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・


「さて、観測記録お品書き!本編の開始です!」

私はペンを持って紙に譲さんが観測した記録を大まかに記載していきます。

折角ですし、観測記録をより楽しめるためにヒントらしいものもまとめてみましょうか

例えば、こんな感じに・・・

「だいたいこんな感じのお話か・・・と見当を付けられるようにしてみました」

「追加はここに更新していくので、時々覗いていただければ幸いです」

「話の繋がりは、別に投稿している本編の方ならありますが・・・」

「私と譲さんのお話は、まえがきとあとがきで進んでいきます」

「そちらも、どうかよろしくお願いしますね。」

「それでは、観測へ行きましょう!ごーごーです!」


・お品書き

図書館の譲さんと、神様の命で観測記録を取りに行く役を持つ私の話

世界構成リブートラインの3話と4話に私はいます。星誓約・・・ステラフェアトラークというのですが、それを譲さんと結び、私は生きることができていました

詳しい話は後程・・・ですね


・観測記録1

明治時代の探偵さんと、彼の前に現れた左腕と右目以外を失った少女の話

針指す時の終末日にいる、明治時代から現代にタイムスリップした相良幸雪さんがあの時タイムスリップしなかった未来のお話のようです。

真冬さんのお話はまだまだ不透明で、よくわかりません。ただ、面影は「彼女」に似ているかと。

「1999回目」の時間旅行の記録ともいえるそうですが・・・どういう意味だと思いますか?


・観測記録2

作曲家の青年と彼専属の調律師をしている引きこもりがちな青年の話

夢守ノネットシンフォニアで行方不明だと騒がれている七峰志貴さんが事故に遭う前のお話のようです。ハロウィンにちなんだお話で、深参さんとの同居生活を少しだけ出している形でしょうか

彼が受けた仕打ちもほんの少しだけ出ているようです。清志さんはなぜこんなことをしたのでしょうか。それはきっといつか語られるかと思います


・観測記録3

植物の研究者でもある助教授と彼の教え子兼助手の出会いのお話

夢守ノネットシンフォニアで司君たちと行動を共にする三波さんの助手である薫さんのお話のようです。最後にあんなことをしていますが、どうやらお二人はそういう関係ではないそうなのです。三波さんは挨拶の文化を間違えてるけど面白いから放置しておこう・・・としか思っていないところが憎たらしいですよね!?


・観測記録4

時を操る家系に生まれた令嬢と彼女の側に立つ黄昏と呼ばれる執事のお話

針指す時の終末日で夏樹さんたちと行動を共にする冬夜さんのお話のようです。本編にいる冬夜さんと性格が違うのは、譲さん曰く「元々の性格はあれ」らしいです。彼方さんがいるからでしょうか

どうやらこれは、彼女たちが掴むべき「最善の未来」ではないそうです。もう少し、鍵がいる?

それに「時間旅行が始まる前」とはどういうことなのでしょうか・・・


・観測記録5

殺し屋を作る学校を抜け出した護衛と彼に拾われた双子の片割れである護衛の少女のお話

アルカナムマキナの庭園で神楽坂家の護衛である陽輝さんに懐いている、同じく護衛の明ちゃんのお話のようです。

どうやら、明ちゃんは双子の片割れである透ちゃんのクリスマスプレゼントを陽輝さんと選びにいくようですが・・・やはり、彼らに穏やかな日常はないようでして・・・


・観測記録6

廃棄区画で生きている幼い少女と貴族の料理人として劣悪な環境で働く料理人のお話

博士の愛した研究で10番目の傘として蘇った雨葉さんのお話のようです。

廃棄区画で仲良くしていた少女と青年。こっそり普通の区画に出かけて、お気に入りのご飯と共に一日を過ごすようですが・・・


・観測記録7

空を目指した技師と彼を支え続けた妻と、二人の子供のお話

技師と花束の本編より少し進んだ未来のアイリスさんのお話のようです。

シエルちゃんは大晦日こと「聖グレギオスの日」に行われる祭りに行きたいとエドガーさんにお願いするのですが、どうやら彼には行けない事情があるようで・・・


・観測記録8

初めての神楽を奉納することになった幼い巫女と、彼女に飼われた小さな犬のお話

針指す時の終末日の小影さんのお話のようです。少し、昔のお話を振り返りながら展開する観測記録。江戸時代から現代にいたるまで・・・彼が初めて長としての儀に挑む、その日を少しだけ見ていくようです。譲さん曰く「2500回目以降」の時間旅行のその後の話のようですよ


・観測記録9

神様として取り残された蛇の青年と、彼が愛した少女のお話

世話焼き神様と恩返し。の覚さんのご先祖様こと智さんのお話のようです

彼のお話に必要な情報の一つである、智さんと祝さんの離別の物語。そして物語は、神様へと至る子孫へとつながっていくようです


・観測記録10

運命の糸に繋がれた青年と、その運命を繋ぎとめようと奔走する少女のお話

針指す時の終末日の正太郎さんのお話のようです。時間旅行の話が大方終わった後の夏樹さんと正太郎さんのお話で、憧れとお花に関するお話のようです。「彼としての」正しい未来もあるけれど、それは歪んだ未来・・・それは、まだわかりませんね


・観測記録11

孫に対して何もできずにいた祖父と、二百年の時を生きる優しい少女のお話

世話焼き神様と社畜の恩返し。の鈴ちゃんのお話のようです

どうやら彼女の過去のお話。彼女と本編で日常を過ごす、夏彦さんのお爺様こと龍之介さんと出会い、過ごしたお話のようです


・観測記録12

父親に溺愛されることを疑問視した双子の兄と、父親に虐げられていた双子の弟のお話

針指す時の終末日の拓真さんのお話のようです

この双子の兄弟にとっては、何でもないことが凄く特別なことだったようです

そんな異常な日々を生きていた二人の少年の過去のお話です


・観測記録13

親に反発した少女と、産婦人科医を志した青年のお話

世話焼き神様と社畜の恩返し。の・・・夏彦さんのご両親、その尊さんの方のお話だそうです

夏澄さんが親に反発して、尊さんが彼女を拾い・・・そして、死に別れるまでの過去のお話

向こうでは語る必要がなかったと言われていましたが・・・覚さんの方でキーを握る亙さんもいますし、向こうでやるのが一番では・・・?


・観測記録14

とある十人兄妹の・・・三男として生まれた青年に照準を当てた並行世界を繋いだお話

夢守の九重深参さんのお話ですね。目が覚めたら、並行世界の自分と入れ替わってしまうと言う不思議なお話のようです。幸せな観測だけど、こちらの彼にはまだまだ苦難が待ち受けているようです。せめて、夢守の彼らがきちんと彼らのような未来を掴み取ることができたらいいのですが・・・


・観測記録15(6/20予定)

廃棄区画で身売りをする女性と廃棄区画を調査しに来た男性のお話

博士の愛した研究で、一月さんのご両親の片割れとして紹介されたあの方のお話だそうです

彼と彼女が過ごした一月の調査期間は何よりも忘れられないものとなるとは、この時の彼は思っていなかったようです。


・観測記録16(6/24予定)

え、ええっと・・・なんでしょう。黒い靄がかかって上手く見えません

あまりいい観測記録ではないようです。譲さん、大丈夫なんでしょうか・・・こんなものを引き当てるなんて。悪い予兆にしか思えません

うっすらと見えるのは、傾いたお盆、ですかね

それに、血に沈んだ、ヴァイオリン・・・ですかね。え・・・ヴァイオリン、ですか!?

・・・うそ、なんでこんなに早く。これは・・・愁一さんの・・・!?


・観測記録17(6/24予定)

まあ、愁一さんから地続きとなれば・・・久遠さんしかいませんよね

ご両親の観測がこんなに早いタイミングで来るとは彼も予想外だったでしょうに・・・

まあ、まだ彼は知らない話なのですが・・・さて、どんな観測なんでしょう

・・・椎名家が一切見えないあたりから、おそらく彼が事件に遭う前の時間だと思います

鈴海の守りを一人で担った魔術師と、世界中に音を届けた奏者、そして世界を変える鍵として生を受けてしまった子供のお話

どうか、幸せな観測でありますように


・・・・・・・・


「とりあえず、まず第一部はこんな感じでお送りしますね」

「・・・・第一部だけで濃いメンツが揃っているのですが、これ、まだ続くんですか」

「そうだなぁ・・・うん」

「え、なんで紅葉さんがいるんですか?」


紅葉色の髪を揺らし、大社の制服を着こなした青年は私の顔を覗き込む

久々に見たその姿は、最期に見た姿と何ら相違ない


「時雨の次は俺じゃないと譲寂しがるだろ。あいつ、色々言いつつも俺の事大好きだしな!」

「そうですねぇ・・・って、そうじゃなくて!なぜここにという話ですよ!」

「ん?ああ、死んだらここに来た。享年八十八歳だ。凄いだろ?」

「・・・普通に老衰ですか。羨ましいですね」

「まあ、毒殺と見せかけて実際は失血死の譲とある意味自殺な焼死の時雨よりはマシだな・・・?」


「この時間軸・・・私は焼死ですか」

「?」

「紅葉さんには関係ないです。ところで、次のお品書きは・・・」

「ああ。俺がやることになるんだろうな・・・で、時雨」

「なんです?」

「和夜が来るのと、千早が来るの、はたまた夜雲が来るの・・・誰が来るのが早いと思う?」

「全員ここに来るなって感じですね」

「だよな。じゃあ、譲に挨拶しに行くか」

「はい。はぁ・・・譲さん、怒りそうだな・・・」

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