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⑦「境界線と輪廻の花 終章前篇 」  作者: いちごみるく
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⑦「境界線と輪廻の花 終章前篇 」

キャラクター紹介


デウス・エクス・マキナ《CV:花澤◯菜》

東京の事務所で鏡乃博士の仕事を手伝っている肌色の制服ブレザーにチェックスカートを着ている十六歳の女の子。偽名で鏡乃眞姫那を名乗る。


鏡乃博士 age 23 《CV:佐藤◯奈》

本名は鏡乃霧亜。白いコートの下に紫色のチャイナドレスと眼鏡が似合っている。小さい都会の事務所だが仕事をきちんとこなしていく。/ 六剣神拳(シックスワーク)の使い手。


イフリート 《CV:鈴◯健一》

黒髪に赤眼。ヴァルキュリアと共に行動する者。


ヴァルキュリア《CV:桑◯法子》

イフリートと共に行動する者。独立特殊部隊軍事特務機関アリア ヴラド隊第一隊長。


天草彩乃《CV:かな◯みか》

旧陰陽魔法高等学塾一年の生徒。


アリア《CV:釘◯理恵》

独立特殊部隊軍事特務機関アリアの創立者。

愛用しているのはドイツ製のブレイザーR93のボルトアクション方式のライフル。


ー プロローグ ー


歯車は無限、刻の地球、神と人と、絶望と希望。それらは必ずしも一致するとは限らない。だからこそ他人は他人を傷付け、時には仲良くする生き物だ、だから今こそこの瞬間から君は動き出すべきだ。さぁ……行こう。その優しい男性の声は誰だかわからないけど、私は思う。止めに行かなきゃ!と。


終幕 一


気付けば朝の七時、眞姫那は起きた。何だか身体の調子が良い。ソファーから起き上がると鏡乃博士が六本の剣に魔術術式を魔法陣を出現させながら実験していた。


「起きたのか、おはよう眞姫那。随分調子が良さそうだな?そうだな……とりあえず寝癖を直して来い」


それは何をしているの?とか天草さんはもう大丈夫?とか聞きたかったけど鏡乃博士も忙しそうなので全て後任せにした。


「良い天気!」


と窓を開けたら……。そう、もう東京都内でさえところどころで暴動が起きていて毎日サイレンの音が聞こえるのだ、これじゃあ桜も見に行けやしなさそうだ。


「昨夜、赤髪のツインテールの女が宙を浮いていたと言う知らせがあってな。今日から私は出かけるが眞姫那は留守番でも……あぁ、いやそうか。お前にはお前のやることがあるんだな」


鏡乃博士は眞姫那をホッとしたような……優しい言葉をかけて来た。


「もう私は出かけるが……そうだな、あれを言っておくか……行くぞ?」


「必ずスパッツは忘れて行くな!」


「必ずスパッツは忘れて行くな!」


私達は拳を合わせあって健闘を祈った。そして眞姫那は別室で寝ている天草さんの部屋へと向かった。


「あ、天草さん起きてたんだ!おはよう!そのー……良く眠れましたか?」


と、一応聞いてみた。まだ不安だらけなんだと思うけどね、心配だし。


「おはようございます鏡乃さん。はい、しかし昨夜の事はまだ覚えています。目の前で両親が殺されたのは……これから私はどうしたら良いの」


私は天草さんの両肩をガシッと掴んだ。


「しばらくの間はこの事務所の方が安心!うん!えっと確かこの事務所範囲内は魔術術式が構築されていて一般人はバリア内には入れないとか……うん。あ!下のラーメン屋さんはニンニクマシマシネギマシマシラーメンが美味しいからオススメで私のツケって事でいつでも食べて良いからね!うん!」


途中からなんか天草さんにクスクス口元を押さえて笑われたけどまぁ……良いか、うん。


「ありがとうございます、心配してくれて……あ、鏡乃さんも出かけるんですよね。じゃあお願いを聞いて貰えませんか?親の……両親の仇を取ってください。それだけが私の望みです……」


眞姫那は目を瞑り静かに頷いた。「止めてくるよ!」とだけ最後に言い残して私は外へと出た。


終幕 二


天気は変わり雨になり東京スカイツリーに向かう前に少し雨宿りをした。すると隣から赤毛のツインテールの小さな軍服の女の子が喋りかけて来た。


「止めようとしても無駄よ。もう武力介入は始まっている。正義のヒーローに期待なんて出来ないわ」


その子は今朝、鏡乃博士が話していた例の女の子で間違い無いだろう。なので問いに答えてみた。


「人は殺しちゃいけない。どんな理由があってなも命だけは取っちゃいけないよ」


眞姫那は俯き少し震えたように話す。


「ごめんなさい分かり合えなくて」


そう聞こえたのが最後にその赤毛の女の子はもう姿は見えなくなっていた。眞姫那は数分休んでから未だに振り続ける雨の中を東京スカイツリー目掛けて走って行った。



東京スカイツリー内部、五階にて。もう既に到着していた鏡乃霧亜はエレベーターで一気に上まで目指そうと試みるが……ガガガッと鉄の鈍い音がした。突然扉の間から槍が突き刺さって来たのだ。


「チッ……まぁそう簡単には行かせてはくれないわね」


無理矢理こじ開けられたエレベーターは五十階で機能停止する。そして目の前には黒髪の女が一人。


「独立特殊部隊軍事特務機関アリア ヴラド隊第一隊長のヴァルキュリア!この槍は神槍がオーディン様のお墨付きなのよ?」


逆さまの三日月型をした槍は鎌にも見えて鋭い爪先も喰らえば一筋縄では行かなさそうだ。


「貴方が私を止められるなら止めて見なさい。軍の亡霊さん」


手の内側から六本の剣を出現させて一気にヴァルキュリアとの距離を詰めた。


「今の人間はやはり実力と言えどこの程度なのですね。心底残念な気分です。これを知っていますか?明日世界が無くなるとしたら最後に持って行く物があるようですね……それは」


いい加減黙らせるかのように責める鏡乃霧亜はこう答えた。


「貴方知ってる?今から数百年前に起きた無限地獄、それも一人の黒髪赤眼の男が必死に守ろうとして絶望した末路、それをなんて言うか知ってるかしら……今はユートピアって言うのよね!」


ヴァルキュリアは冷徹な表情から一気に怒りを露わにして来た、このチャイナドレスの女は何故それを知ってるのかイライラする。


「何を知った様な口を!!うッ……な、何?」


ヴァルキュリアは鍔迫り合いを止めて一旦距離を置いた。


「ン?あぁ……黒城華蓮。そいつが私の実の娘だ」


ヴァルキュリアは泣き、怒りに任せて無抵抗に煙草を吸い出したチャイナドレス女の顔面に思い切り槍をぶっ刺した。


終幕 三


後から眞姫那も東京スカイツリーに到着し上まで目指そうとエレベーターに乗ろうとするが一つだけ動かないのがある、まさか鏡乃博士が?。とにかくもう一台のエレベーターに乗り頂上を目指すが九十階で止まった、何故だと思いエレベーターから出て来たらそこには赤毛の女の子が狩猟用小銃のブレイザーR93を構えて居た。


「これが救いよ、アリーヴェデルチ」



赤毛の女の子の身体を円状に広がって囲む薬莢の様な物がいくつも見える、どう言う原理で浮いているのか。そうこう考えている内に一発目の薬莢が眞姫那の頬を通り抜けた。躱さなければ脳は確実に貫通していただろう。


「どうしても争わなければ、滅ぼさないと気が済まないの?今の人々は静かに暮らしたいだけなのに!」


逃げながらも必死に問いかける眞姫那に対して赤毛の女の子は少し顔を歪める。


「紹介が遅れたわ、私はアリア。ヴラドお父様の娘よ」


ヴラドと言うのは百年以上前にドイツに拠点を置いて無慈悲に殺戮を犯していた鬼の名前だと言うのを聞いた事がある。


「私はね、人間に希望していたの。いつかは優しく平和な……嘘も殺人も喧嘩も無い世界の創造……でも毎日毎日人間は嘘も平気でつく、殺人も隠れた所で繰り返す、絶えない喧嘩に、嫌気がさした私は大軍隊を作り悪い人間を何人も血に染めたわ。でも人口は増えに増えてまた悪い人が出て来るばかり……だからまた殺すの」


眞姫那は逃げるのを止めて俯いた。


「違う、人々はただわからなかっただけなんだよ。正しい答えのその先が少しズレちゃっただけなの!だから正しい正義を他人に押し付けて殺人をするのは間違ってるよ!人間は殺人をしたら次はもしかして良い人になってるかも知れないし!喧嘩もしたら次は仲直りするし!嘘も付いたらバレてそれでお終いなんだよ?だから人間を殺すのなんて止めよう?」


今度こそ本性を現したかの様に目付きが変わるアリア。


「貴方……神にでもなったつもりなの?」


バァン!!と銃声が響く中、薬莢は眞姫那の腹部を直撃して、眞姫那はその場で倒れた。


終幕 四


「私は死んだのかな……ここはどこ……?冷たい世界に私は居る。そこにいるのは誰?」


不意に感じた気がしたので問いかけてみる。


「おやおや?バレちゃったかな?コホン、私は黒城華蓮って言う名前だよ、よろしくね!」


この黒フードの女の子はニコニコしながら眞姫那を見上げて来る。


「デウス・エクス・マキナ。君はまだ実は死んではいない。まぁ死んだとしてもこうして生き返らせる事さえ容易だけどね。ところで……どうして私があの時シロだって気付けた訳……?いやこれも時計仕掛けの女神様にはお見通しだった訳なのかも知れないね」


眞姫那が黒城華蓮を白だと見破れたのかは容易で彼女は基本的に観測者側だからなのである事。ただそれだけの事だったのだ。


「私を解放して、早く止めに行かなきゃいけないの!こんな理不尽な事が起こっちゃいけない」


そう言うと黒城さんは少し俯いた表情で口にした。


「お母さんは……元気かな……。なんて!それじゃあ応援してるから頑張ってね!」


うん!と頷いて私の視界は光の世界から闇の世界へと帰還した。



「生きた亡霊、死の亡霊、夢見た者には安楽死を……ランス・オブ・メデューナ!!」


アリアの銃口からは魔方陣が出現しその中からは大きく鋭い石の槍が出現した、それを再度眞姫那へと照準を合わせる。


「ん……。戻って来た……?……!?」


すぐに意識を取り戻すのもつかの間、すぐに異変を察知して左にクルッと一回転してアリアの撃ったランス・オブ・メデューナを紙一重で回避した眞姫那。


「嘘ッ!?確かに一発目で命中させたハズなのに……どうして生きているの?」


流石のアリアでも動揺している。しかし今がチャンスだ。眞姫那はブーツのアキレス腱側に付属しているファング・ビットを飛ばすかのように宙を蹴りアリアの所持する銃をぶっ飛ばして躱すと思ってもう一つのファング・ビットはあえて心臓部を狙うが……アリアの表情はどことなく穏やかで、それを待ち望んでいたかのようにそれを受け入れ心臓部にファング・ビットを食らって壁へと飛ばされた。


「嘘……どうして躱さなかったの……?貴方の力ならそんなもの……」


眞姫那は出血しているアリアの元へと向かった。もう助からないくらい出血は酷く目の下も青くなっている。


「きっとこれも宿命……今まで行っていた罪を今受けたのよ……ねぇ……?人は……変われる?」


眞姫那は抱きしめて必死に「うん……人は……変われるよ……」と囁いた。


「そう、良かった……」


そう言い残しアリアは光の量子となって消えた。光を抱きしめ続ける眞姫那を一人残して。


ー エピローグ ー


この時頂上階で僕は一人世界の在り方と言うのを考えていた。何故地球は人間のために生きているのか……何故抵抗しないのか、出来ないからだ。だから僕は……僕が……終わらせなければ成らない……。アリア様は……そう、先に逝ってしまったのか……背後から気配がする……。そうか君は……。


「待っていたよ、デウス・エクス・マキナ」


僕は風が透き通る頂上階で振り返るとそこには腹部を負傷している時計仕掛けの女神様に出会う。


「貴方は何故……泣いているの?」


これは止めてくれと叫んだ僕の物語。

あとがき


こんばんは、来年は眼鏡にしようと言い五年以上が経過した作者いちごみるくです。さて今作は最初の方にクロム・オーディンを雇った台詞の一部とならずようやく姿を表したアリアちゃんも出て来て本当に最後まで来たと言う感じですね、次巻で最後の章になりますが読者様の応援最後までよろしくお願いします!それではごきげんよう。

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