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第0話 転げ落ちる、鉄塊の中で

恋人無し、才能無し。

友達はいる、クラス内だけ。

滅茶苦茶普通、とにかく普通な高校二年生、主人公桐ヶ谷聡久。

春休み、暇に暇を重ねた聡久に唐突に訪れる悲劇。

これは、そうして始まる彼等の物語である

昔、ある妖怪があった。

その妖怪は孤独、短命、およそ妖怪とは言い難き化け物。

その一族、決して人々に知られることなし。

否、知られ続けることはなし。

今日も一人、暗き森の中で己が孤独を嘲笑う。


どれほどの時が経ったであろうか、ただ一人、種の存続のためだけにあるようなこの妖怪。最後には心は朽ち果てる。それが宿命。


ああ、もうやめてしまおう。


そんな言葉が頭をよぎる。しかしそれはダメだと頭を振る。自分が終われば、この種の定義は本当にこの世から消滅する。

そしてまた歩みを続ける。


確定された、暗い未来を目指して。



〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜



季節は春真っ盛り、世間は卒業だか進級だか、またまたあまり注目されないホワイトデーだかで浮き足立っている。

しかしそれらの出来事の大半、ほとんどは自分には関係の無いことだ、しかし高校一年生の春、進級はするものの特になにか感じるものは無い、二年生に進級しても、しばらくまた同じ日々が続くだけだからである。

これが新高校一年生なら新たな友、青春に胸踊らせるのだろう。

ある者は恋人をつくって周りと差を付けようと躍起担ったり、ある者 部活に情熱を向け青春をかけようとするのだろう。

どれも眩しいくらいの正に「青春」である。

………………

(どこで間違ったかねー僕は)

いやほんとに高校一年生としての生活、ほんと彩りがない、無さすぎた!!

だってうち、男子校だし、彼女どころか対女子コミュニケーション能力は低下する一方ですし。

何より陰キャだし。

春休み、特にやることもなし、進学校に通っている間は避けられぬ大量の課題も順調である。

やる事といったらネットがゲームである。

ちょっと自分でもまずいと思い始めた。

しかしそれでもいいんじゃね?と思い始めているのも事実である。

なんでこんなことを長々書くのかだって?

…暇だからだよ。


僕は山の中を走る車の中で揺られていた。

そう、春休み、職業引き込もりである僕を見かねた両親は、気分転換にとドライブに誘ったのである。

否、強制連行である。

なので全然乗り気では無い、もうすぐ県内でも有名な観光地へと着く。

言い忘れていたが、車の中には母、祖母、弟、そして僕の4人である。

母「そろそろ着くわよ、準備しといて、聡久(さく)

僕の名前は聡久、苗字は桐ヶ(きりがや)、桐ヶ谷聡久、それが僕の名前である。

聡久「わかったよ、ちょい待ってもうすぐ周回終わるから…」

うちの母はいつも気が早い、あと1時間も必要だぞ目的地には…

なのでソシャゲに勤しむことにした。


1その会話から10分ほどだった頃だろうか、突然雨が降り始めた、それなりに高いところまで走ってきているので天候が変わりやすい、そんなこともあるだろう。

しかし雨はどんどん強くなっていった、これが観光地まで続くとなると酷い目に会うのは明確だが、ここまで来てしまってはとりあえず目的地を目指すしかなかった。


さらに20分ほど走ったところで、渋滞があった。

母「あら?何かあったのかしらね?」

渋滞の最後尾、後ろから状況はよく分からない、しかし何人かの人が車を降りて様子を見に行っている。

母「ちょっと私達も見に行ってみましょう」

は?冗談じゃない、こんな雨の中外になんて出られるか。

しかし長い時間車に揺られていた祖母、弟はこれを承諾した。

僕は車待機、まあ、一人残っていた方が良いだろう、というのは建前で本心はただ面倒臭いからである。

わざわざ見に行く必要なんてないだろう…何が起こっているのかは分からんが。


とりあえずゲームを辞め、ネットでも眺めることにした、電波は少し弱いが問題なく見ることが出来た。

Yahhoo!を開き、何となくそれを見る、少し通信速度が遅かったので更新ボタンをポチッと、10秒くらい立って更新された記事が映し出される、そこでたった今入ってきたニュース記事が目に入った、それを見た瞬間背筋が凍った。

その記事のトップにはこう書かれている。


「〇〇山山頂付近の道路で土砂崩れ、被害規模不明」


冷汗が吹き出してきた、まるで死神の鎌で首元をとらえられているかのような恐怖が襲った、〇〇山…雨…土砂崩れ…渋滞…。

そのワードを眺め、考える。


母さん達が危ない。


しかしそう思った時には遅かった。


豪雨の中でも聞こえる轟音、木々が折れ、地がすべる音、それら全てが襲いかかってくる。


だが自分が心配すべきは家族ではなかった。


その濁った波は、一直線に向かってくるのは自分が乗っているこの車だった。


ほんとに死の危険が迫っているのは、自分だったのだ。


聡久「な…!」


車を出るどころか声を出す暇さえなかった、真っ黒い波はピンポイントに僕を乗せた車を攫い、ガードレールを突き破り、ほぼ崖のような山に放り出した。

そこで初めて感じる死の気配、この鉄の塊はどこまで耐えられるだろう、ぐるぐると転げ落ちる車の中で、上も下も分からなくなった頃、強い衝撃に襲われた。

比較的平坦な場所に車が叩き付けられたのだ。

胸が痛い、呼吸がままならない、恐らく肋骨が逝ったのだろう、おまけに左腕がおかしな方向に曲がっている、さらに血が流れているのは叩きつけられた衝撃で朦朧とした意識の中でもわかった。

シートベルトで固定され、宙吊りになっていることに気づき、何とかシートベルトを外す。

ドサリ、と音を立て落ちる、骨が折れたところに響き激痛が走る。

聡久「がっ…!はぁ…はぁ…」

自由になった体で、何とか外に出ようとする。

だがそこで全身の力が抜けた、体が半分車から出た状態でその場にへたり込む、とても寒い。

気温のせいだけではない、通う血が減ったことで体温が急激に下がっている。


このままでは死ぬ。


そう悟った次の瞬間、脳裏に色々な光景がよぎる。

ああ、これが走馬灯というやつか、他愛もない光景しか出てこない、笑えてくる。

その程度人生しか送れなかった、にしては死に方だけは壮絶だな。


聡久「ははっ…」


本当に…笑えて来る…。


そして全意識を手放した。


~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~


気づくと僕は暗闇の中にいた、いや、意識はないから気づいてはいないのだろう、もしかしたら三途の川を渡ろうとしているのかもしれない。

と思ったがそこは完全なる暗闇だった。

聡久「僕は…死んだのか…?」

声は出た、ますます何が起こっているのかが分からない。

状況が分からず、ただぼうっとしていた。

しかしそんな空間に人影が見えた、その人影の声と思わしき声がきこえた。

「願え、生きたいと、そして、儂と共に…」

その声は僕を焚き付けようとしている、しかしそれと合わせて余りある悲しみを感じた。


『生きたい』


その一心で僕はその手を取る。


この春、冴えない高校生の人生は大きな転機を迎えることとなる。





ずっと書きたかった東方小説です、作者は語彙力に乏しく、かなり自己満足な内容となっています。

さらに原作未プレイであり、ネットで色々調べてきた程度の東方知識であり、妄想をただ形にしたかっただけの072小説です。

それでも見てくれる方がいたりしたら、作者は感涙に咽びます。

構成も何もかも滅茶苦茶だとは思いますが、生暖かい目で見ていただけたら幸いです。

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