古の妖怪と現代妖怪 - 第1話
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「ぬらりひょん様!ぬらりひょん様!暗黒狐切が訪れて来ました!」と慌てた声で1匹の鳥妖怪が報告してきた。
「来たか…」
古寺の引き戸を引き、殺人鬼らしき容貌をした妖怪、暗黒狐切が姿を見せた。
「何百年も前に封じられたはずの大妖怪が何故この土地に?」
「なに?そんな可笑しな話なのかい?」
「別に…最近封印から解放した妖怪はあなただけではないからな…」
横で話を聞いていた鳥妖怪が怒りにこう述べた「その口の聞き方ななんだ?!この方は過去に百鬼夜行を率いた大妖怪なんだぞ!」
「現代妖怪もみんなぬらりひょん様のことは知ってるさ、だが現段階で、この地の支配者は我らのリーダー、くらりひょん様だ!」
「なんだと?!」
「静まれい!」とぬらりひょんは鳥妖怪を遮った。ぬらりひょんはこう続いた。
「で?復活したわれを殺しにきたのかい?」
「別にそのつもりはない。伝説の妖怪の恐ろしさは昔から聞いておる。殺すのではなく、あなた様を我らがマスターの百鬼夜行に誘いにきた。」
「われが断ったら?」
「命は保証できますまい。」
鳥妖怪は明らかな戦闘体勢になったが、ぬらりひょんの意思を読み取ってすぐさま刀を鞘にしまった。
「そのくらりひょんという妖怪にそう伝えてくれ、もうある程度は把握できてると思うが、復活した古の妖怪は私だけではない、戦争ならいつでも相手になる。」
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7日が経った頃…
いつものように隆介は予備校に行く支度をして、家から出たが、余春麻呂の話はやはりあの時以来頭から消えない…
予備校に行く途中で、突然変な黒色の煙が彼の意識を奪った。我に返り、周りを見回したところ気味の悪い雰囲気の場所が彼を囲んでた。そこに現れたのが1人の人型の現代妖怪、名は黒穴人。
「別にそんな驚かんでもええ、争う気はない。」
「君も選ばれし者なの?」
「いいえ、おれは現代妖怪だよ。」
「妖怪は全て四百年前に封印された筈じゃ?」
「それは古の妖怪な、妖怪は自然からできた妖気のある存在、人間の悪い部分の塊さ。だが、現代妖怪は正直なところ、人間に害を及ぼすほど、強くはない。」
「じゃー、なんのようだ?」
「その手の甲の光は普通の人には見えないけど、僕たち妖怪には見える、君は選ばれし者の1人だろう?」
「そうみたいだが…」
「そこで手を組まないか?俺たちが力を貸す代わりに古の妖怪を一緒に倒そう?」
「陰陽師が妖怪と手を組むことなんざ聞いたことない。何を企んでるのか君たちは?」
「申し訳ないけど、それは言えない。そろそろ君にも精霊が現れるだろう。これが僕の紙だ、組むか組まないかを判断できた時にぼくを呼んでくれればすぐに赴く。」
四角形の小さな黒色の紙切れが渡された。
「良い返事を待っとるぞ」とこう言い放って黒穴人は姿を消した。