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変わる、変わらない、きっと

作者: 楠樹ことは

最近、世の中が少しずつ変わってる気がします。

気がついた時に手遅れになってないといいのですが。

 ――人は大き過ぎる変化にも、小さ過ぎる変化にも気が付かない。いや、直接自身に影響のある事にしか気が付かないのかも、しれない。そして気がついたときには、大概取り返しがつかないものだ――


 夏の朝日がカーテン越しに降り注ぎ、その眩しさに目を覚ます。

 枕元の置き時計の針は4時30分頃を指していた。

 まだ会社には時間がある。

 二度寝しようかと布団を被りかけ――なにか変な気がした。

 何が、とは言えないけど。何となく違和感がある。

 寝る前の部屋はこんな感じだったっけ、と。変に目が冴えた。

 

 仕方なく、部屋の隅に避けていたテーブルを寄せ、朝食を取る。

 このテーブル、1Kのこの家にはちょっと邪魔。

 なぜ買ったんだろ。


 まだ早すぎるから漫画を読む。

 この漫画に囲われた空間が何よりも幸せである。

 ごろごろと布団に寝そべりながら読みふける。

 見上げる電灯の紐がぶらぶらと揺れる。


 ゆったりとした時間。


 ふと気がつくと、置時計の数字は6時48分になっていた。

 慌てて布団や食器を片付け、ドアを押し開けて家を飛び出した。

 

 いつもと変わらない通勤ラッシュ。

 いつもと変わらない面倒な上司、手間のかかる部下。

 いつもと変わらない残業。

 いつもと、変わらない――。

 

 へとへとになって家へ帰り着く。

 倒れるようにドアを開け、玄関に崩れ落ちる。

 パチリ、と電気を付ける。

 幸い明日は休日だ。もう日を越してしまったから今日だけれど。

 そう思いながら布団を引きずり出し、体を投げ出す。

 メイクも落としてないけど、もう、いいや。


 ――布団?


 あれ、いつから布団だったっけ。確か私の家は昔から――

 思い出そうとした記憶が霧散していく。

 今日もいつもと変わらない。そう、変わるはずがない(・・・・・・・・)

 それに、多少違くても大した事ではないし。

 後でまた何とかなるでしょ。

 

 私の意識は眠りへと落ちる。

 

 次の日。顔に差し込む西日でようやく目が覚めた。

変わらない、変わるはずがないと信じている世界の中で私は――私達は生きている。


┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈

後学の為にも、感想などございましたらよろしくお願い致します。

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