男子学生たちの幸運②
綾田はるせはあまりにも男子学生たちのやりとりが、その表情とリアクションがオーバーでケラケラ笑ってそれを見ていた。しかし、男子学生たちのやりとりを見ながら笑い続けて自分のお腹を押さえる頃になるとはっとして途中からは3人の男子学生たちの様子を冷静に見るようになった。
(・・なるほど・・この人たちは・・自分を笑わせにきているな・・お腹一杯食べた後に笑わせて、わたしの脇腹痛を狙っているのかも・・)
と思った綾田はるせは、“そうはさせない”と少し意地悪をしてやろうと思った。しかし、男子学生たちが“昼からは”と言ったのを聞き逃していなかったので、午前中のことには触れないようにした。
「・・さっきから運がめちゃくちゃ良かったと言っていますけど・・お昼から今までに一体どんなに運が良かったって言うんですか?
・・たしかにおじさんのサービスのチャーハンはラッキーだったし、とってもおいしくて、ラーメンもすごくおいしかったですけど・・。・・その前に何があったにしろ、それで一生分の運を使い果たしたと思ってるんですか!?
・・あなたたちの一生分の運は『ひまわり』に来る前の少しの時間の何かと暑い日のおいしいラーメンとサービスしてもらったおいしいチャーハン分くらいしかないって言うんですか!? ・・そうなんですか!?
もしほんとにすごく運が良かったと言うのなら、もっと伝わるように話してくださいよ~。全然どれだけ運が良かったのか分からないな~、伝わってこないな~♪」
男子学生たちは綾田はるせが自分たちを横目に、いたずらっぽい笑みを浮かべて楽しそうに先に歩いていく姿をじっと見ていた。男子学生3人は逆に歩みが遅くなった。
「・・はぁ~・・♥・・ほんともう・・。・・マジ天使だなこれは・・」
「・・ああ・・“天真爛漫”・・という言葉の意味が初めて分かった気がする・・」
「・・二人に激しく同意・・あまりにも可愛さの度が過ぎていて表現できる言葉が俺には全く見当たらない・・」
綾田はるせはしばらく早歩きしたが、後ろの男子学生たちの気配が薄れたことに気が付くと、あれっ? と、様子を伺うように後ろを振り返った。




