失恋ラーメン①
(・・それにしてもおいしいっ! さっきまでは暑さで不快だったけれど、汗を思いっきりかいたら、ものすごい爽快な気分になってきた・・!
・・最初は暑苦しくて不安だったけれど正解だった・・。こんなに暑い日のラーメンがありだったとは・・!
・・隣の人たちは、なんかかわいそうみたいだけど・・大丈夫! ・・必ずあなたたちにはもっと素晴らしい女の子が現れるはずです! ・・今はとっても悲しいかもしれないけれど・・きっと・・)
麦わらの女の子は隣で泣きながらラーメンをすすっている男子学生を心の中で励ましながらも、自分の選択は正しかったと確信しつつ、箸を進めた。
言いようのない爽快感とラーメンのおいしさにとても楽しくなっていた。ふとこぼれてくる笑みを抑えきれず、嬉しそうにラーメンを食べ続けた。
その様子を箸に麺を引っ掛けたまま、男子学生たちは何度も見た。3人でお互いに顔を見合わせ、そして、視線を正面に戻しては麺をとぎれとぎれに力なくすすった。
(・・あ・・綾田はるせ・・っ!! ・・あの綾田はるせが・・っ!! ・・俺たちに気さくに声をかけ、俺たちの隣で一緒に汗だくになりながらラーメンをおいしそうに、俺たちと同じラーメンを嬉しそうに食べている・・っ!!)
3人の男子学生たちは、女の子のことを知っていた。3年生では里村彩、宮越あおいと肩を並べる、いな、それ以上の人気だろうと噂されている、というか大学の全学年の女子学生の中で1,2を争う人気であろうと多くの学生たちから噂されている綾田はるせが、なぜかこんなにとんでもなく暑い日に『ひまわり』に一人でラーメンを食べに来ていたのだった。
男子学生たちがまた綾田はるせの方を見ると、ラーメンをすすっておいしそうに食べていた綾田はるせがその視線に気づいた。
「ラーメン、熱いけれど、ほんとにおいしいですね」
綾田はるせは額に水滴のような汗をかいていて、それを拭いながら3人にこれ以上ないという笑顔を向けて話しかけた。
「そうですか? ありがとう~♪ 可愛いお嬢さんにそんな笑顔で褒められると嬉しくなっちゃうな・・。いやいやありがとう・・♪」
自分に言われたと思った店主が嬉しそうに綾田はるせに笑顔で答えた。綾田はるせは予期しない方から声がかかり、ハトが豆鉄砲を食ったような顔で店主の方をじっと見つめ、“・・あっ、はい・・”と頷くと、微笑みながら“おいしいです”と感謝を込めて軽く店主に会釈をした。
綾田はるせは店主が気分良く昼ドラに戻るのを横目に確認したあと、“誤解されちゃった”と3人の男子学生に力なく笑ってみせた。
3人はそれを見ると尚更に涙が止まらなかった。
涙をさっきよりも余計に流し始めた男子学生たちを見た綾田はるせは心配そうな顔をした。




