気になる存在②
女の子は自分も大汗をかきながら、暑苦しそうに口をもぐもぐとさせ手で押さえながら、到底理解できないな、不可解な人たちだという感じで男子学生たちに訝しげに聞いた。
「・・いや・・そちらもなんでこんな暑い日にラーメンを? ・・あなたも相当に汗だくじゃないですか?」
「・・実は、こんな暑い日に熱いラーメンを食べたら逆においしいんじゃないか? ・・とふと思ったんです。・・それで試してみようかと思って、食べに来たんですが・・あっ、もしかしてあなたたちも?」
「・・いえ、今日は色々あって・・とにかく思いっきり汗を流したい気分になったんです。・・それで熱いラーメンです・・」
「・・そうですか・・」
会話が終わると、ふうふう言いながらも、4人はラーメンを食べ続けた。4人のちょっと苦しそうな息遣いと、ラーメンをすする音と、あさっての方向に首を振って風を送っている扇風機、店主の見ている昼ドラの音声だけが店内に響いている。
「・・あ~・・これはもう早速泥沼だな・・早いな・・」
と店主が昼ドラを見ながら呟くのが聞こえた。テレビの中では一人の男を取り合って二人の女が泣き叫びながら争っている。
男子学生たちは相変わらず汗を拭ってはラーメンを口に運んでいたが、3人とも涙を流していた。その様子は決して綺麗には見えなかったが、昼ドラの泥沼の涙とは正反対の青春の涙だった。
女の子はそれには気づかずにどんどんラーメンを口に運んでいた。汗をたくさんかいて、逆に涼しくなってきていた。もうすでにさっきまでの暑苦しさの不快感は消えて、爽快感を感じつつあった。ラーメン自体のおいしさもあり、どんどん食べるのに拍車がかかっている。スープもどんどんすすっている。
女の子は暑さを吹き飛ばして最高の気分になった頃に男子学生たちはどうだ? 不快感を乗り越えたか? と3人の様子を伺った。
男子学生たちは自分と同じように汗だくでラーメンをすすっていたが、まだ暑苦しさを乗り越えられていないのか顔をしかめている。
3人が3人汗まみれだったが、よく見ると涙を流しているようだ。どうやら何かあったらしい。さっきの言い草だと相当に悲しいことがあったのかもしれない。3人揃って意中の女の子にでもフラれたのだろうか? それにこの暑さだ。悲しくて暑すぎて、ラーメンが熱すぎて辛くて泣いているのだろうか。
女の子は男子学生たちの様子をしばらく気にかけていたが、気を取り直すと、すでに最高のご馳走と化していたラーメンの方に向き直り再び食べ始めた。




