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今までにない自分  作者: にごらせ生茶
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有意義な午後の過ごし方②

 「・・よしっ! せっかくのお休みなんだからっ! ここはアクティブに月影公園の木陰ベンチでランチして、その後は涼しい月影図書館でゆったり、うとうと読書コースにしよう!」


 楽しい午後の予定を決めた女の子は更に足取りを軽くし、コンビニに向かった。


 コンビニは『衣料販売店みんたろう』から4車線道路に沿って真っ直ぐの所にあり、ダッシュなら2,3分くらい、歩くと5,6分くらいだ。以前にどのくらいかかるのか携帯の時計を見ながら測ったことがある。


 4車線道路と交差している2車線道路の横断歩道の信号につかまるかどうかで到着時間は1,2分左右される。


 『衣料販売店みんたろう』を出てすぐにコンビニの看板は遠目に見えていて、少しずつ近づくにつれて徐々に大きく見えてくるそれを目標に進む。


 歩いていると何人かの通行人とすれ違った。一人一人をすれ違うごとにそれとなく観察すると、額の汗を腕で拭ったり、シャツの胸元を指でつまんでパタパタさせたり、手で顔を仰いだりしていた。


 “そうだよね、みんな歩いていると尚更、暑いよね・・しかし、あたしもほんとに暑くなってきたな・・”と歩みを進める程に、一瞬忘れることのできていた暑さをつくづくといよいよ本格的に感じながら、ふと顔をあげて視線を前方に向けると、横断歩道の歩行者信号の青が点滅している。あっ、と思い急いで渡ってしまおうと駆け出そうとした途端に信号は赤にぱっと変わってしまった。


 女の子はもっと早く気づけば渡ってしまえたのにと、とぼとぼと残念そうにしながら2車線道路の横断歩道の前にたどり着き、空の高い場所からジリジリと自分の肌を強く照りつけている真夏の太陽を眩しそうに見上げた。


 「・・これは今日もどんどん気温が上昇しているな・・。雲もほとんどないし・・。もう30℃を超えてきてるかもしれない・・。


 これはうかうかしていると、月影公園の木陰ベンチでのランチとはいえ、思った以上に暑くなってしまうかも・・気温が上がりきってしまう前に食事を済ませて、早めに月影図書館に避暑に行ったほうが良いかもだな・・」


 女の子は今度は青空を見上げるのをやめて、自分の右側の交通量の多い4車線道路の方を眺めた。


 さっきから車が通るたびに熱風が吹きつけてきているが、今は4車線道路の車は赤信号のために停車しており、熱風が止み、一時いっとき暑さが和らいでいる。


 何台もの車のアイドリングの音がしている。青信号で車が走行している時はもっと騒々しいので、静かになったように感じる。静かになったことでも少し暑さが和らいだような気がする。

 

 女の子が4車線道路で信号待ちしている車に注意を向けていると、大きな走行音が耳に飛び込んできた。走行音のする方に目を向けると2車線道路を1台の大型トラックが走ってきていた。交差点を通過してくる。


 何となくそのトラックが近づいてくるのを眺めていたが、トラックが自分の目の前の横断歩道を勢いよく通り過ぎると、一段と強い熱風が吹きつけて、その拍子に被っていた麦わら帽子が吹き飛ばされそうになった。慌てて麦わら帽子のてっぺんを手のひらで押さえつけた。


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