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今までにない自分  作者: にごらせ生茶
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ラーメン屋ひまわり③

 「はいっ! お待ちどうさまです~・・味噌二つに醤油一つですね~、どうぞ、熱いから気をつけて・・」


 店主がメガネを曇らせたまま男子学生たちに出来上がったラーメンをカウンターに一つずつ差し出すと、男子学生たちは順番にどんぶりを傾けないように慎重にラーメンを受け取っていった。


 ラーメンからは湯気がもくもくと上がっていて、店主が言ったとおりとても熱そうに見える。


 男子学生たちは差し出されたラーメンをじっと見据えて少し間を置いた。しかし覚悟を決めたように箸を取り合ってパチンと割ると、早速ラーメンをすすり始めた。


 麺をすする音とテレビの音声、鍋で野菜を炒める音が店内にこだましている。


 麦わらの女の子はその男子学生たちの暑そうに、熱そうに麺をすする様子を水をちびちびと飲みながらどんな感じかとおっかなびっくりでチラチラと眺めた。それを見ていると素朴な疑問がわいてきた。


 (・・あの人たち、こんなに暑い日に一体、何でわざわざ熱いラーメンを食べに来たんだろう・・?)


 麦わらの女の子は暑くて、熱くて苦しそうにラーメンを食べている男子学生たちの様子を見ながらなんとなくぼんやりとそう考えた。


 店主の方に目を向けると自分のラーメンの湯切りを始めている。もうそろそろこちらも出来上がりらしい。


 (・・店内はめちゃくちゃに暑いし、ラーメンもあっちのを見る限り、とっても熱そうだし・・ちゃんと食べられるかな・・ドキドキしてきた・・)


心の中でこの暑さの中、ラーメンを食べることに不安を感じ、緊張していると、ついに店主から呼びかけられた。店主が出来上がったラーメンをカウンター越しに差し出してきた。


 「・・はい、お嬢さん、味噌ラーメンで~す! ・・お待ちどうさまでした~、熱いのでお気をつけて・・」


 ラーメンがいよいよ自分の目の前に登場した。男子学生たちのラーメンを遠目に見た以上に湯気がもくもくと立ち上り見るからに熱そうだ。


 女の子は目深に麦わら帽子を被っていたのを忘れていたが、ラーメンをいざ目の前にすると、ラーメンからもくもくと出ている熱い湯気を麦わら帽子のつばが効率よく顔周辺に充満させるので余計に暑い。


 麦わらの女の子は湯気が上がっているラーメンから視線をそらさずに麦わら帽子を取り、横の椅子に置いてあったバッグの上にポンと手探りで帽子を置いて気合を入れた。


 そうすると、一瞬、店内が静まり返った。店主はあっと驚いた表情をした。ふと顔を上げた男子学生たちが店主のただならぬ様子に気づき、店主の視線の方向に目を向けた。男子学生たちもラーメンをすするのも程々に女の子の方を呆然と見つめた。


 女の子は覚悟が決まったのか、割り箸を取って割り、少し間を置いて目を瞑り、手を合わせて“いただきます”をすると、意を決したようにラーメンを口に運び始めた。


 「・・ずずーっ・・ずずっ・・ゲホッ・・、ゲホッ! コホッ! うんっ・・うんっ! ・・ずずっ・・」


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