問答
おや。結構な時間放置されている。。
何やら、うちの職場、誰かが亡くなったら、過労死認定されそうな感じになってたり。困ったもんです。
「では、隊長さんは、このお部屋を使ってください」
美奈に案内されて着いた先は、とても広々とした、豪華な部屋だった。部屋の中に、いくつか扉があることから、恐らく、トイレが付いてるだろうということは想像できる。
と、いうか……。
「布団で寝るのか?」
恐らく違うだろうな、と思いつつ、聞いてみる。
「あ、いえ。寝室はあちらです」
「……美奈、俺は、物置にでも泊まらせてもらえるだけで十分だぞ?」
ホテルのスイートルームのようなリビングと寝室が分かれてる部屋など、後ろめたい思いのある身としては、過分に過ぎる待遇で困ってしまう。しかも、風呂もついているというし。今日入らせてもらった大風呂があるのに、個別にもついてくるとか、ほぼ初対面の人間を優遇し過ぎだろう。
物置は流石に、色々な物が置いてあるだろうから、却って自分が入れるのは良くないと思うが、もっと小さな部屋もあるはずだ。
そんな要の思いなど知らない美奈は、ふるふるとかぶりをかぶって反論してきた。
「駄目です。暫くこちらにいるのでしょう? きちんと休める環境というのは、思うより大切なものなのですよ!」
といっても、これは豪華すぎやしないだろうか。
一応、曲がりなりにも栄誉ある夢守隊の隊長をしているだけあって、要の住まいは広い。この部屋を使っても、広すぎて気後れするという事はないが、ソファを使うだけでも三、四人は休めるこの部屋は、明らかに家族連れで泊まるところだろう。
少なくとも、碌に知らない相手に提供する場所でないことだけは確かだ。
物置とはいかずとも、もう少し手狭で、盗まれたら困りそうな調度品のないところにしてもらうべきだ。そう主張した要だったが、美奈は譲らなかった。
部屋は余っているのだから、使い勝手のいい部屋を使っていくのが普通だと言うのだ。
「それに、お風呂とかも、夜中に戻ってきたりした場合、自分の部屋で済ませられた方がいいと思うんです」
確かに、それには一理ある。しかし、後ろ暗い理由から、無理矢理泊まっている身としては、何とも言いようのない気分になる要だった。
結局、暫く続いた押し問答の末、最終的に折れたのは要だった。美奈が、ここが気に入らないなら、自分が部屋を移動するので、そこを使うといいと言い出したからだ。
家の主が使っている部屋を乗っ取ることに比べたら、複数の部屋を贅沢に使わせてもらう方がマシだろう。そう考えて、開き直ることにした。
こうして、首尾よく……とは、とてもいえないが、無事、監視対象の家にもぐり込むことに成功した要。やけに甲斐甲斐しく世話をしようとしてくれる使用人の目をかいくぐり、適度に出掛けたりもつつ、美奈の監視をしていった。
自分に用意された部屋が、家族用の部屋であったことを知った要が、ひと悶着起こすことになるのは、数日後のことだった。




