偶然の出会い
うーん、タイトルがどんどん杜撰に。ま、いっか。
「うー。夕飯、期待してるからね。今日は作らないとか言ったらひどいよー?」
「もちろん、沢山作るから大丈夫。足りなかったら、明日計人たちと一緒に食べてもいいし」
結局、お昼に中華は我慢することにした三人。量には全然余裕があるので、お誘いしてみる美奈だったが、ゆかりはうーん、と考え、首を振る。
「噂の彼女に会うにはまだ早い。ここはやっぱり、もっと盛り上がったところで会わないと」
「ゆかり、いったい何するつもりなのさ……」
不審そうな目を向ける秀。こういう時のゆかりは、何かとんでもないことをやらかす可能性がある。美奈はそれを手伝いこそすれ、止めることはないので、計人がいない今、歯止めになれるのは己しかいないのだ。
「んー。状況とその子しだいだけど、場合によっては『計人と付き合いたいなら俺の屍を越えていけ』的な……」
やっぱり、碌なことではなかった。計人と血の繋がっている訳でもないのに、そんなこと言うなんて、一体どんな修羅場にする気だ。
「やめなさい。五十嵐君の恋路を粉砕するつもりじゃないなら」
「えー?」
ばっさり切って捨てる。当然「障害は恋のスパイスだよー」などという戯言も受け流す。スパイスなんて可愛らしいものではない、毒だ、猛毒。
「えーん、私の楽しみがぁー」
幼馴染の特権なのにー、と、落ち込むゆかりを、美奈が励ます。
「あ、だったら、前言ってたあれにしたら? 『梨亜さん、ここ埃が溜まっているのではなくて?』ってやつ」
が、これまた碌でもなかった。二人が本当に計人の友人なのか、そろそろ疑うべきか。
「小姑モードかぁ。でも、そっちだと、私を倒すまでが長くなっちゃうしなぁ。ある程度障害やったら、その後は、計人を嫉妬させるくらい仲良くなりたいし、あんまり長いと、やってるこっちが辛いし」
幸い、ゆかりの方は、あまりやる気はないらしい。だが、万一試されても困る。秀は、ゆかりのやる気を削ぐべく突っ込みを入れた。
「最初に嫌われたら、その後仲良くなるのは無理だと思うよ」
「うーん、梨亜ちゃんなら、ゆっかが仲良くしたいって言えば大丈夫だと思うよ。多分、ちょっとやそっとじゃ怒らないだろうから」
いや、そういう問題ではない。秀は、痛むこめかみを押しながら、止めるよう説得する。
「許してくれるからって、やるのはよそうか」
「えー、でも、やっぱり何らかの障害は必要で……」
わいわいと話している中、後ろから声がかかる。
「山口のお嬢様?」
ぱっと三人が振り返ると、そこには人の良さそうな男性がこちらを見ていた。
「まぁ、お久しぶりです、冴下様。偶然ですね、お仕事ですか?」
すっと礼をする美奈に「えぇ」と頷いた男性は、ちらりと二人を見て、美奈に聞く。
「少し確認をしに。そちらは、ご友人とお買い物でしょうか?」
「えぇ。紹介いたします。私の幼馴染である川岸ゆかりと、お付き合いされている根元秀です。後で冴下様のお店にも寄らせていただく予定なんですよ」
「そうでしたか。時間があれば、御案内したのですが……」
残念そうに言う男性に、美奈はいえいえと首を振る。
「お気になさらず。好きに見させていただきますね」
「では、ごゆっくりお楽しみください」
「ありがとうございます。失礼いたします」
にこにこと見送っていた美奈は、男が曲がり角に消えるまで見送り、振り返った。
「お待たせ、行こっか」




