申し開き5
うきうきとした城崎が、妹に連絡を取ろうとしたその時、それを遮った者がいた。
「いえ、恐れながら、妹様では役者不足かと」
やや及び腰になりながらも、鋭い視線を向ける城崎夫妻に負けず、はっきりと否定する。先ほど城崎夫妻と風早本人のじゃれあいを諌めたことといい、なかなかに勇気のある人物のようだ。
彼の主張はこうだ。
「妹様は、協力者である少年に対して責任を持つ身。その上、特例中とはいえ、現地での対応もあるならば、これ以上の任は荷が重いでしょう。ならば、ここは専任をつけた方が上策かと」
確かに、結城は五十嵐の監督者を兼ねて地界にいる。見回り等の通常業務に加え、人一人を監視しなければならないというのは、無理がある。
しかし、このままでは、美奈たちの世界に、風早一派の手の者が押しかけかねない。彼らは、地界を天界より劣った世界と位置付けている。同じ天界の人間すら見下す彼らが、地界の美奈に対して、どれだけ不遜な態度を取るか、想像もつかない。
要は、横にいる己の補佐にちらりと視線を向けた。視線を受けた鳥谷が、ひとつ頷くのを見て、覚悟を決める。
「それでは、私が参りましょう」
ゆっくり紡がれた要の言葉に、皆の視線が集まる。
「今なんと?」
「私が、少女の監視役として参りましょう、と申し上げました」
「大隊長自ら?」
城崎の疑問に、首を縦に振る。
「はい、丁度そろそろ休暇の時期でしたので、その間、地界を見るのも悪くないと思っておりました。少女の能力に特異性がないかをみるくらいなら余暇に影響出ませんし、それが一番かと」
「いや、大隊長にそこまでさせるほどでは……」
「いえ。自らも隊長職にいる結城が不足となれば、監視するに足る力の持ち主はそういないでしょうし、その様な者を、少女一人のために動かすのは良くないでしょう。その点、私は休暇で自由な身ですし、少女から私は『自分のことを助けてくれた人物』として認識されていますので、警戒されないという意味でも最適かと」
何とか自分のいいようにもっていこうとする風早一派の言葉に、早口でまくし立てる。
他の隊長との兼ね合いで、そろそろ一旦休暇を取る時期だったのは確かだし、休暇を地界で過ごすのが悪くないのも本当だ。まぁ、流石にこんなに急に休むつもりはなかったが、頼もしい部下が後を任されてくれたので、こちらも最善を尽くすべく、自分が監視役になることの有用性を説いた。
流石に、要の力不足を言い立てることの出来る者はおらず、美奈の監視に要が付くことで話がまとまり、要は急遽休みを取ることとなった。




