申し開き2
「ところで、牢を抜け出した少女は、何をしたのかな?」
さて、とばかりに話を戻した城崎様に、要も気を引き締めなおす。
「は。先に連れ去られた案内者を探しつつ、助けが呼べぬかと彷徨っていたようです。偶然発見し、保護しました」
「それは、少女が三番隊にまでやってきたということかな? 場所を分かっていたと?」
「いえ、それは偶然のようです。少女は、目的地を知らなかったため、手当たり次第に調べていたところ、『隊長』と呼ばれる私に出会ったと申しておりました」
「それは、隊長が貴方だと知らなかったということですか? ……おかしいですね、それでは少女はどうやって貴方が、城崎様の妹の隊の隊長だと分かったのでしょう?」
訝しげに尋ねる風早派の一人は、丁寧な言葉ながら、眼は何かを探るように鋭い。
「それは。少女と会った際、目的が分からなかったため、私が誰何いたしました。その内に判明した、という形です」
「何故、誰何した? 少女がおかしいと分かっていたのか?」
美奈の能力については、あまり言いたくなかった要だが、嘘は言えない。仕方がなく説明した。
「いえ。……少女は、鳥の姿で喋ったので」
「ほぅ?」
案の定、統括者は皆、興味を引かれたようだ。軽い相槌で促され、詳細を話す。
「少女は、動きやすいように鳥の姿で動いておりました。そこで、私が偶々部下から呼ばれた隊長という言葉に、つい、反応してしまったようです」
「それは何故?」
「案内人より、夢守隊の隊長に会いに行くと伝えられていたそうです」
「成程。顔は知らぬが、助けてくれるであろう隊長を探していたため、その言葉に敏感になっていた、というわけだな」
要は、こくりと頷く。矢継ぎ早の質問だが、城崎様のフォローがあるため、思ったよりも穏やかに進んでいく。
「少女は、天界に来るのは初めてだというが、随分力を自在に扱えているようだ」
「少女は元々が夢人でした。好奇心も旺盛で、事前に天界の話を聞いていたため、力についてのイメージが掴みやすかったのでしょう」
「夢人の力は、夢追人の力の基礎ともなるものね」
「元々の素養もあり、聞いたことを活かせる、か。なかなかに将来有望だな。流石、我が妹は見る眼がある」
「貴方、兄馬鹿はそれくらいにしておいてちょうだい」
「今のは単なる事実だろう?」
兄馬鹿そのものの言葉に、妻がはぁ、と息を吐く。そんな二人のやり取りに、風早様の肩が震え始めた。
「相変わらず、仲が良くて結構なことだ。が、妹ばかりを褒めていると、奥に愛想を尽かされるぞ?」
からかいが多分に含まれた言葉に、にこやかに答える。
「ご忠告ありがとうございます。妬かれるのは嬉しいものですが、愛想を尽かされては困るので、後でたっぷりと愛を囁いておきます」
「馬鹿なことを宣言しないでちょうだい」
すっかり和やかムードの中、存在を忘れられた要と鳥谷は、密かに顔を見合わせる。美奈に追及がいかないのは良いが、いつまで続くのだろうか?




