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諮問会3

「その前に、二番隊はどこまで掴んでる?」


逆に質問を返した要に、二番隊隊長は少し考え、答えた。


「地界人の女が『風』と同調し、内部を探ったことと、何度か彼女の力が壁を越えて動き回っていたことくらい、だな」


要は一つ頷き、補足していった。


「美奈の力が壁を越えたのは、一つは同行者の五十嵐と話をするため、だ」


「あぁ、何度か同行者との間の壁をすり抜けていたようだな。一つ、ということは、他の目的を知っているということかな?」


「あぁ。もう一つは、結城を救う人物を探すために、外を見にいっていた」


牢の囚人が外に出た、という要の言葉に、辺りがざわめく。


どうも、二番隊は『風』を調べたことで分かっていたようだが、その報告はまだ他隊にはもたらされていなかったらしい。


「成程。で、その後の行動を知っているのか?」


「美奈は、まず自分と同じ様な場所に結城が捕らわれていないかを見ようとして、北の方へ向かったらしい」


「何故、北へ?」


「美奈達は、自分を捕らえた者に『北』に結城を投獄したと言われていたからな。とにかく何でもいいから行動に起こして事態を変えようとしたみたいだな」


「いっちゃなんだが、それは本当に信じられるのか? 『風』の奴らに聞いたら、地界人二人が冤罪かもしれないというのは、こちらでも掴んでいて、事実確認に動いていたと聞いたが」


確かに、己の身を自由にしたいなら、係が事実確認の最中に、自分の不利になるような勝手をするとは考えにくい。自分達が冤罪として解放されてから、堂々と助けを求めればいいからだ。


「あぁ、それは聞いた。事情徴収の際に、自分達が不法侵入ではないと訴え、確認してみろと言ったにも拘らず、何時間経っても事態が動かない。こちらに連絡をとるにしても、『通い路』の兵に聞くにしても、そんな時間が掛かる訳がないから『風』は、結城を陥れた敵方についたと判断したそうだ」


要の言葉に、なんとも言えない沈黙が広がる。確かに、事前申請があるかを確認するだけなのに、何時間も掛かると思うのは無理がある。


「反対にそれを聞きたかったんだが、何故『風』は、美奈の訴えを聞いて、実際に問い合わせをしなかったんだ? 『通い路』も、そんな質問してきた奴はいないって言っていたが」


要の素朴な疑問に、二番隊の隊長と副隊長は暫し顔を見合わせ……。


「逃避、です……」


「は?」


なんとも言えない顔で言った副隊長の言葉に、疑問の表情があちらこちらに浮かぶ。


「その日、丁度『風』の監察日でして、監察官が来ていたんです」


「あ、あぁ。知ってる。島田だろ? 実際に会ったしな」


そういえば、同期の方でしたね、と言う副隊長に、続きを促す。


「実は、地界人の事情徴収をした係官は少しおっちょこちょいな所がありまして、地界人が誰と一緒に来たのかを確認しないまま、事実確認に行ってしまったんです」


「は?」


「彼は、『リアちゃん』という名の天界人と共に『隊長さん』に会いに来た、という話しか聞かずに外に出たらしく、それが一体どこの誰をさすのか分からなかったそうです」


「……」


「聞きに戻ろうにも、監察が始まっていたため、そこに戻ることが躊躇われたと……」


言いながら、段々と身を縮めていく二番隊副隊長。その隊長も、眼が不自然にあちこち泳いでいた。


「で、ですが、『通い路』なら、今日の申請者を知ることが出来ます。二人の名前があるかどうかを聞くくらい、直ぐにできたでしょう?」


自分の隊長の機嫌が急降下していくのを、すぐ隣に感じていた鳥谷は、慌てて続きを促す。二番隊副隊長は申し訳なさそうに視線を下に向けた。


「慌てて、その方法を失念していた……、そうです」


「はぁ?」

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