諮問会2
「……統括者へ。美奈にそれほどの能力が認められた、と?」
要は、心の中でチッと舌打ちしつつ、それをおくびにも出さずにとぼけて聞いた。
「あぁ。貴方も知っているのだろう? 彼女が天界の力を操ること。そして、それが今回、『風』でも使われていたことを」
途端、ピクリと肩を上げる鳥谷を横目に見つつ、周囲へ最大の神経を向ける。
能力をいくら検査したところで、美奈があの時に力を使っていたことなど分かるはずもない。
「……何故」
「何故? 『風』は我が二番隊の管轄だよ。分かるだろう?」
確かに、二番隊隊長がその気になって調べれば、牢に、美奈の力の使った残滓を読み取ることなど造作もない。だから、調べた結果、美奈が好き勝手やっていたのがばれたのは不思議でもなんでもない。
問題はそこではなく、どうして調べる気になったか、だ。
大通りに設置された防犯カメラの録画映像を、事件が起こってもいないのに、全ての映像を見直しチェックしたりしないのと同様、何かが起こらない限りは調べられることなどない筈だった。
下手に『風』での美奈の痕跡を消そうとすれば、そちらの行動の方が、余程後ろ暗いことがあったぞ、と宣伝するようなものだったので放置していたが、こんなことなら、二人が捕らわれている時にでも、態と力を使ってかく乱でもしておいた方が良かったか。
唇を噛み締め苦い顔をして考え込む要に、六番隊隊長が幾分すまなさそうに頬をかく。
「実は、あいつが地界人の髪を採取して、被検体がどの世界に所属しているかを探ろうとしたんだ」
「はぁ!?」「えぇ!?」
思わず二人揃って大声が出る。それはつまり、こちらに無断で美奈に接触しようとした、ということだ。
「その、……すまん。非凡な能力を持った人間をみすみす異界へ放置しておけないと、後日改めてこちらに連れてこようとした、らしい……」
ぎろっと睨みつけてやると、六番隊隊長は慌てて両手を振りながら、勿論、その前に止めてるぞ!? と言い訳をした。
――当たり前だ! そんなこと、誰がさせるか!
あの地域は、うちの管轄だ! と、噛み付く要を、まぁまぁと宥め、八番隊隊長がひとまず先へ話を進める。
「髪の持つ波長と同じものを探したところ、何故か天界から複数の強い反応が出たらしいの」
ぎくりとして、要は無意識に美奈から預かった珠を握りしめた。
「それは、地界人の捕らえられていた『風』からであったり、第三隊隊舎であったり。もう一つはご自身でお分かりのようだね。そう、そのストラップになっている珠だ」
「一番強い反応を示したのが、その珠だったそうです。で、質問ですが、それは一体何ですか?」
三十二の問い掛ける瞳に見つめられ、要は心の中でもう一度盛大な舌打ちを鳴らした。




