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幼馴染との会話

「そういえばミナ、計人がとっても綺麗な女の子と一緒に歩いてたんだけど、何か知ってる?」


幼馴染みのゆかりに聞かれ、美奈は頷いた。


「多分、結城梨亜ちゃん。うちの組に転校してきたの。で、計人が気に入ったみたいなんだよね」


幼馴染みの恋愛事情に対し、ゆかりの反応は多少相手に失礼だった。


「うっわ、計人ってそういうの興味ないかと思ってたけど、単に面食いだっただけ? 欠陥なんじゃないかと心配してたけど良かったわー」


「ゆかり、その言い方は……」


さすがに彼氏の秀が窘めるが、ゆかりに特に反省する風はない。


まぁ、仕方がない。計人は今まで、ゆかりたちが見ている範囲で、女性を意識するということがなかった。


実は密かに結構もてるにも拘らず、交際といった経験が一度もないのは、何も美奈がいつも一緒にいるせいで恋人だと誤解されやすいからだけではない、と踏んでいる。


「で? 相手の方はどんな感じ? 脈はありそう?」


興味津々、とばかりに聞くゆかり。付き合い始める様なら、からかいがてら会う気満々だ。


相手がどうこう、というのは、美奈が黙って認めている時点で全く心配していないが、今後の計人との付き合い方にも関わるかもしれないだけに、出来れば相手の情報は早めに得ておきたいわけだし。


「うーん。今のところ、梨亜ちゃんの方は、全くその気ないと思う。でもまぁ、色々あって二人は同居するし、そこら辺はおいおいと」


美奈の言葉の中に聞き逃せない単語を確認した二人が、眼を見開く。


「え? 色々って何? 何すりゃそんな訳の分からない状態になるの?」

「確か、計人って一人暮らしだったよね? ……同い年の女の子と同居? その子の家に居候?」


美奈は、少し考えるように首を傾げつつ、更にとんでもないことをさらっと暴露する。


「えーっと、どう言えばいいかな。一言で言うと、梨亜ちゃんはこの世界の人間じゃなくて住む場所ないから、って感じかな」


「は?」


この世界の人間じゃない、などと荒唐無稽なことを言う美奈に間抜けな声を上げる秀。だが、ゆかりの方は、生憎、美奈との付き合いの長さから、これが掛け値なしに本気で言われた言葉だということが分かってしまった。


――つまり、計人のお相手は、異世界人ということ?


少しの間、眉を寄せて考えていたゆかりだが、具体的に何がまずいか、と考えてみたところ、何も浮かばなかった。


戸籍がないのは問題かと思ったが、思い返せば美奈達と同じ高校の制服を着ていた。つまり、戸籍に関してもそれなりに何とかなっているものと思われる。


暫く色々と考えてはみたものの、結局は特に関係ないという結論に達したようだ。


「うーん。ま、恋愛くらいなら生まれた世界なんて多少違っても問題ないでしょ」


こくこく頷いて納得するゆかりに、同調して、うんうん、と頷く美奈。


そんな二人に対して秀は、見事な夕焼けに眼をやって、諦めの表情を見せていた。

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