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心残り

美奈の検査結果について考えにふけっていた要は、ふと胸の辺りに何か妙な圧迫感を感じた。


違和感の元を探り、ぎくりとする。胸ポケットの中には透き通った二センチくらいの大きさの珠。


「これ……、美奈か?」


形には見覚えがないが、美奈の力の気配がする。最後に美奈端末を入れた場所にあるから間違いないだろう。


『風』から出る時に、軽くなったので、美奈が力を戻したのだと思っていたが、この珠に変化していただけだったらしい。


――やばいな。俺どこまで口に出して喋ってたか覚えてないぞ。


盗聴の恐れのない安全な場所に一人でいるつもりだったせいで、思ったことを口に出していた可能性は高い。美奈の能力が高いということくらいしか考えていなかったはずなので、最悪、聞かれていてもそこまで問題ではないとは思うが……。


要は、恐る恐る珠を取り出してみる。何の反応もないので、試しにつんつんとつつくが、やはりうんともすんとも言わない。


聞こえませんように、と祈りつつ「美奈ー?」と呼んでみても反応がないのを確かめ、ほっと息をついた。


どうやら、今はこれで周囲の様子を観察はしていないらしい。


なら、回収しないのか? とも思ったが、美奈は殆どの力を、要と会ったコレに注ぎ込んでいたようなので、ネズミが消えたときとは違い、実際に触らないと戻れないのかもしれない、と判断する。


となれば、さっさと返しておくのがいいだろう。幸い、この珠の持ち主がどちらにいるかは、何となく珠から伝わってくる気がするし。


要は隊長室を出て、美奈の元へと向かって歩き出した。



「美奈、これはいつ回収するんだ?」


梨亜と話していた美奈を見つけ、ほらっと差し出すと、美奈はきょとんとした。


暫く珠を覗き込み、うーん、と唸ってしまう。


「どうした?」


これは美奈の一部なんだし、特に警戒するようなものでもないと思うが、美奈は困ったように要を見つめる。


「何かこれ、不純物が混ざっていて、戻せないみたいなんです」


「どういうことだ?」


聞いてはみたものの、美奈自身もきちんと分かっているわけではないらしく、あやふやな説明しか返ってこない。


結局、何だかんだでこの珠は、要預かりとなった。


美奈の力はなるべくなかったことにしておきたい要としては、美奈の力の塊を所持しているのもどうかと思ったが、放置しておくのも、制御できないかもしれない力を地界へ持ち帰るというのも不安だという美奈の意見には頷かざるを得ない。


美奈に『心残り』と命名されたコレは、幸い見た目はただのガラス玉なので、問題はないだろうと、要は珠を握りこんだ。

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