再会
物体の飛ぶ先を視線で追った要と鳥谷は、鳥に激突されている梨亜を見つける。
「結城!」
要の呼ぶ声に、梨亜ははっとこちらを向くと、一目散にかけてきた。
「隊長! 申し訳ありません!」
梨亜の言葉に要が返事をする前に、心配そうな二つの声が梨亜にかかる。
「無事か、梨亜!?」
『梨亜ちゃん、怪我とかしてない? 大丈夫?』
梨亜がここにいたということは、投獄された、というのが何らかの間違いだったといえる訳で、そんな梨亜に怪我がある可能性は殆どないだろう。要は、それでも思わず無事を確認する声を聞き、うちの部下はそれなりに好かれているのか、意外だな、と些か失礼なことを考えつつ、そのままこの場で話しだしそうな周りを宥める。
「詳しいことは後だ。まず、五十嵐と美奈を出してやりたい。お前の兄に頼めないか?」
「あ、はい! これを見せれば大丈夫です」
半ば呆然と鳥と端末を交互に凝視していた梨亜は、はっと我に返ると要に封筒を渡す。
「これは?」
「兄の書いた、地界人の解放指示書です。二人は私の連れてきた客人であり、勾留は間違いである事を、統括者の名において保証すると書かれています」
自分のせいで罪なき地界人が拘束されたことで、何よりも溺愛する妹の怒りを買い、慌てた統括者が、妹に許しを請うために作成した指示書だ。下手なことをすれば妹に嫌われてしまう、と必死に書かれただけあって、これなら意図が間違って伝わることもない、現状を打破するのに十分な代物だった。
「そうか、なら鳥谷は先に戻って準備しておいてくれ。――美奈達も戻っておくか?」
統括者が態々、自分の名においてされる保証に、疑問の声を上げるような真似を出来るのは、同じ統括者くらいのものだ。よって、問題はほぼ解決したに等しいと、要は胸をなでおろした。
『いえ、顛末を見たいのでこのままで。でも、消えても平気なように、隠れていられると嬉しいです』
「んだな。こっからいつ出られんのか、分かんねぇで待ってんのも暇だし」
流石に、ここから二転三転し、二人が解放されないということは、ほぼないだろう。しかし、せっかくここまで来たのだから、最後まで見届けておきたい、という二人の要望を受けて、要はそのまま端末を持っておくことにした。
「分かった」
話をしつつ、端末の中へと鳥が戻っていく事態に、梨亜が驚きの声を上げる。
「鳥が端末に飛び込んだ!? え? え!?」
端末をポケットにしまった要は、この状況に追いつけずすっかり混乱してしまっている梨亜に、構わず声をかけた。
「さぁ行くぞ、結城」
「え? は、はい。はい?」
梨亜は首を傾げつつ、慌てて要の後を追った。




