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膝枕

「――なら、二人に面会は可能か?」


要が島田に聞く。


「面会ねぇ」


「まぁ、駄目なら押し入るがな」


さらっと物騒なことを言う要に、島田が慌てながら頷くが、ここで問題になったのが美奈だ。


七歳という、生まれたてに近い美奈は幼すぎて一人にしておけない。かといって、冤罪の可能性が高いとはいえ犯罪者のいるような場所につれて行く事も出来ない。


七歳がこの世界にとってそこまで幼いという認識だとは知らなかった美奈は、あまりの言われように、その犯罪者は自分自身なんですけど、と不貞腐れたくなったが、それをいう訳にはいかないので仕方がない。


――隊長さんはいいのに、私は駄目なのかぁ。


見た目としてはそう変わらない様に見えるが、流石に本物の幼児と見た目だけの相手では扱いが違うのは当然か。ましてや相手は天下の夢守隊の一桁隊隊長な訳だし。


いっそ無生物に化けていれば、どこにでもついていけたのにな、と今更思い付いて心の中で頭を抱えるが、今ここでほいっと変身するわけにもいかない。


結局、鳥谷と一緒に待っているということで話がついた。


「じゃあ、おじちゃんたちはちょっといなくなるけど、お留守番頼めるかなー?」


顔を覗き込んで言ってくる島田に、笑顔でこくんと頷く。


「じゃあ頼むねー。後でお菓子でも持ってくるからねー」


満面の笑みで言う島田の手が、自分の頭へと降ってくる。


上から迫る大きな手に、押し潰される様な恐ろしい錯覚を覚えた美奈は、思わず悲鳴を上げて逃げ出した。


要の後ろにぎゅっと掴まり、縋りつく。


慌てたのは他も同様だ。島田は、自分は何もしていないとばかりに両手を揚げてお手上げのポーズになり、要は状況を忘れて呼びかけた。


「どうした!? 美「隊長っ!」


つい本名を呼びそうになった要を、寸でのところで鳥谷が止める。


しまった、と口を押さえた要だが、時既に遅く。


「み? みってなんだ? ……ゆかりちゃんだったよな?」


はて? と首をかしげる島田に、三人はピシッと固まった。


自分の不用意な行動が元で不信感をもたれてしまった美奈は、慌てて要から手を放した。


「ゆ、ゆか、みぃみぃ泣かないもん」


続けて、二人が何か言う前に、立て続けに言い募る。


「ゆか、名前ゆかりだもん。みぃじゃないもん」


そうして、内心「気付いてー! 誤魔化されてー!」とあわあわしつつ、ぶんむくれた顔をしていると、はっと気付いた要が、両手を前に合わせて謝ってくる。


自分の意図に気付いてくれたことに安堵した美奈は、内心平謝りをしつつ、表面上は怒ったまま、鳥谷の後ろに隠れた。


悪かった、と謝りつつ牢へと向かう要達に、後ろ向きのまま、ひらひらと手を振ってやり過ごすと、どっと疲れが襲ってくる。


「す、すみません。取り乱しました」


二人になったのを確認して、鳥谷に頭を下げる。


「いえいえ、大丈夫ですよ。こちらも上手く誤魔化してもらえて助かりました」


「いえ、元々は私のせいみたいなものですし」


二人して頭を下げあって、吹きだす。


「ところで、美奈さんの方はどうなってるんですか? 戻らないでも平気でしょうか?」


「はい、とりあえず意識はあちらに集中しておくことになると思います。こちらは、待っているのが暇で眠くなっちゃったとでもしておけば、ぼーっとしていても平気でしょうし」


「でしたら、どうぞ」


ぽんぽんっと膝を叩いて招き寄せられる。


――えーっと。これは、膝枕をしてくれるということ?


暫し葛藤した美奈だったが、鳥谷の表情が素晴らしく良い笑顔だったため、遠慮なく膝に頭を預け、美奈本体の方に意識を戻した。

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