救いの主
『あの、隊長さんは、夢追人の隊長とか、ご存じないですか?』
流石に夢追人の隊長に知り合いなどいないだろうが、どこに行けば会えるのか位は分かるはず、その程度の思いで尋ねた美奈だったが。
「鳥谷」
「はい、何でしょうか? 夢守隊・第三部隊隊長、木崎要様」
――夢守隊・第三部隊、隊長……?
梨亜から聞いた所属部隊は第三。今日会う隊長の名前は木崎要。
――…………え?
助けてもらうべく、探し出そうとしていた本人、なのだろうか? いやしかし、梨亜の言っていた隊長は、梨亜より年上だったはず。
その後も少し何か話していたが、自分で何言ってるか分かっていないくらい頭の中は真っ白にだった。
ふと、パニックに陥っていた美奈の頭に、梨亜の声が蘇る。
『隊長には、身長の話題はタブーなの』『姿で侮れる兵はそうそういないんだけど、本人だけは気にしてるんだよね』『以前、小さいことを馬鹿にした人達を纏めて完膚なきまで叩きのめした伝説があったりするのよ』
――小さいって……。え、これ、小さいってレベルじゃ……。えぇー!??
いや、確かに梨亜から聞いた、隊長の特徴には全て一致しているが、流石に小さすぎやしないか?
しかし、この二人に、美奈が探しているのが第三隊だと分かるはずがないし、偶々適当な嘘で当たるには、かなり勇気が必要なはずだ。夢守隊の隊長を騙るなんて、万一嘘がばれた場合、笑って済ませられるようなものではない。
となると、目の前にいる彼が、梨亜達を救ってくれる希望ということになる。
美奈の頭がそれを認識すると同時に、身体は顔面にぶつからんばかりの勢いで隊長の元へと突撃した。
『隊長さんお願いです。梨亜ちゃんと計人を助けてください!』
美奈が、逃すものか、とばかりに周りを飛んでいると、要はそんな美奈に悠然と手を差し伸べ、聞いてきた。
「お前ひょっとして、美奈、か?」
――話が早い! 流石隊長さん!
美奈は、指にひしっと掴まるとピィピィと必死に訴えかけた。
『はい、そうです。お願いします、助けてください』
そんな美奈をまじまじと見ながら、一つため息をついた要は、美奈を止まらせたまま鳥谷と呼ばれた女と共に、建物の中へと入っていった。
隊長室と思しき部屋に入り、他人が入って来ないように閉ざされる。
鳥の姿では気分的に発音し辛かった美奈は、一言断って小さな子供に化けた。
子供だったのには大して意味はない。
ただ単に、他人に見られた場合、小さな子供なら多少言動が変でも、小さい子供だから、で許してもらえるだろう、というのと、要についてくのに、あまり大きいと子供を付回す変態と捉えられないかと思ったため、要にあわせた大きさになったというだけだ。
しかし、ほいほい姿を変える美奈に、二人はついていけなかったようだ。
「……確か、美奈ってのは、十五、六って話じゃなかったか?」
「……そうですね。成長期前でしょうかね?」
どこかあらぬ方を向いている二人に、ちょっぴりやり過ぎたかな? と思わないでもない美奈だった。




