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出会い

何故か肩をいからせ、不機嫌な表情で足早に歩く子供は、やがて後ろから来る女の人に呼び止められていた。


「隊長! 風も強いので、これもつけていってください」



――え、あんな小さな子が……隊長、さん?


背が低いとかそういう問題ではない。あれはどう頑張って見ても小学生より上には見えない。この世界では、こんなに小さな隊長職があるのだろうか?


いやいや、学校でも鼓笛隊とか吹奏楽隊とか色々あるじゃない、普通よ普通、と自分自身に突っ込みを入れつつ首を振っていると、いきなり子供の首がくるんと回り、アンバーの特徴的な瞳が美奈を視界に捉えた。


間違いなく自分を意識した瞳に、何故かぞくっとする悪寒を感じた美奈は、咄嗟に羽ばたいた。


「捕縛布」


子供特有の高く澄んだ声と同時に、衝撃波に近い、不可視の何かが今まで休んでいた枝に纏わりつくのが分かる。声の内容からすると、あれに捕まれば、身動きが取れなくなるだろうことは想像に難くない。


――え、えぇぇー!!? いきなり通りすがりの罪もない小鳥に攻撃とか、この世界の子供は何て残酷なの!? いやうちも矢鴨とかいるし似たようなものかもしれないけど! いやだけど暴力反対!!


パニックに陥った美奈は、鳥の動きを忘れそうになりつつ、必死に高い空へと逃げようとしたが。


「止まれ! さもなくば攻撃する!」


――ど、どどど、どうしよう!??


もし逃げ切れるなら、逃げてしまうのが一番だ。飼いたいのであれ、触りたいだけであれ、羽をむしりたいとかバイオレンス系でないのでもあっても、そのご要望にお応え出来る可能性は限りなくゼロに近い。


けれど、今少年が放ったのは、略式呪というやつではなかろうか? 確か、本当は長い文章で発動させる術を、簡略化させたもの。当然、力の強い人間にしか使えないはずだが……。


ということは、あの少年はあんな小さいにも拘らず、大層な能力があるということだ。下手に逃げても振り切れない可能性がある。


思いっきり後ろ暗いところがありますと宣言しているのと同じなのでやりたくないが、いっそここにある意識を捨ててしまうのもありかもしれない。そうすれば、本体から離れるという意思を失った意識は、本体へと戻るはず。けれど、それで本体を特定されでもしたら……。


考えれば考えるほどどうすればいいか分からず、思考と同じくぐるぐるとその場を回ることしか出来なかった。


制止を振り切り逃げるか、捕まっても危害は加えられず、解放の機会はあることに賭けるか……。


――小鳥さんのお願い聞いてくれる、単……純粋な心を持った幼子なら、私達の助けになる可能性も……。いや、力だけ強くて心は純粋とか、それは都合よすぎるでしょ。


それに、今必要なのは希望的観測ではなく、事態を悪くさせない道を考えること。逃げるか逃げないかは、逃げ切れるか逃げ切れないか、というだけの問題と考えた方が良い。


そこまで考えていると、下から更に声が掛かった。


「降りて来い。逃げ出したりしなければ、手荒な真似はしない」


――うーわぁ。信じていいの、この言葉?


もし信じて嘘だった場合、最悪鳥としての美奈の生命は消える羽目になるかもしれないが、美奈の大部分は今も牢屋でおとなしく座っている自分の身体の中にある。


ならば、虎子がいるかは分からない虎穴でも、入ってみる価値はあるかもしれない。


――どっちにしろ、誰かに助け求めないとならないんだし……。えーい、女は度胸、愛嬌、素っ頓狂! もひとつおまけに素っ頓狂!


美奈は、心の中で有名な児童小説の、不思議な銀行に現れた強運な女の子の口癖を叫びつつ、先ほど止まっていた樹の一番上に止まった。

クレヨン王国、好きで新しいの出る度に買ったり、買ってもらったりしてたんですよねぇ。。クレヨン王国パスポートなんていう会員証まで発行してもらっちゃう位、好きでした。

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