プロローグ
はじめての投稿で、至らぬところだらけで寧ろ至るところがあるか分かりませんが、最後まで頑張りますのでよろしくお願いします!
夕方からずっと、強い雨が降っている。
学校の春休み課題とかいう魔物を徹夜で片付けているこの俺、住ノ江伊吹は、窓に打ちつける雨音に情緒を感じている……どころかストレスを感じている始末だった。期待と焦りがない交ぜになってとても課題どころではない気持ちなのだが、現実は厳しい。学校は明日から、いや、正確には今日から始まるというのに、苦手な数学がほぼ手付かずで残っているのだ。
これはたぶん、今年もやっていけるかどうかを確かめる試練だ。高校入試でもはなから数学など当てにしていなかった俺には、復習レベルの課題ですら正直難しいけれど。そもそもこんなに範囲が広いのに一日で終わるわけがない……。まあそんなことを言っても、終わるように計画的に取り組まなかったのが悪いのは分かっている。
だが、思いつきで行動する癖のある俺はどうも計画とかそういう類の言葉が苦手だった。今年ははじめて後輩もできるというのに、なんでこんな作業をしなければいけないのか……そんな事を考えながら窓の方に目をやったが、まったく集中できていない自分に気づきまたペンを握る。いくらなんでも、初日から課題を忘れるわけにはいかないだろう。悪目立ちしたくない。
クラス替えもあることだし、しばらくは大人しくしているつもりだった。
翌朝、小鳥のさえずりとともに目覚めた時、俺は課題を全て終えることに成功していた。疲れた頭がまだ寝ろと主張しているが、生憎そういうわけにはいかない。
もう春休みは終わった。そう考えると、とくに学校が嫌いではない俺でも心なしか気分がどんよりしてくる。
そんなことをぼーっと考え、春休みへの未練と眠気を振り払いつつ、俺は水たまりの残るいつもの通学路を歩み出したのだった。