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第2章 GOOD LUCK BABY〜幸運を祈ってるぜベイべー!〜

やっと着いた。

僕は心から喜んでその事実を噛み締めた。

あのグラディエーターを倒したあと、降りた首都駅でかなりの数のマスコミに囲まれもみくちゃにされた。

そんなに強いんだったらマスコミなんて当たり前じゃないの?なんて思っている読者諸君。

それは確かに騒がれたことも何回かはある。

だが僕はもともと仕事上はシーモンキーという名を使っていて、鬼の鉄仮面まで着けているから新聞には

「天才!少年グラディエーター」

なんて見出しで載ってしまうのだ。

今は駅から歩いて学校まで向かっている。マリア姉はことの重大さに気付かない様でむしろテレビや新聞に出れてうれしそうだ。

え?なぜ僕はうれしくないかって?そりゃ、戦闘場面と顔や体格で、わかる人には僕だとわかってしまうのだ。

要するにそれは直接死に関わることなのだ僕のような仕事をしている人にとっては。

そんなこんな考えているうちに学校に着いた。前に二回くらい来たことがあるが、なぜこんな大きな施設を作るのか分からないほど大きい。

しかもこんな建物を作る資金をどこから調達してくるのか分からないほど豪華だ。

それこそ最新型パソコンに始まって、新しい機械は全てここにあると言っても過言ではない。

ここには大きく分けて3ブロックあり、勉学ブロック(何とも格好悪い名だと思う。

)、住宅ブロック(ここに宿舎がある。

)、レクリエーションブロック(運動場や体育館、プールなどがある。

何故かこれだけマシな名前だ。

)と分かれている。

その内の宿舎ブロックに向かい、マリア姉が勉強道具と、動きやすく格好もまあまあよい運動用制服(制服はひどいデザインだから大体の奴らはこれを着ている。

あくまで僕の見解だが。

)に着替えると今度は校舎のある勉学ブロックに向かった。

校舎に入るとかなりの生徒がごった返していた。

「お早よう。マリア。」

とマリア姉に後ろから声がかかった。

振り向くと何度か家にきたこともある姉の親友、ミナ・ラット・グリーがいた。

彼女はマリア姉と一緒で、この学校の有名看板娘だ。

「お早ようミナ。」

マリア姉が挨拶した。

「あり?貢ちゃんでないの!何でこんなとこに来てんの?」

言いながら、僕の背後から覆いかぶさり後ろから抱きつかれる形になった。

この人はいつもこうだ。

大体これでも17歳なんだけどな。

結構恥ずかしいし何といっても背中に触れる二つの膨らみに意識がいってしまう。

「今日の授業参観の実践訓練一人足んなかったじゃん。だからみっちゃんにやってもらおうと思って。」



「え?貢ちゃんってグラディエーターなの?」

僕の後ろで叫ぶのはよしてほしいと思った。

「そうだよ。みっちゃんは国グラから認められてるデスMARIA級のグラディエーターよ。」

マリア姉が得意満面に言う。

ちなみにデスMARIAというのは、国連が定めた戦闘能力評価にのっとり、国グラ(国際グラディエーター協会)がランク分けした中の最高位グラディエーターだ。

まあこんなものはさして自慢にはならない。

なぜなら僕みたいな職の奴らはこれ以上じゃないとやっていけないのだ。

ランクはリブ→ライフ→グゾル→ダッド→マロワ→ニギナ→イフリ→デスの8段階だ。

「デ、デス?凄過ぎ。」

ミナは唖然としながら離れていった。僕らはマリア姉のクラスに向かった。

クラスにはすでに大勢の生徒がいて、各々思い思いのことをしていた。

何人かはやっぱり僕について聞いてきた。

そのたびマリア姉はミナに話したような自慢話をしていた。

そのうち担任のグレア・グレゴリーが入ってきた。

かなり若い男の奴でかっこ良いが結構消極的な人だ。

前にここにきたときもこの人が担任だったからお互いのことは大体知ってる。

「あれ?」

マリア姉の隣に座っている僕を(たまたま隣が空いていたから座った。

)みて言った。

だからまたマリア姉がその旨について語った。

はたまたデスMARIAという単語でどよめきが起こった。

まあ確かに最年少で獲得したのは確かだけどそこまで驚く必要はないと思う。そして実戦授業がある3時間目まで、おもしろくもない授業を聞いていた。

こんなのは5年前ランク分け試験を受けた時以来だ。

そして3時間目。

生徒全員が運動用制服を着ていて女子にいたってはチャック式なのをいいことに胸の谷間が見えるぎりぎりのところまで下げている。

こんな不真面目な態度で本当にグラディエーターになれると思っているのだろうか?などとも思いながらトーナメント表をみた。

男女混合になっている。

そんな馬鹿な。

男と女じゃ力量からいって違う。

もちろん相手がミナ姉やマリア姉なら別だが。

えーっと僕の対戦相手は?自分の名前を探すとマリア弟と書いてある。

何という適当な名前!?と思った。

そして対戦相手は……マルチ・アブと書いてある。

マリア姉に誰かと聞くとかなりの対戦表をみて余裕ぶっこいているオボッチャマ風な男だと教えてくれた。

しかもかなりのやり手らしい。

マリア姉も負けたことがあるそうだ。

もうこの時点でむかっ腹が立ったし、マリア姉の復讐という大儀名文でボコボコにしてやろうと思った。

対戦は第四戦でルールはゴム弾使用の銃とその他殺生能力のない武器、殺傷能力のない攻撃を認める模擬戦ルールだった。

第四戦のホイッスルが鳴るまでどんな方法でいたぶってやろうかと思ったがやはりやめにして簡単に終わらせる方法にすることにした。


模擬戦が始まった。

場所は体育館で、高さの違う平均台のようなものが並んでいる。床や壁は金属だ。

マルチ何とか(以後、奴。

)が手にもった銃を連射してきた。

確かに狙いはいい。

だが一応MARIAをもった者ならもっとましな戦い方をしてほしい。

 知覚、身体能力を5倍に設定。

そのまま最小限の動きで弾を躱しつつ、奴に接近する。

同時にエクスキャリバーの圧縮解除をした。

 その切っ先を奴の首に突き付けて終わらせてやろうと思ったのが、剣を振る前に気付かれてしまった。

奴は飛び上がり一番高い平均台のうえに乗りまた連射してくる。

今の跳躍速度から推測すると50倍といったところか。

そんな速度は単に反応が鈍る容量まで使い、逆効果だということに気付かないのだろうか。馬鹿だなと考えつつ、エクスキャリバーを再び圧縮する。ガイアとフレイマーを引き抜き、奴の弾を避けながら牽制弾を撃つ。

奴は牽制と本命の区別もつかないらしい。

牽制で動き過ぎて本命に何度もぶつかりフラフラだ。

仕方がない。

終わらせてやるか。

“紐使いプログラム作動”、視界がマ●リックスの様に数字の羅列に替わる。

視界のなかの、奴の後ろの金属質を含む壁に変化命令を出す。というか空間を書き換える。

書き換えた場所の金属部分がグニャリと細長いワイヤーに変わる。

まわりの金属もつかって体積を増やしながら奴の後ろから突っ込ませる。

奴はまだ僕の牽制弾に惑わされ、気付かないようだ。

ここまで馬鹿だと慈悲の一つでもかけてやりたくなる。

数人の生徒がワイヤーに気付いたようだ。

大声で叫んで奴に伝えようとしている。

だが遅い!先端を丸くしたワイヤーが奴の気付かないうちに勢いをできるだけ殺してぶつかった。

もちろん奴がいるのは高い平均台のうえだ。

だからワイヤーの衝突で完全にバランスを崩した奴はかなり不恰好に落ちはじめた。だれもが息を呑むのがわかった。もちろんそのまま殺すようなことはしない。

操作できるギリギリの範囲をできうる限りワイヤーに換え、奴を四方八方からからめた。

奴は頭を上にした状態で頭、腕、足を除いた部分にワイヤーがからみ、蜘蛛の巣にかかった可哀想な蝶のようだった。

「試合終了ですよね?」

試合終了のホイッスルを吹かない審判兼先生に尋ねるとやっと笛が吹かれ、僕は奴を降ろしてやった。

僕はそのまま奴を無視して口をあんぐり開けて惚けたまま固まっているマリア姉とミナ姉の方に歩いていった。

「どうだった?」

聞いてみると、

「あのワイヤー何?」

と先に唖然が解けたミナ姉が聞いてきた。質問したのは僕何だけどなー。

「あれが紐使いがやるマニピュレートだよ。」


「ああ。あれがそうなんだ!」

復活したマリア姉が応答した。

「まあこんなぐらいしか実力出さなくていいんなら僕の優勝間違いないね。」

ちょっと生意気に言うと、

「あんな反則系能力に勝てるはずがないやん!」

微妙な突っ込み(?)をミナ姉が入れてきた。

「あんなの本気の1無量大数分の1も出してないし。」

と言うと、

「ああー。勝てっこない。」

と二人に声を揃えて言われた。

「フー。」

ため息をつきつつ、安堵感が込み上げてきた。

誰でも緊張するものだ。と思った(自分で言うのも難だけど親父くせえ!)。


そんな感じで楽勝で優勝してしまった。

なんかすごい疲れる一日だったなぁ。

家へ帰るとき僕は独りだった。

何故かというとマリア姉は寮に戻ったからだ。

まあ明日は例の仕事だし頑張るべ!

独り言を言いながら帰る惨めな貢であった。



章末おまけ

マリア姉

「やっぱり私出番なかったじゃん!」


「だからそれも作者の陰謀だって!」


マリア姉

「人のせいにしない!みっちゃんが目立ちすぎるのよ!」


「うわー。ひどいよー!」


マリア姉

「では第3章 情報奪還!で会いましょう。それではご機嫌よー。」


「チッ。最後だけ自分でしっかり締めやがって。」

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