第1章 GET LOST!!〜消え失せろ!!〜
ああー。ではそろそろ真面目に本編始めますか。
「ただいま。」
はーっ。虚しいなぁ。もう一人なのにいつもオバサンの声がするのを期待している自分がいる。
「おっかえりー!」
予想に反して明るい声が聞こえてきた。
玄関奥の扉が開き、姉マリアが出てきた。
もちろん血はつながってない。
でも姉も肌は僕と同じ色だった。
肌色に鮮明なブロンドの髪。
顔立ちもシャープでどこへ行っても人目を引くマリア姉は僕にとって自慢の姉だ。
「あれ?何でマリア姉がここにいるの?」
マリア姉はグラディエーター養成学校の一年で成績優秀。だれもが一目置く存在らしい。
でも姉が一度話してくれたことがあるが、姉の目標は僕でほかはそれの準備にすぎないそうだ。
僕より強い人だっていると思うけど。
「えっとね。今度の授業参観みっちゃんにきてほしいの。」
「え?何で僕?僕のが年だって下だよ?」
「あのね。その授業が実戦訓練で、生徒が二人ずつ戦うんだけどそうすると人数的に一人余るの。」
僕はピンと来た。
「それで僕が出ろと?」
「そうなんだけど。ダメ?」
マリア姉はすこし上目遣いでこっちをみる。
彼女のこの誘惑に勝てる人はいないだろう。
「わかった。行くよ。」
「やったー!」
こいうときのマリア姉はとても可愛い。僕の口にも微笑が漏れた。
「さてと。仕事来てた?」
仕事とは、僕がやってる仕事請け負い屋の依頼のことだ。
主に裏の依頼で、グラディエーターの僕でも結構大変だ。
「来てたよ一通。」
それを聞くと急いで二階にある自分の部屋に行った。
といっても階段を上ると扉が一つありそれを開けると僕の部屋だ。
前まではマリア姉と一緒に使っていたけど今は養成学校の宿舎に泊まっているから全部僕が使っている。
机に向かいパソコンを立ち上げると確かにメールが一通来ていた。件名は“極秘依頼”。
差出人は不明。
まあ大体こういう依頼では普通だ。
依頼内容はアメリカの難攻不落といわれるワシントンタワーからの情報奪還。
ワシントンタワーは世界各地に建てられた軍事シティのなかで最も広く、最も新しい。
ワシントンに住む人とはそのタワーに住む人だし、むかしのワシントンD.Cも今ではタワーのことだ。
はじめての種の依頼だ。
情報奪還。どんな情報なのだろう。依頼請けますというメールを送り、下に降りた。下ではマリア姉が夕飯を作っているところだった。
「その授業参観って明日だったよね?」
「うん。そうだよ。」
そして夕飯を食べ、うえに登り、依頼詳細の返信をみたあと。風呂に入り早めに寝た。
次の日は五時に起きて、マリアのプログラムチェックと銃の作動点検をしてマリア姉の朝食ができるのを待った。さっきの銃はグラディエーター用の回路が入っている。
僕が使うのは二つでどちらも百発圧縮マガジンで、大口径の銃ガイア(僕がこう呼んでいるだけだ)と44マグナム仕様の連射銃フレイマー(これも僕が勝手に付けた。)だ。
6時ごろガサガサと下で音がしはじめた。
マリア姉が起きたのだろう。しばらく待つと30分ごろ、
「ご飯できたよー」
と声が聞こえた。
下に降りるとダイニングに置かれた結構大きなテーブルの4分の1を占めるであろう範囲に、所狭しと料理が並んでいる。
「お早ようマリア姉。いつも言ってるけどさ、誰がこんなに食べるんだよ。」
「あら。いつもぺろっと平らげるのはどこの誰かしら?」
「う。」僕は言葉に困った。
いくら料理が多くてもマリア姉の料理は美味すぎてすぐ食っちゃってしまうのだ。
「まあ。いいや。じゃあいただきます。」
お腹が苦しい。
やっぱり平らげてしまった。いくら何でもあの量は食い過ぎた。
今僕らは、ホバーリニアという昔のモノレールに似ている乗り物で、養成学校のある首都スパに向かっている。
のってから30分がたったであろう頃ホバーリニアが激しくゆれた。
「なんだ?」
車内の様々なところから悲鳴があがる。
僕とマリア姉は互いに顔を見合わせ互いの意志を確認した。
マリア姉からこの列車を救う、という思いが伝わってきた。僕らは一緒に立ち上がり悲鳴が大きいほうの車両に歩いていった。
二つほど車両をあるいたくと、人が折り重なるように全員倒れていた。
しかし傷は浅く、気絶をさせられているだけのようだった。
しかしここまで完全に狙える生き物を僕は一つしか知らない。
直感的にグラディエーターの仕業だと思った。
しかも複数。
そんなに多くはないが、厄介そうだ。
そのまま三つ四つと車両を過ぎたがどこも変わらず同じような状況だった。
五つ目の車両に入ったとき僕らは犯人の後ろ姿を一瞬見た。
マリア姉の身が強ばるのがわかった。
さらに次の車両を急ぎ足で通り過ぎると、車掌室の前で犯人は待っていた。
口元にうっすら笑みを浮かべたその顔は20歳過ぎと見える。
「おまえもグラディエーターだな?」
奴は聞いてきた。
「ああそうだ。」言うと同時に、戦闘プログラム始動。知覚、運動能力を20倍に設定。ガイア、フレイマーを右腿と腰の後ろに着けたホルスターから外し右手にガイア、左手にフレイマーを握る。
もしものことを考え、騎士用の大剣エクスキャリバーを圧縮解除第一段階に下げる。
相手も同じように何かのプログラムを始動させたようだ。
奴の右手にはすこし短い細身の剣が握られていた。
日本の、刀というやつらしい。
まず行動を起こしたのは奴の方だった。
刀を上段に構え、振り下ろしながら走ってくる。
なんて隙のある行動なんだろうと思いながら、ガイアの銃身で軌道をずらし、フレイマーで奴の右脇腹に2発お見舞いしてやった。
「うぎゃっ。」
何とも醜い声をだしながら、こっちを睨み付けてくる。
そのまま奴は遠距離から刀を離し地面に手を置いた。
なんだ?と疑問を思いつつも、ガイアを奴の右肩口に打つ。
奴の右肩から血肉が飛び散るのも構わず、奴はそのままの格好だ。
すると急に足が動かなくなった。
足元を見ると太いワイヤーが数本足に巻き付いている。
それがすごい力で締めあげてくるから、痛覚をシャットダウンしなければ、悲鳴を上げてただろう。
奴はてっきり近接戦闘の騎士だと思っていた。
だが本当は、遠隔も遠隔の紐使い(マタドールっていう奴らだ。
奴らは金属質の物を自由に操る。
)だったのだ。
くそっ。今まで気付かなかった自分に悪態を尽きつつ、エクスキャリバーを圧縮解除し、フレイマーをホルスターに戻し、ガイアを左手に持ちかえ、エクスキャリバーを右手に持つ(実は僕も普通は銃で戦うが、本当は騎士やクリアなどの特殊系グラディエーターなのだ。)。いきなり現れたエクスキャリバーを見て奴は驚いたようだ。だが自分のほうが有利だと思っているようだ。この身のほど知らずめが!
エクスキャリバーで足のワイヤーを一閃した。
きれいにワイヤーは切断され、元の形に戻っていき、最後は床に溶けるような形で消えた。
そして最高速でダッシュしすれ違いざまに奴の腹を切り付けたがワイヤーが現れ剣の軌道を逸らし、擦りもしなかった。
仕方がない。
MARIAから全てのプログラムを終了させ、メイドバイMITSUGUのプログラム騎士を作動させる。
そして振り向いて奴の脳天めがけて思い切りエクスキャリバーを振り下ろす。
もちろん奴のワイヤーが現れて邪魔をしてきたが、僕のプログラムでエクスキャリバーに触れた瞬間、回路によって空間を書き替え、奴のワイヤーを存在ごと消した。
そして邪魔をするものがなくったエクスキャリバーは奴の脳天に落ちる。
だが脳天ギリギリで止めた。
奴は気を失ったようだ。
だらしない奴だ。
そして紐使いプログラムを作動させ、奴をワイヤーで縛った。
僕らはそのまま進行するホバーリニアに揺られながら、首都へ急いだ。
章末おまけ。
マリア姉
「ねぇ。何か私忘れられてない?って言うかみっちゃん凄すぎて私が出る幕ないじゃん!」
貢
「いやそんなこと言われてもこれも作者の陰謀だから、僕はどうしようもないよ。」
マリア姉
「あっそ。では気分を切り替えて、私が大活躍する。第2章へ!」